5-7 神獣
フェンリルの子どもを預かることになった。
「なあフェン、この子は何を食べるんだ?」
「神獣は本来は何も食べなくても大丈夫だが、実は我が主にすっかり餌付けされてしまったのでな。こやつもメシ好きなのだ」
「ダメなものとかあるのか?」
「ないぞ。何でも食べる」
「なら大丈夫だな! おい、美味いものたくさん食わせてやるからな!」
ジュニアはしっぽをブンブン振っている。
てか、ここでみんなで食べたらいいんじゃないか?
「ねえ創造神さま、ここでバーベキューやっていいかな? みんなでごはん食べようよ」
「それはいいのう! ツバメがいないから久しぶりじゃ! 頼むぞ」
さっそく収納からバーベキューコンロを出す。
自慢の宮古牛と新鮮野菜もずらり。
火をおこしてバーベキューをスタートする。
ワイワイ食べていたらいつの間にかほかにも強そうな人や綺麗な人もたくさん集まっていた。
「ヤバいやつらばっかりだぞ/みんな神獣が人化した姿だよ」
「なんだそれ。伝説じゃん」
「そもそもいま神界にいるんだからな/その時点でありえないことだよね」
収納が空になるほど食べたけれど神さまたちはまだイケそうだ。
となれば!
シメはやっぱりソーキそばだよな!
自慢の手作りソーキを乗せた沖縄そばに神界メンバーはイチコロだった。
帰りはみんなに惜しまれたが、創造神がまたお祭りをやると宣言してくれたのでどうにかみんなも落ち着いたようだ。
ようやく私たちはもとの世界へ帰ったのだった。
―――――――
神界から戻ってみると、言われたとおりにまだ時間は一分も過ぎてなかった。
「なあ、フェンリルって他の人にも見えるよな」
「見えるよ/見えるな」
「子どもっていってもライオンくらいはあるぞ」
さすがにこれは大騒ぎになる。
「家に閉じ込めるのはかわいそうだしなあ。どうするかな……。それにやっぱり名前がないのはかわいそうだな。いいや決めちゃえ」
フェンリルで親父がフェン。
ならまあリルだよな。
「お前の名前、リルにしたいんだけどどうだ?」
リルはしっぽをブンブン振って喜んだ!
とたんに私たちを白い光が包み込む。
暖かい光はやがて私たちの身体の中に染み込むように消えていった。
「うわー! 絆の光だよー!♪」
「よかったね!/やったな!」
「あるじー! ありがとう」
「おお! リル! 話せるようになったのか!」
「まえからはなせたの。でも名前くれるまでおとなしくしろっていわれてたの」
「かわいいなあ! リル! これからよろしくな! これがオレの彼女の木花と咲那だ。あとナビィだよ」
「妻だぞ。よろしくな/お嫁さんだよ。よろしくね」
「ナビィだよー♪」
我が家にフェンリルのリルがやってきた!
楽しくなるぞー!!!
「リル、お父さんみたいに小さくなれるか?」
「なれるよー」
そう答えるとリルはトイプードルくらいのサイズになった。
「おおー、これなら外にも一緒に行けるぞ」
「やったー!」
「でも学校には一緒に行けないよなあ」
「えーあるじと離れるの嫌だー」
なんてかわいいんだ!
なんかいい魔法はないのか。
あ! 認識阻害か。
強めにかけたら大丈夫な気がするな。
「リル、認識阻害の魔法をかけていいか?」
「いいよー」
「もうすぐアオイっていう彼女が起きて来るから声出さずに気づくか調べてみよう」
「わかったー。静かにしてるね」
やがて朝に弱いアオイがのそのそと起きて来た。
「ふにゃーおはようシシさん」
そういうと私にハグをしてくる。
かわいいよなあ。
その後もみんなで朝ごはんを食べたり話をするが目の前にいるリルには意識がいかないようだ。
うん、大丈夫だな。
「なあ、アオイ。わが家に新しい仲間が増えたんだけど紹介していいか?」
「えー! なにそれ! 会いたいよ!」
私は認識阻害を解く。
ずっと私の膝の上にいたリルがようやく目に入ったようだ。
「うわーーーー! かわいいーーーー!」
「驚くなよー。この子は神獣のフェンリルだ。リル、広いところで元の大きさになってくれるか?」
「いいよー」
「しゃべった! やばーい! かわいい!」
テラスに出るとリルは元のライオンほどの大きさになった。
「かっこよくなったーーー!」
アオイはリルの首に飛びついて大喜びだ。
リルも嬉しそうにしている。
「リル、この子はアオイだよ。オレの大事な人だ」
「あるじはもてもてだねー。アオイよろしくね」
「リルー! よろしくね!」
我が家も賑やかになりそうだな。




