7-3 真面目な話
「はー、満足じゃ」
「幸せだったぞ」
結局、3回買い出しに行かされた。
すぐコピーを忘れるから焼き担当は私がすることにして、3回目の分は無くなる前にめちゃくちゃコピーしておいた。
フェンが暴食なのは予想していたが神さまたちがこんなに食べるとはちょっと舐めてたな。
「じゃあ、真面目な話をしようか」
片付けが終わった頃合いで時空神さまがみんなに声をかけた。
「違和感のあった時空の歪みだが、どうやら人為的なものだということがわかった」
「ねぇそれめちゃくちゃ大事なことですよね。食べる前に話すことなんじゃ」
「おろかじゃなあシシ。まずは腹ごしらえじゃろ」
「いや順番がおかしい。オレが何往復したと?」
「シシこそおかしいぞ。まず、食う、メシだ」
「無理だよシシさん。諦めよう」
アオイが優しく慰めてくれたのでとりあえず話を進めることにした。
「わかったよ。で、どういうことなんですか?」
「誰の仕業なんだ?/目的はなんなの?」
「それはまだ不明だよ」
「いまモンモニを作った科学者が原因究明に動いておるよ。やつは天才じゃ。そのうちわかるじゃろう」
「まだ確定できないが何かのテストじゃないかと言っている。どうあれ、自然に起きる現象ではないことは間違いない」
「だとしたらその黒幕をどうにかしないと収束しないんじゃない?」
アオイの問いに対しての創造神の答えはシンプルだった。
「結論としてはそうなるな。いずれシシたちには黒幕を倒してもらうことになるじゃろう」
「でも誰が黒幕なのか分からないと動きようがない」
「そうだね。でもいまはまだ誰がなんの目的で動いているのかは分からないけれど、狙い……すなわち結果はわかっているよ」
「なにが狙いなんですか?」
「その前にな。いまシシの世界に迷い込んでくるモンスターじゃが、意図的なものだとするならある異世界とのいわば違法アクセスによるものじゃ。そして肝心なことはその異世界はすでに他の人間世界と融合しているという点なんじゃよ」
「「「「???」」」」
「ややこしいか。わかりやすく言うなら……英雄神の世界………英雄神は名前をツバメというのでツバメ世界と呼ぼうか。そのツバメ世界はかつて自然に発生した大規模な世界的歪みによってある異世界と融合したんだよ」
「英雄神か。ここで出てくるんだな」
「何を隠そう、救世主にツバメを選んだのは時空神じゃ」
「!」
「その時は創造神だったけどね」
「まあそれはともかく、すでにふたつの世界が融合しているのに、新たに別の世界……シシ世界が交わろうとしておるんじゃよ。もしそれが起きると大変なことになるんじゃ」
「なにが起きるんです?」
「歪みによって起きる世界の融合には物理的な容量がある。このまま異世界との歪みが本格化してシシのいる世界と異世界が本格的に混ざったとするなら………キャパオーバーでツバメの世界線が吹き飛ぶ」
全員が言葉を無くす。
世界が吹き飛ぶなんてどんな規模の災いなのか想像もつかない。
地球じゃない。世界そのものが吹き飛ぶのだ。
「隣り合う世界が部分的、瞬間的に混じり合うことは稀にある。今起きてるのがそれだが、こんなに頻発するなんてことはない。さらに稀なケースだが、完全に混ざるようなことも起きるんだ。その場合は事前に察知できるんだが、今回はその知らせがない」
「つまり人為的ということですね」
「そうだ。とにかく融合する場合は、結果、どちらかの世界に淘汰されるか、あるいは共倒れするのが普通だが、ツバメは初めて共存を成し遂げた。それぞれの世界を残したままで、相互に行き来できる形での融合を成し遂げたんだ」
「我らも驚いた奇跡の共存じゃったよ」
「ツバメ世界と異世界の人類は手を取り合うことができたのだが、異世界の魔王や悪魔が最後までツバメ世界と異世界を統べようと抵抗してたんだよ。結局はツバメにあっさり倒されたがな」
「そういう意味では、黒幕は予想はつく。十中八九、魔王か悪魔の生き残りじゃろうな。共存に反対していた人類の誰かが手引きしている可能性もあるが、所詮は人類じゃからな。異世界同士の接続などできるはずもない。実行犯は奴らの血流を汲むものに間違いない」
「話が大きすぎますよ。どうしていいのかわからない」
「まあ、いまは待つことだ。そんな大規模な混ざりは簡単には進められないからね」
「ということじゃよ。いまは粛々とシシ世界に被害が出ぬように鬼退治に努めてくれておればいい」
「黒幕の狙いはツバメ世界の排除だ。神界はそれを阻止するよう動く。とはいえツバメ世界を吹き飛ばすためにはシシ世界を異世界に融合させるしかないからな。他人事ではないから協力はしてほしい」
「それはもちろんです」
「神は現実世界への直接的な関与ができん。シシが女神との出会いで半神となり、そのファミリーがこのタイミングで神に準じる力を持ったのはなにか意味があるに違いない。時が来た時にはどうか私たちに代わって邪悪な企みを阻止してほしい」
「わかりました。力の及ぶ限りを尽くします」
「うむ。話は以上じゃ。では固い話はここまでにして、締めの焼きそばにしようかの」
「うむ。目玉焼きをのせると抜群らしいな。紅生姜とやらもあるのかな?」
「全然締まんねーー! てか片付ける前に言えーー!」
―――――――
結局、卵や紅生姜を買いに神界と元の世界をまた往復させられた。
バーベキューの後始末(2回目)を済ませて、現実世界へと戻った私たちはプールサイドで話し込んでいた。
「話がデカすぎるよな」
「なかなかのスケールだったね/面倒なことになったな」
「英雄神のツバメっていうのはすごい人だな」
「ツバメはシシくんにそっくりだよー♪」
「そういやそんなこと前にも言ってたな」
「見た目じゃなくて考え方がおんなじ♪」
「光栄だけどね。まあこうなったらやるしかない。来る戦いに備えてまずはチームのレベルアップだ。誰ひとりケガさせたくない」
「トレーニングあるのみだねー♪」
「そうだね。でも疲れちゃったし今日は早めに休もうか。今日は4人の日だしね」
「え」
「そうか/やったー」
「いくよー!」
全然、寝かせてもらえなかった。
がんばったよ。だって楽しかったし!




