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5-⑩ 野球の怪物



夏の甲子園。


19打数17安打/打率.895 15ホームラン 24打点

甲子園の通算本塁打記録をひと夏で塗り替えた。


投手成績は被安打0で防御率は当たり前に0.00 

無四球なので大会を通じたパーフェクトピッチングだ。


もうめちゃくちゃだったよね。

でもシーソーゲームばかりだったし手は抜けないし。

仕方ないと思うんだ。


甲子園の怪物なんて呼び名は一瞬。

まだ甲子園しか出ていないのに野球の怪物と呼ばれることになった。


ということで、来年開催のWBCに現役高校生の代表入りが事実上内定した。



――優勝おめでとうございます。記録を塗り替えましたね。


「記録はたまたまです。全力で頑張りました。結果がついてきたのは、ほかのメンバーのおかけだし、応援してくれたみなさんのおかげであると思ってます」


――最年少でのWBC代表入り、これで内定ですよね。おめでとうございます。


「いやまだ先のことですし、分からないですよ。でも選んでいただけるならお受けしたいとは思っています。もしそうなれば全力でプレーしてみなさんの期待に応えたいと思います」


――メジャーで活躍している大山選手とのダブル二刀流が期待されてるけどどうですか?


「光栄です。でも私は勢いだけの素人ですから。これからみなさんにご指導いただいて足を引っ張らないように精進したいと思ってます」


――それが信じられないです。野球を始めたばかりでなんであんなプレーができるなんて。


「それは私がいちばん感じていることです。打つ、投げるしかできませんから。カバーとかまだまだ覚えなきゃいけないことが多くて。そもそも守備でも勝手にポジション動いちゃうし、いつかみなさんに迷惑かけそうで本当は不安です」


――それですよ。派手な打撃と投球にばかり目がいきがちですがあの守備判断は一体なんですか?!


「なんか球と打つ前のスイングとかなんですかね。自分でもよく分からないんですけどたまになんとなく球が飛んできそうな方向がわかるんですよね」

(これからは予知も切るかな。気をつけよう)


――ゴロしかセンターにはヒットが打てないって言われてますよ。


「それは言いすぎです。たまたま何度かライナー性の打球をヤマカンで捕れただけです」

 

――球速については170キロが期待されていますけど自信はありますか?


「いや、それもわかって投げてないので……必死に投げたらたまたま速いのが出てるだけですから」


――結局甲子園では予選含めて変化球は投げてなませんが、持ち球としてはなにかあるのですか?


「いや、変化球も投げてみたいんですけどコントロールが効かなくて。使い物にならないです」


――あ、これはダメな質問でした。来年のWBC対戦国にヒントになっちゃいますね。ストレート待ちだけでいいならさすがに狙われますよ。


「それまでに使い物になる変化球を練習しますよ。高校の監督からはなるべくコントロール重視で、高低左右を大事にしろと、キャッチャーの構えるところに投げろと言われてましたからそれを信じてどうにかなりました」


――え? コントロール重視?


「ええ。ん? なんか変ですか?」


――もしかしてですけど。コースを気にしてまだ本気で投げてないってことですか?


「いや本気ですけど……。いつも狙ったところに丁寧に投げるようにしてます。まあそういう意味でまだ本気で投げたことはないのかなあ。ちょっとわかんないです」


その後、番組の企画でバッターを立てず、ただ全力で投げろと言われたのでちょっとだけマジで投げてみたら175キロが出た。

非公式ながら世界記録だと言われた。

知らなかった。

気をつけよう。


ともかくも来年のWBCには出ることになりそうだ。

せっかくだから頑張るけど。


野球の部活は甲子園で引退させてもらった。

みんなは秋の国体まで残るそうだ。

応援してると伝えて、最後は涙の胴上げをしてくれた。


いろいろあったけれど、最後はいい思い出ができたとみんなと涙で喜びをわけあった。

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