3-3 大人の順番決め
翌日、田城社長がやってきた。
「言ってもらえたら転移で迎えにいったのに」
「なんとなくね。ちゃんと自力で来たい気分だったんだよ」
「社長は秘密を知ってたんだ!」
「そうだよ。黙っててゴメンな」
55歳の私の腕にしがみついているアオイをみて田城さんは笑った。
「シシさん、ウチのアオイをよろしく頼むよ」
「あ、そうですね……お預かりします、でいいんですかね」
「仕事にはちゃんと送ってくれればいいよ。よかったな、アオイ」
「昨日行かせてくれた社長のおかけだよ。ありがとう。夢が叶ったよ」
ふたりの関係はそれこそ親子だな。
きっと強い絆があるんだろうな。
「今日は何時から仕事ですか?」
「いや、様子を見に来ただけだ。アオイはインフルエンザで昨日から1週間寝込んでる流れだから。外出だけ気をつけてくれ」
「えー! 本当に!? やったーー!」
「じゃあオレは帰るよ。シシ、帰りは頼めるか?」
「もちろんです。これくらいのことなら電話でよかったのに」
「大事なアオイの幸せな顔が見たかったんだよ」
そういうことか。
なんかわかるな。
「……ありがとうございます。ケジメみたいなものですか?」
「それに近いかもな。そうだな、改めていっておくよ。シシさん、あの時ウチのタレントを救い出してくれてありがとう。心から感謝してる」
「ちょ、田城社長、やめてください」
「本気で感謝してるんだよ。オレがアオイを守らなきゃいけなかったのに。シシが助け出してくれたんだ」
「………はい。でもケジメはお互い様ですね。ずっと勇気がだせなかった。いい機会をもらいました。必ず幸せにします」
「ま、今度本気で作戦会議だな。シシは世界クラスの有名人だ。木花ちゃん咲那ちゃんもウチにオファーが殺到してるし、もうすっかり有名タレントだ。そこにアオイまで加わったんだからな。もし写真でも撮られた日にはもうカオスだよ」
「げ。それはかなりマズいですね。考えただけで泣きそうになりましたよ」
「お互い宿題な。インフルエンザ明けまでに考えておこう」
「真剣に考えときますよ。さあ送りましょう」
―――――――
転移で田城さんを東京へ送り届けた。
部屋に戻ると3人が部屋割りで揉めていた。
「1番奥をシシの部屋にするのは決まりだろ/隣が問題なんだよね」
「ひと部屋開ければよくないかな」
「だとしてもそこの取り合いだぞ/そうなるね」
「ならアオイが愛人枠なんだしそこはふたりに譲るよ」
「いやそれはよくないよ/だめだ。フェアじゃないぞ」
「ならその日に合わせて部屋も回そうよ」
「そうだな/そうしよう」
なんのこっちゃ。
「今日はアオイで決定だよね。次は私。その次が咲那、でまたアオイの順かな/木花と私の日もほしいぞ」
「えー、ならアオイも」
「アオイ→木花→咲那→木花咲那→木花咲那アオイ→アオイのループとか/いいな」
「うん!」
「ずるい! ナビィの日がない!」
「おい、ちょっと待て。なんだそれは。いろいろおかしいぞ」
「「「え?」」」
「そうだよね!ナビィの日がないもんね!」
「いや、ナビィは物理的に無理だろ」
ナビィは泣きながらプールに飛び込んでいた。
寒かったらしくその後はサウナに入ってた。
「ならアオイ→木花→咲那→木花咲那→木花咲那アオイ→木花アオイ→咲那アオイ→アオイ/どうだ?」
「違う!」
「みんな4回ずつだよ」
「平等だ/平等だよね」
「しかもちょうど1週間だ!」
「「おお」」
「おおじゃねえし! アオイといつそうなるかはまだわからないだろ」
「今日だよ」
「だろ/だね」
「な!」
「嫌なの?」
「いやそうではないけど……」
「ならいいじゃん」
「それを3人で当然のように共有するのがヘンだ!」
「コソコソするつもりなの?」
「そうなのか?/そうなの?」
「いやそうではないけど……」
「ならいいだろ/いいよね」
「いいじゃん」
「繰り返しかよ! それにしても木花咲那アオイの日はダメだろ」
「なんでだ/なんでだろ」
「なんで?」
「え、いいの? ホントに?」
「私たちがいいんだからいいに決まってるだろ/そうだよ」
「……うん。ちょっと楽しみ」
うーん。
めちゃくちゃだな。でもちょっと楽しみだな。
4日後か。うむ。整えよう。
「もういいや。で、今日はなにする? アオイもこんなに休める日ないだろ。認識阻害強めにかけてどこかみんなで観光するか」
「………だったらさ」
「ん?」
「今からがいい」
「え?」
「今日のうちに一巡しようよ」
「な!?」
「いいな/ いいね!」
「なにいってる!」
「アオイ、手伝うぞ/そっち持って」
「わかった!」
あれよあれよと奥の部屋に連れて行かれる私。
結局、そこから夜まで。
二巡した。
めちゃくちゃだ。
でもこの世のすべての幸せが詰まってた。
ありがとう神さま、あ、ここに女神いた。
またこれか。
アオイは嬉しそうに笑ってる。
この顔は見たことないな。
たぶんこれが本当のアオイの笑顔だ。
まあいいか。
仲良しなのはいいことだ……よな?
その日もみんなでバーベキューをして天体観測をした。
そのまま寝ようとしたけど、そういえばアオイの番だった。
がんばりました。




