4-4 準備
翌日、企画説明のために升川さんに電博へ来てもらった。
打合せの前に呪文のように唱えておく。
私はシシの父55歳、私はシシの父55歳!
升川さんとは初対面だぞ!
「升川さん、ご足労いただきありがとうございます」
「世界待望のシシ選手のリブート企画なんですから当然ですよ!」
「こちら電博の藤井局長です。それからシシくんのお父様の獅子川さん。藤井さん、シシさん、連盟理事の升川さんです」
挨拶を交わし、名刺交換をする。
「ようやく会えましたね。獅子川さん」
「いやとても観客席でゲームを観れなくて」
(嘘ではない)
「今回は是非ご覧になってくださいね!」
「ということは……」
「もちろんですよ! 全員一致で賛成です」
「「おお!」」
事前に簡単な企画書は出してあった。
「いや、面白い試みですよ。オープニングコンテンツには世界が驚くでしょうね」
「レギュラーコンテンツはどうでしたか?」
「コンセプトが良かったですよ。第二のシシ選手を探せですからね」
「まあ同好会出身の高校生がワールドカップMVPですからね。まだ宝石がいてもおかしくない」
「どの程度の規模までにするか迷ってます」
レギュラーコンテンツは「シシバスケ」。
挑戦資格は「バスケが好きな5人組以上」。
これだけは決定している。
「プロの参加を容認するか……最初はアマチュアのつもりでしたが、それも考え方ひとつかと。ゲームの運営を委託する連盟の判断に委ねたいと思います」
「預かろう。要は権利関係だね。放送は新しく開設される配信チャンネル・仮称シシTVの独占放送ってことだな」
「そうですが………その仮称は早く止めて正式名称考えてくださいよ」
「もちろんだ。でも開設前の新チャンネルだからな。しばらくはわかりやすい仮称でいいだろう」
「わかりました」
「他にもバスケ推進のコンテンツは加える予定ですが、エロ以外のエンタメコンテンツも流します。バスケ専門ではないのでスポーツもいろいろ手を出すかもしれません。その点は事前に連盟の方にもご理解をお願いします」
応募してくれたチームとシシチームが試合をする。
シンプルだけどきっと盛り上げる。
どんなチームが応募してくれるか楽しみだ。
メインはその試合だが、ほかにも私のチャレンジ企画もオファーされた。
ロングディスタンスシュート、ひとりスラムダンクコンテスト、連続3p記録などなど。
連盟との打合せは順調に終えることが出来た。
オープニングコンテンツが成立するかはまだわからない。
レギュラーコンテンツは問題ないだろう。
あとはチャンネル準備に合わせて募集をかけるくらいか。
細かな部分は追々進めていくこととなった。
―――――――
ACEの撮影日が決まった。
アスカが宮古島。
シイナが石垣島。
エグチが西表島。
そして3人揃っての撮影は本島。
冬の沖縄というのはあえての選択。
彼らクラスの写真集なら世界のどこでもロケを組んでもよかったのだが、分かり易すぎてつまらない。
常夏の楽園じゃ普通で面白くない。
カッコつけてNYやパリに行くのもなんか違う。
サービスカットはそれはそれで楽しみにしてる人もいるからきちんと撮るけどね。
彼らのテーマは「リアルロードムービー」。
ひとりで常夏にはいかないだろ!
冬の沖縄なんて何かを想うにはちょうどいい。
似たような作品なんかにはならない。
モデルの個性を理解して、撮る人が撮れば作品として主張してくるものだ。
アスカは16歳。172センチ。
明るくてノリノリの年下キャラ。
年下らしい甘えん坊キャラを演じているけれど、きちんと先輩をたてるし、芯の強さもある。
シイナは17歳。185 センチ。
ビジュアル担当って感じだな。
たぶん一番人気なのかな。
オラオラを装ってるけれど、優しさが隠せない系のいいヤツ。
エグチは18歳。180センチ。
寡黙な秀才タイプ。
3人のバランスをうまくコントロールしている。
あまり感情を出さないが今回はそこを掘り起こすのが密かな楽しみだ。
カメラマンは多くの知り合いの中から本当に気の合う人を選んだ。
避けたわけではないけれど、結果的に大御所や売れっ子には手が伸びなかった。
カンが良くて頼まれたモノはしっかり押さえてくれつつも、自分の撮りたいモノもちゃっかり撮ってそれを選びたくさせてくれるヤツ。
ほんの少しヤンチャなメンツを指名した。
ACEの待望のファースト写真集にしては地味かなとも思うけど、必ず相乗効果が生まれるはずだ。
条件はひとつ。
動画も同時撮影してほしいとリクエストした。
はーいスチールですよー、次は動画を回しまーすみたいなのはなんかフェイクっぽい。
ブレブレでもいいし、ライティングなんて気にしなくていい。
やむを得ない場合を除いてなるべく地明かりを活かそうぜってことにした。
みんな若手だしそれなりに動画もいじってるメンツだったけれど、これはロードムービーで主役である本人の生活感がなにより大事だと伝えたらみんなすっかりやる気になってた。
それでも準備は必要だからそのために撮影時期はギリギリ冬といえる2カ月先とした。
その間に私も含めて遊び、食事も重ねて本人とのコミュニケーションもはかれる。
なんかいい予感しかしないな。
この作品が世に出たらとんでもないことになるぞ!




