6-3 対峙
秘密基地が完成した。
といっても基地要素ゼロの単なる素敵リゾートだけど。
それでも時間が余っているのでとりあえずまた転移して市内に行き、京都料理を食べ倒した。
ついでに京都名物のストックもする。
まずは京野菜とおばんざい。
女神がアオイに教えてもらった湯葉にドハマリしたのでそれも大量購入する。
京都駅でも買える行列のできる肉まんが大好きだったのでこれも許容数を大量購入だ。
あとはにしんそば、鯖の棒寿司にお漬物。
黒胡椒に阿闍梨餅、抹茶のお菓子類も爆買いする。
そして個人的に大事なのはラーメンである。
天一本店、第一旭、新福菜館など思い出の味を全制覇した。
こちらは食べる前に時間停止してからコピーで収納もさせてもらう。
お店には申し訳ないけれど、大行列なので、先ほどの肉まんとラーメンだけはコピーで数を増やさせてもらった。
チップも置いていくし、なによりモンスター退治もするから許してほしい。
もちろんチャンスがあればまたお店にも食べに来るからね!
これで京都名物は一生分ストックできた。
神界にもお届けするのだ!
―――――――
ようやく夜になる。
ふたたび京都リゾートに転移してみんなでまったりと過ごす。
みんなはプールで遊び、私はサウナ三昧である。
あれ? 何しに来たんだ。
いかんいかん、すっかり遊んでるじゃないか。
そろそろ準備するか。
時間はまもなく23時30分。
みんなで最後に作戦会議を行った。
「気になっているのは創造神さまの含んだ言い方だ。撃退を頼まれたわけじゃないんだよ」
「シシらしいな/ショウらしいねー」
「どういうこと?」
「アオイ、彼らは迷い込んでくるんだよ。これは侵略じゃない」
それを聞いたナビィが驚いたように声を上げる。
「びっくりだよ。湘くんは本当ツバメと似てるなあ」
「ツバメって……英雄神さま?」
「うん。同じことを言ってたよ」
「時空の歪みに落ちるのは必ずしも悪じゃないってことだからな。そもそもそれを言ったら木花と咲那も時空に落ちてたしな」
「おい! シシもだぞ/ショウも落ちてきたんだよ!」
「それはそうだけどさ。とにかくそういうことだよ。まずは会話してみようと思うんだ」
「危なくないの?」
「攻撃されるかもしれないけどそれも混乱してるだけかもしれない」
「防御魔法で守るよ/大丈夫だ」
「ナビィ、前はどんなのがいたんだ?」
「最初はゾンビだったね。そのあとはこっちのアニメとかに出てくるようなのだよ。オークとかオーガとか。強いのだとドラゴンとかね」
「げ、ゾンビは無理だろ。リンゴ食べさせたら治るのかな」
「なにそれ/なんだそれは」
「あ、ゲームの話。気にしなくて大丈夫」
「たぶん前ほどの本格的なやつじゃないって言ってたし、今回は単発の神隠しみたいな感じだと思うよ」
「お、そろそろ時間だ。みんなオレの後ろに」
「とりあえず魔法かけるね/バリア」
木花と咲那から全体にバリアが張られる。
やがて空気が振動して少し離れた場所の時空が歪む。
そこに現れたのは5人の大男たちだった。
ほかにも小動物が紛れている。
ナビィが声を潜めて告げる。
「オーガだよ。たぶん意思疎通は無理」
オーガは辺りを見回し狼狽えている。
「ほら、なんか驚いてる。きっと混乱してるだけだよ。いけそうじゃね?『なあ、おまえら心配すんな』」
姿を現してオーガに声をかけてみた。
オーガのひとりは私に気がつくと咆哮をあげて棍棒で殴ってきた。
ひょいと避けて引き続き話しかける。
「あー言葉がわかんないか。ほら大丈夫だ。武器も持ってないぞ」
私は両手を上げて攻撃の意思がないことを示すが、オーガは群れで攻撃してくる。
私はそれらをすべて避けながら声をかけ続ける。
「大丈夫だって。何もしないよ。落ち着けって!」
「シシ、ダメだ/心が殺戮に支配されてるよ」
「でも仲間同士でグループ作ってるじゃん。ちゃんと意思はあるんだよ」
避けながら反論する。
私への攻撃が当たらないことにしびれをきらせたオーガは目標を変え、私の仲間へ攻撃しようとした。
瞬間、私がキレた。
「おいコラ、何するんじゃこのボケ!」
オーガの群れは怒気だけで倒れた。
「へ?」
倒れたオーガたちはビクリともしない。
「あー、死んでるね。殺気が込められた神気を当てられて耐えられなかったみたい」
「シシさすがだ/すごーい!」
「あるじ、神より強い」
「残念だね。通じなかったね」
「あー、そんなつもりなかったのに」
「仕方ないぞシシ/あれは無理だよ」
そう言うと木花と咲那は白い炎でオーガを消滅させた。
ふと見ると、草むらに小さな魔物が一匹。
大きな角を生やしたウサギが震えていた。
「おー、チビっこ、大丈夫だったか?」
「かわいーー!」
ウサギはふるふる震えて動けないようだった。
アオイが簡単に抱きかかえることができた。
「ホーンラビットだね」
「シシの怒気を浴びて生きてるとは/なんだか不思議な子だね」
「なんか目に入ったから咄嗟に守った気がする」
「ねえ、この子は大丈夫だよね?」
アオイが撫でながら訴えかける。
「普通は無理だけどねー♪」
「神眼で見ても普通のホーンラビットだが……/なんだろう、なにか違う感じがするよね」
「攻撃力はあるのか?」
「ツノによる突進だね。いわゆるザコモンスターだから、いまのアオイの防御力ならノーガードでもケガひとつしないと思うよ♪」
「なら連れて帰る!」
「まあいいんじゃないか? ツノだけ認識阻害で隠せば普通のウサだろ」
「やったー!」
ひとまずはウサギを連れてみんなでリゾートに戻ることにしたのだった。




