5-6 神界
朝起きたら私たちは見知らぬ場所にいた。
最初は驚いたが木花と咲那がここは神界だと教えてくれた。
雲の上に浮かんだ広い庭園。
遠くまでその光景は広がっていた。
ただひたすらに清々しく神々しい世界だった。
「すごく綺麗なところだな。木花と咲那もここにいたのか?」
「そうだよ/もっと奥の方だけどな」
「広そうだもんな。ナビィもここにいたのか?」
「ナビィは別のところだよー」
アオイが置いてきぼりだな。
ちょっと心配だ。
そこに見知った人が現れた。
「あー! 創造神さま! おひさしぶりです!」
「ようきたの。いつも差し入れをありがとうな。楽しませてもらっているよ」
「今日はどうしたんですか。起きたらこんなところにいたので驚きました」
「どうしてもシシたちに会いたいという神がおってな」
「あ、その前に。ひとりだけ仲間が置いてきぼりなんですよ。心配すると思うんですが」
「アオイじゃな。すまんな連れてきてやれなくて。まだシシの神気が馴染んでおらんのでここに呼んでやるにはもう少しかかりそうなんじゃよ。まあ戻るときは元の時間じゃから心配しなくて大丈夫じゃよ」
「そうですか。安心しました」
そこへフワッと女性の神様が現れた。
他に例えようのないふわっという言葉通りだった。
「時空神さま!/うわっマジか」
「え! 時空神さま!?」
「そうだ、私は時空神」
「そんなすごそうな神さまが?」
「キミが新しい神のシシだね」
「まだ半神ですけど」
「半神のくせにタイムリープを使うなどとんでもないデビューだな」
「あ! もしかしてご迷惑をかけてしまいましたか?」
「ええ、なかなか手間のかかることでした」
「すみませんお手数おかけしました。でもおかげで悪いやつを懲らしめらられました」
「私欲にまみれたものではないからね。汚れなきものならまあ許すよ」
「ありがとうございます!」
「でな、代わりと言ってはなんなのだがな。創造神ばかり喜ばせておらずにな、私にもなんぞ付け届けがあっても良いのではないかと思ったのだけど」
「そんなことなら喜んで! 時空神さまも食べ物がいいですか?」
「良いのか! なら私は美容品がほしい!」
「やっぱりなー/そうだと思った」
「おまえたち、おかえり。無事でなによりだ」
「あのね、ショウ、時空神さまは美の神さまのライバルなの/そうだぞ。ガチライバルだ」
「おぬしたちの世界には美容品が溢れていると聞く。ぜひそれらを届けてほしい!」
「あまり詳しくないのですが、そういうことなら勉強しますよ(なんか聞いたことのある設定だな)」
「くぅー! 嬉しいのう。もう好きなだけ過去をいじってよいからな!」
「そうそう、好きなだけ弄くれば良いぞっていいわけあるかー!」
チラッとこちらを見る創造神さま。
「お見事なノリツッコミです」
「ふむ。苦しゅうないぞ」
なんか嬉しそうだ。
「いやそれはまずいでしょ/だめだよ」
改めて時空神さまにツッコミが入りつつ、欲しいという美容品について質問をしていく。
「なんとなく理解しました。思い当たるものもあるのでさっそくこれからお届けしますよ」
「よし、では妾の魔法袋とシンクロさせておくぞ。欲しい神器があれば適当に持っていって良いからな」
「いやそれは止めておきますね」
創造神さまといい、みんな神器の扱い雑だぞ。
そこにナビィから質問が入った。
「ねえねえ創造神さま、ツバメはいないのー?」
「英雄神ならいま別の世界のトラブルに対応しにいっておるな」
「ざんねーん。会いたいかったなあ」
英雄神なんて神もいるのか。
名前からしてかなりの人物なんだろうな。
いつか会ってみたいものだ。
そこへ小さな犬が一匹現れてナビィと楽しそうにじゃれ出した。
神界にも犬がいるのかと思って眺めていると犬がこちらに気づいたようだ。
「む? なかなかの覇気だな」
「え!? 犬がしゃべった!?」
「犬ではないわ!」
「!?」
「我はフェンリルだ」
こういうと子犬はゾウよりも大きな姿へと変化した。
「すげーーーーー!!!」
私は興奮する。
めちゃくちゃ犬好きなのだ。
それがこんなにデカいのだ!!
「フェンリル、会ったばかりで本当に不躾なのだけど、撫でさせてもらえないか!?」
「ダメだ」
「まじかーーー!」
両手をついてうなだれる私。
それを見てフェンリルもちょっと可哀想に思ったらしい。
「ま、まあ、今のナビィの主なわけだし少しだけならいいぞ」
それを聞いた私は瞬速でフェンリルにしがみつき思う存分に撫で回した。
「まじかー! すげえフワフワだあ! とろける!」
「おぬしはなかなか強そうだな」
「え、わかんないよ。戦いなんてしたことがない」
「なんだと? それほどの力を持っておきながらありえんな。ちょっと手を合わせるか」
「やだよ。こんないいやつ相手に戦えるわけないだろ」
「いいではないか。軽く」
「嫌だ」
そこから私たちは高速で背後を取り合う。
「くっ」「ハッ」「ぬっ」「どやっ」
超高速バトルは決着がつかず引き分けとなった。
「きさまやるではないか」
「モフモフは譲れないな!」
「いやそれ我だからな」
その後もしばらく撫でさせてもらって満足した。
「ありがとうな! また会えたら頼む」
「主以外でこれほど我を撫で回したやつは初めてだ」
「フェンリルに主って呼ばれるとはすごい神がいるんだな」
「英雄神だ」
「すごいなまた英雄神かー。オレも会いたいな」
「そのうち会えるだろ。それよりおぬし、シシといったか」
「そうだよ」
「我の息子を預けよう。連れて行くといい」
そこに小さなこどもフェンリルが現れた。
「まじか! いいのか!?」
「修行をする時期だったのだ。おぬしならちょうどいい。もし絆が結べたときは名をつけるがいい」
「えー、それまではダメなのか?」
「これでも神獣だ。そうは簡単に絆は結べぬよ」
「そっか、じゃあそれまではフェンって呼ぶか」
「それは主にもらった我の名だ」
「……英雄神、案外ラフに決めたんだな」
「では預けたぞ。しっかり鍛えてやってくれ」
「おう大事に預かるよ、フェン!」
こうして私はひょんなことから神獣を仲間にしたのだった。




