4-8 開局準備
騒動は解決し、制作も順調。
シシTVのエンタメプロジェクトはその後も話題をさらい続けていたが、新規コンテンツが発表となり、さらに日本に、世界に大きな歓声をあげさせた。
世界最高のバスケットボールプレーヤー、シシの復活である。
そのオープニングコンテンツは、「日本代表対世界選抜」。
とんでもないエキシビションマッチが発表されると、世界はとんでもない騒ぎとなった。
ここで55歳のシシは一旦お休み。
次は17歳のシシの出番だ。
今日は太陽プロで田城さんと打合せである。
「チャンネル開設前なのにシシTVのアプリダウンロード数がどえらいことになってるぞ」
「それはいいんですけど。結局名前はシシTVじゃないですか!」
「わかりやすいだろ」
「コンテンツもシシ親子のものがほとんどなんだからこれしか無いと思うぞ」
「仮称だって言ってたのに。いまさらですからもういいですけどね」
「シシ父とシシくんの親子共演のCM企画書がわんさか届くんだが」
「できるはずないでしょ」
「だよな。で、シシバスケなんだが、対戦希望がめちゃくちゃ届いてる。プロアマ問わずだ」
「プロも?」
「プロの方が多いよ。これ以上ない宣伝効果がある上に、負けてもシシがいるって言い訳もできるからな」
「そういうことなんですね。初戦の話題も欲しいところですけどね。いきなり強豪すぎるのもどうなんですかね」
「やっぱり一発目は話題性があったほうがいいと思うぞ。みんな派手なのが観たいだろうし」
「ですよね」
「そこでひとついい相手がいる。バスケプロリーグの千葉だ。戸頭さんがいる強豪だが今年から渡山選手が参加することが決まってる」
「渡山さん日本に戻ったんですね」
「シシとのバスケも影響しただろうな。日本のバスケをもっと強くするならNBAで学んだことをこっちで伝えることを選んだようだよ」
「本当にすごい人だ。でもその気持ちは応援したいな。いいんじゃないですか。初戦は千葉でいいと思います」
―――――――
「千葉!? B1の中でもトップチームやで」
「いやいや無理がある」
「そんなとことやる!?」
「いいね」
「お、応援がんばります」
同好会メンバーは沢村を除いてみんな及び腰である。
ひとりは早くも応援に回ったようだ。
「まあやれるだけやろう。とりあえず練習!」
私もバスケ部の練習に混ぜてもらい、ミニゲームの時間は元同好会をチームとしてさせてもらう。
練習をしているうちにチームメンバーはだんだん調子を上げていった。
「なんか調子いいかも」
「オレも」
「上手いやつとやるとやっぱり違うんかね」
「俄然動ける」
「シュートもよく入るー!」
言われてみれば確かにそんな感じではある。
こっそり自分のステータスを確認。
「あー、これか?」
ステータス画面には【味方支援】という見たことのないスキルが発動中になっていた。
とうやらバフ系魔法が自動的に効いていたようだ。
神眼で調べると能力向上は1.2倍。
めちゃくちゃなズルってほどでもないかな。
練習で得た感覚は体に残るし、練習中はどんどん支援することにした。
―――――――
「やりすぎたかな」
メンバーが予想外にかなり伸びてしまった。
支援バフはその時にしか効かずに元に戻るものだと思ったら違ったようだ。
連日かけたその効果は上乗せされたまま基本能力へフィードバックされていたのだ。
急に上手くなりすぎるのも不自然かも。
とりあえず上乗せの支援バフは今後はオフにすることにした。
「でももう遅いかもなあ」
もとから抜けてた沢村あたりはたぶんトッププロレベルになっている気がする。
ほかのメンバーも個の力は沢村ほどではないにせよ、チームの中でなら充分プロ相手に機能しそうだ。
練習を終えてみんなで雑談をしてから解散。
太陽プロで打合せをしてから、田城社長と卓司も一緒に宮古島の自宅へ転移した。
そう自宅に。
卓司がそのまま住んでくれと言い出して、田城さんが登記も株式会社シシに変更してしまった。
ありがたすぎる話である。
「そんなに強くしちまったのか」
「てっきりその日限りかと思ってたんですよ。まさか蓄積されるとは思わなくて」
「ファンタジー的には普通は支援魔法ってその場限りのイメージだよね」
「ちょっと強くなりすぎた。たぶんこのチームでプロリーグに参加したら優勝争いができそうな気がする」
「もうちょっと魔法を勉強したほうがいいかもねー♪」
「そうなんだよナビィ。自動発動とか知らなかったし、どうしたらいい」
「とりあえずはマメにステータス確認♪」
「だよな。気をつけておくよ」
みんなでバーベキューを楽しんでこれからの構想を語り合う。
その後、コンテンツの準備は整い、いよいよシシTVは開局日を迎えたのだった。




