7-7 瀬戸内リゾートとアオイの特技
瀬戸内リゾートはファミリーを狂喜乱舞させた。
ちょっとドン引くほどに。
大喜びであっという間に散り散りになってしまいしばらく帰ってこなかった。
そして戻ったら戻ったで追加のリクエストが相次ぐ。
・家から庭のプールと海に飛び込めるスライダー
・海につながってる室内釣り堀
・海につながってるブール
・イルカと泳げるプール
・水族館
・映画館
・水中ホテルみたいな部屋
・魔狼専用プールと温泉
おいおい、調子に乗りすぎだろ……ぜんぶ叶えましょう!
リクエストの天才かよ。
こりゃいい秘密基地になりそうだ!
機材や準備が足りないからまた今度だけどね。
とりあえず夜の花火までは海釣りをすることにした。
せっかく買ったプレジャーボートがあるからな。
「あ」
「「「「「?」」」」」
「免許ないわ」
「「「「「えー」」」」」
「そもそも動かし方もわからない」
仕方なく停泊したボートからの釣りとなった。
でもさすがはみんな強力な豪運の持ち主だ。
とんでもない勢いで次々と魚を釣り上げていく。
リルとラビは海に飛び込んで大物を捕まえてくる。
「なんかこれはこれで楽しいな」
「楽しいぞ/楽しい!」
「たくさん釣れるー♪」
「でもせっかくならクルージングしたいよね」
「だな。免許とろうかなあ」
「あ!」
卓司が大声をあげた。
「ボク小型船舶の免許持ってました」
「「「「えー!!」」」」
「番組の企画で高校生の頃に取ったんですよ。一度も乗ってないから忘れてました。まあ失効してるからどっちにしても今日は乗れませんでしたけど」
調べてみたらクルマとは違い失効期間は関係ないようだ。
講習を受けたら大丈夫なようなので卓司が免許を復活させることになった。
夜はバーベキューかなと思っていたが、アオイが腕を振るうと言い出した。
一人暮らしが長かったので実は料理が得意なのだという。
立派なオープンキッチンとそれを囲む広いダイニングを作ってあったからちょうどいい。
私も料理にはちょっとばかり自信があるので助手としてお手伝いをすることにした。
みんなにはアオイシェフのライブキッチンショーを楽しみながら待っていてもらった。
「仕込みができなかったから簡単なものしかできないよ」なんてことをいいつつ、作った料理はかなり本格的なものだった。
私の手伝いなんて食材を洗ったり渡すくらいのことでほぼすべてをアオイが手際よく作ってしまった。
キッチンカウンターにずらりとご馳走が並んでいく。
獲れたての刺し身とカルパッチョ。
リルたちが獲った伊勢海老はオーブン焼きと刺し身に。
焼き物は囲炉裏で焼いたシンプルな塩焼きと鱗をパリパリにしたタイの鱗揚げ。
スープはブイヤベースとあら汁の二種類。
ごはんものはパエリアに海鮮丼。
めちゃくちゃ立派なものがずらりと並んだ。
「召し上がれーー!」
「うまーーーーー!」
「なんだこれ美味しすぎる!」
「ヤバい/ヤバすぎだよ」
「おいしーー」
「おいちーー」
「すごいよー♪」
全員感動。
なにもかもめちゃくちゃに美味しい。
「これはすごいな」
「いや大したことないよ」
「いや、多少料理をかじってるからこそわかるものだ。これは相当なもんだよ」
「シシさんに喜んでもらえるのは嬉しいなあ」
「いや本当だよ。それなりに美味しいものを食べてきたけどこれはすごい。どんな店よりも美味しいよ」
「シシさんよかったねー。毎日こんな美味しいごはん作ってもらえるんだね」
「ずるいぞ。アオイ教えろ/弟子入りするからね」
「しかし驚いたな。いつもバーベキューとか焼肉とかだからアオイがこんな特技を持ってるとは知らなかったよ」
「えへへ」
「店を出せるどころじゃないよね」
「言い過ぎだよ卓司くん」
「いやいや。ボクも結構いいもの食べる機会があるけど全然負けてない……っていうか勝ってるよこれ」
「シシTVのコーナーにするか」
「やだよー」
「まあ今回の料理も動画は回しているけどな」
「え! いつの間に?」
「盗撮じゃないぞ。シシTVでスタジオに使おうと思っててな。あちこちにカメラがセットしてあるんだよ。テストになるかと思って回しておいた」
「えーーーー!」
「田城社長にオッケー取れたら素材にしよう」
ワイワイ楽しくみんなでごはんを食べた。
食後の片付けはみんなでやる。
そのあと花火の時間までは各自で自由に過ごすことにした。
「木花と咲那は泳ぐならこれな」
「なにこれ/なんか変だ」
渡したのはスポーツタイプのウェアだ。
色気ゼロのスグレモノである。
「卓司もいるからこれしか絶対だめだ」
「ビキニがいい/いつも裸だろ」
「あり得ない。そんなことしたらもう一緒に寝ない」
「わかった/これにします」
「ちゃんと更衣室で着替えるように」
「「はい!」」
うむ。いい子だな。
「卓司ー、田城さん迎えにいくぞ」
「あー、自分で来るって言ってましたよ」
「え?」
「社長も【転移】使えます。ボクもさっき覚えました」
「嘘だろ。まじか。もう負けてそうだなあ」
「何言ってんすか。攻撃魔法が使えないだけでやってることめちゃくちゃじゃないですか。あんなの誰にもマネできないですよ」
「うぅ、一番使いたいのが攻撃魔法なんだよ」
「拠点作りとかあんな細かい作業ができるのになんで攻撃魔法だけダメなんですか? 意味不明ですよ」
「それはそう。オレも意味がわからない」
「まあでもそもそも魔法抜きでも世界最強なんだし」
「そういうことじゃないんだよ。ロマンだろ」
そうしているうちに田城社長も合流。
いよいよツバメ世界から花火が上がる時間となった。




