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5-4 記者会見



過去に少しのアレンジをして現在に戻る。


おそらくは監督が処分されていない世界線だ。


「過去を変えたのは初めてだ。大丈夫かな」


「私欲じゃないし半神のやったことだ/創造神も関与してきてないから大丈夫だと思うよ」


人数が足りないから迎え入れられたという形はどうなっているのか不安もある。

今日は土曜で学校は休みだが練習はある。

まずはグラウンドに行って確かめてみよう。




「シシ!遅いぞ」

「監督といろいろ作戦考えたんや。聞いてくれ」


グラウンドにいくと変わらず主将や部員たちが明るく出迎えてくれた。


どうやら大丈夫みたいだ。


初対面の監督だったが、ぼんやりと改変された本来存在しなかった思い出が浮かんでくる。


入部した日に挨拶をしており、その後の練習にも監督は立ち合ってくれていた。


転校した生徒は戻っていないようだ。


そこまでの大改変とはならないらしい。

バタフライエフェクトを防ぐためなのかな。

今度創造神さまに会ったら聞いてみよう。


「シシ、午前練習が終わったら体育館で記者会見だ。あとで職員室で打合せするからな」


「はい、監督」


午前の練習では監督からマンツーマンでセンターの守備について座学でいろいろと教わった。


単純な打つ、守るは問題ない。

私の肩なら中継も不要らしい。


アウトカウントとランナーの残り方でゴロ、フライを受けたあとにどこへ送球するのがセオリーなのかなどを教わった。


次にピッチャーとしての勉強だ。

ストレートしか投げられないのであくまでワンポイントリリーフ。

余裕があれば変化球も投げてみようということになり、そこは今後、沢木にコーチしてもらうことになった。


独学では牽制球の投げ方が動画ではわかりにくかったと伝えたら、付け焼き刃の牽制などしなくていいと言われて安心したのだった。



全員守備、全員攻撃で100点を取りあうバスケと野球は全然違う。


だからこそめちゃくちゃ面白かった。


プロの世界なら打率3割で優秀。

どんな強打者でも7割はアウトになるんだぞ。

ヒットがいつ出るか。

そしてそれがつながるかつながらないか。


偶然の積み重ねだから結果がブレやすい競技かと思い込んでいたが、その裏には緻密な作戦があった。


オフェンスに確実性のないスポーツだからこその守備の重要さ。


強豪が強豪である所以もしっかりあるんだと知った。


一点が重いスポーツの醍醐味にハマっていくのが自分でもわかった。



――――――――


「高校野球で実戦を積むことにしました」


ものすこい報道陣に囲まれて記者会見が始まった。


質問が飛び交う。


「日曜はバスケの試合があるので二足のわらじとはなりますが、本気で取り組んでいます。まだほんの数日ですが、野球というスポーツの面白さを知って毎日が新鮮です」


――それは具体的にはどのあたりですか?


「バスケはフィールドゴールは2点だし、スリーは3点です。野球はそうじゃない。ホームランは1点のときも4点になるときもある。この時点で面白いと思いますよ」


――ほかには?


「どんなにすごい打者でも6〜7割アウトになるんですよ。結果がブレやすい面ももちろんあるけれど、それでも強豪が強豪である理由もきちんとある。例えば守備でしょうね。奥が深く、だからこそハマってます」


――守備位置は決まりましたか?


「まだ練習を始めたばかりの素人ですからそれはこれから。自分の特性をチームや監督に見てもらってる途中です。当然補欠だって覚悟してます」


――監督、シシ選手の才能をどうご覧になりましたか?


「皆さんと同じですと言いたいところですが……野球を知ってるいるからこそわかることもある。彼の才能はとんでもない。恐ろしいほどです。バスケのジャクソン監督がおっしゃった『アメージング』という言葉の意味を思い知りました」


その後も質問は続き、会見は予定時間を超えても終わらなかった。


取材規制などを通知して、練習公開日を持つことでどうにかメディアも落ち着いたのだった。

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