7-1 拠点拡大
タイムリープ騒動の翌日。
今日は東京で不動産の打合せだ。
なお、タイムリープ事件であるじをひとりにしたことにショックを受けたリルは、それ以来どこに行くにも必ず付いてくるようになった。
なんとハムスターサイズになって、いまは胸ポケットに収まっているのだ。
これがまたかわいいのなんのって。
いかん、集中しよう。
「―――ということで、とりあえず東京を除いた7大都市の物件は契約完了しました! ということでいつでも入居できるからね。これが鍵です」
「ありがとう卓司。どれも完璧だよ。ビルの屋上を占有できる物件を選ぶとは考えたな。それならすぐに現場にも飛べる」
「よかった! 今は都市の間を埋めるエリアを選定中だよ。こっちはもっと好き勝手できそうな田舎を探してますからね!」
「楽しみだよ。なるべく人がいないエリアが見つかるといいんだけどな」
「拠点がない四国は真ん中あたり……高知の愛媛寄りの山間部にします。北海道と東北、九州は選び放題なのでいい意味で迷っています。逆に難航しそうなのはそれなりな中規模の都市ですね」
「まあ無理しなくていいからな。前にも言ったけど転移兼用のワンルームでも事は足りるし」
「最悪はそうさせてもらいますね。でも中途半端なエリアはマンションの高さが足りなくて屋上とかルーフバルコニー作戦が使えないんですよね。屋内への転移までは良くてもそのあとのアクションに支障がありそうだし、もうちょっとだけ粘らせてください」
「了解だ。頼んだよ。あ、田舎だけどさ。リゾートが作れなくてもモーターホームもあるから広さが足りなくても大丈夫だからな。あれはあれで楽しいんだよ」
「だったら面白いところは瀬戸内海ですね。無人島ひとつ買うのなんてどうです?」
「それいいな!」
「無人島で一番のネックは交通と水と電気なんですよ。でもシシさん全部魔法でスルーできますからね。島自体はそこまで高額じゃないんですよね」
「買おう! っていうか中国地方と四国はその考え方で無人島をいくつか買えばいいんじゃないか? めちゃくちゃアガるなー!」
卓司との物件決めは楽しかった!
宮古島からリモートで参加していたメンバーたちもノリノリだ。
購入した土地を聞いてそのエリアのご当地グルメを調べるのが楽しいそうだ。
「自分の食べたいものだけじゃなく、神さまたちへの贈り物のリサーチも頼むぞ。お酒もなー」
「「「「はーい」」」」
拠点作りは順調だ。
いつどこで歪みが発生してもすぐに転移で対処できるようになるはずだ。
そこに田城社長が資料をまとめて渡してきた。
「ん? なんですこれ」
「シシの資産一覧だ。付箋を貼ってあるところにサインと実印押してくれ」
「はーい………ってなんすかこれ」
「ん? なんか変か?」
「いや増えすぎでしょ。こないだまで100億くらいだったのに」
「シシTVだけでもとんでもない利益だからな」
「いや桁がひとつ増えてますよこれ」
「お金はお金を生むんだよ」
「………なにやったんです?」
「後ろめたいことはなんにも。手堅く動かしただけだよ。元手があれだけあると間違えようがない」
「税金すごいことになりそうですよねー」
「卓司、それ笑えないから」
「まあそのあたりも任せておけ。儲けた人の役目として日本にもそれなりに還元しておくが、半分くらいは賢く海外に移しておくつもりだ」
「いやありがたいですけど。使い道がないですよ」
「まあねえ、コピー能力があるんですもんね。価値のある資産を倍々で増やせるんでしょ」
「あれは反則にもほどがあるからなあ。最近は控えてるんだよね。でも不測の事態が起きた時は遠慮なく救援物資を増やすのに使うつもりだよ」
「それも人助けじゃん。聖人すぎるって。たまには自分のことに贅沢してもいいんじゃない?」
「そうだぞ。これだけ世界を楽しませてるんだ。もっと相応の贅沢をしたらどうだ」
「いや、木花と咲那、アオイといるだけで毎日めちゃくちゃ楽しいですから」
「シシさん欲がないなあ」
その時、モンモニのアラートが鳴り響いた。
「おっと」
「ほらね。楽しませるだけじゃなく世界を救ってるし。人知れずモンスター退治してるんだよ? 使えるものは使っていいんじゃないの?」
「ま、ほどほどには甘えるようにするよ」
「最近アラートが多いみたいだな」
「神界的にもちょっとイレギュラーみたいですね。迷い込んでくるモンスター自体はそこまで脅威ではないんですけど」
「シシさん基準でしょそれ。普通の人間にとっては十分やばいんじゃないの?」
「それもそうか。引き締めないとな。じゃとりあえず一旦ホームに戻ります!」
「気をつけてな」
「いってらっしゃい!」
―――――――
ホームに戻るとメンバーがリビングに集っていた。
「お待たせ。どうだった?」
「モニターが示していたのは和歌山みたいだよ」
「また関西なんだよね/なにが起きてるんだろう」
「神界でも問題になってるって♪」
「和歌山に拠点はまだない。いつも通り京都リゾートから南下する感じで動こう」
みんなを連れで京都へ転移。
そこから私が単身で一旦和歌山まで移動し、歪みのエリアに近い山中に簡易拠点を作って転移を有効にしてから改めて全員で移動した。
「とりあえずは簡易的な拠点をコピーしておいた。今回も周辺に民家はないから気楽に戦えるな」
「モンスターは既存のやつだね♪ でもちょっと数が多いし散らばってるみたいだねー♪」
「……今回は実地訓練かな/うん。分担で動こうか」
「ちょっと待て。何だその作戦」
「チームをバラすのよ/個別撃破だな」
「だめだ。今回もオレがひとりで動くか、出るとしても木花と咲那だけだ」
「シシさん、それじゃいつまでも変わらないよ。私たちも訓練したんだからね」
「雑魚だし意思疎通が図れないことがはっきりしてるモンスターだけだからな/実戦訓練にはちょうどいいよ」
「湘くん、大丈夫だよー♪ 全員目をつぶってても余裕だよ♪」
「いやさすがにそれは……」
「心配ならシシは遊軍で私たちと待機だな/危なそうなメンバーがいたら転移して助けてあげればいいよ」
「絶対に湘くんの出番はないけどねー♪」
「シシ、信じろ/みんなの能力を神眼で見てみて」
木花と咲那に言われてみんなのステータスを見てみる。
「っ! …… 確かにこれはすごいな」
全員がとんでもないステータスになっていた。




