3-1 日常
2週間ぶりに学校に戻った。
通学途中と学校でめちゃくちゃ囲まれた。
まあ仕方ないかと思ったけれど、ひどいのも中にはいる。
勝手に盗撮してマスコミに売ったり、悪意のある動画をアップしたり。
そういうのは気に入らない。
その手のたちの悪い輩がいるとアラートが鳴るので、すぐに対応するようにしている。
即、時間停止でカメラや携帯データを全消去である。
ひどいのは木花と咲那への盗撮行為だ。
美人すぎてあちこちに写真をあげられている。
ついに隠しカメラなどが使われるようになった。
許すまじ。
そういう輩はタイムリープで証拠写真を押さえて人生終了させることにしている。
スカートなどは絶対にめくれないように風魔法を常に下方向に流しているし、胸チラもしないように重力魔法を施しているから安心だけどな。
やり過ぎではない。
愛する彼女には当然のことである。
みんなも魔法を使えたらやると思うぞ。
とりあえず騒ぎが落ち着くまでは通学時は認識阻害を強めにかけることにした。
―――――――
今日は金曜だ!
久しぶりの完全オフなので、週末はみんなで宮古島に引きこもることにしている。
年末も近くなって沖縄もかなり寒くなり、さすがに温水プールでどうにかなる気温ではなくなった。
代わりに木花と咲那はサウナを覚えたのだった。
私がサウナから出てきて、冷たいプールに飛び込んで幸せそうにしているのをみて、やっとサウナに気づいたらしい。
それまでは小さな箱に入って何をしてるのか分かってなかったそうだ。
うーん。そんな天然なところも愛しいぞ。
抱っこさせてくれ。
で、サウナの楽しみ方を教えたらめちゃくちゃにハマってくれた。
サウナーはサウナを広めることが大好きなのである。
サウナハットもプレゼントした。
まあ私たち専用なので基本全裸で入るのだけど、全裸にサウナハットはなかなかシュールだ。
もちろんかわいい。
抱っこサウナさせてもらった。
夜はバーベキュー、宮古牛祭りである。
創造神さまには焼きたてをお届けだ。
冬になり星もますます綺麗になった。
みんなで天体観測を楽しんでいるところに、田城社長から電話がきた。
アオイが今度宮古島に遊びに行きたいと言うことだったので、なんならこの週末でもいいよと伝えたら明日の朝イチの便で行かせると即答。
うわあ、今から鬼のスケジュール変更をするんだろうな。
巻き込まれるメディアの皆様、迂闊なことを言ってしまいました。
ごめんなさい。
明日からはメンバーが増えるので、夜はたくさんくっついておくことにした。
明日の分もくっついておこうと言ったら、1週間分くらいくっついてくれた。
はあ、幸せです。
そして翌朝。
フライトに合わせて空港にお迎えに行くことにした。
ついでに市場で買い出しもしておく。
「おーーーい! きたよー!」
到着ゲートの向こうから手を振りながらアオイがやって来る。
キミは超絶売れっ子の自覚はあるのか?
そう問いたくなるほどに楽しそうに駆け寄ってきた。
まあ完全に誰かわからないくらいに変装をしてるけど。
そのまま抱きつこうとしたのでくるりと身を翻しておく。
「えー、お母さんとの再会にそれするかあ!」
「お母さんじゃないし。百歩譲ったところでこんなもん端から見たら単なる恋人だよ。この上、アイドルとの密会写真で世を賑わせたくない」
宮古島はシーズンオフだ。
観光客がいなければそんなに騒ぎになることはない。
地元のみなさんは私のことに過度に干渉しないし、ありがたく普通のご近所さん付き合いが成立している。
とはいえ空港は一番警戒しなきゃいけない場所だけどね。
「あれ? 田城社長は?」
「来ないよ。アオイだけだよ」
「はい?」
「田城さん、行くって言ってたの?」
「あ」
言われてみたら。
確かにアオイが行きたがってるとしか言われてないな。
社長、巧妙すぎるだろ。
「確かに言ってなかったな」
「……でしょ? あ! 木花さん!」
「いらっしゃい!/待ってたぞ」
「うーん、苗字呼びもなあ。咲那ちゃんって呼びたいなあ」
「まあどっちでもいいんじゃないか」
「わかったよ! いろいろ呼んでみてしっくりするのにするね!」
「いいよー!/ いいぞ!」
「言い直すよねー! かわいいなあ」
「まあまあ! とりあえず部屋にいこうか! なにか買いたい物があるならいいなさい。 食べ物と飲み物はたくさんあるからな」
「……大丈夫だよー」
アオイをタンドラに乗せてそのまま自宅へ直行だ。
どうやら宣言通りにふたりはアオイを認めているようだ。
前回のようにいきなり揉めたりは困るのでその点はありがたい。
が、同時に妻だ愛人だなどと話が進むのも勘弁してほしい。
ここはどうか穏便に。
穏やかな週末を過ごせることを願うのだった。
「はい。着いたぞ。アオイ、ここが私のセカンドハウスだよ」
「……うわー!すごいねーー!」
「ここ、卓司がオーナーなんだよ」
「……へー! センスいいんだねー」
「そうだろう。私も知らなかったよ。たまたまここを気に入って長期契約を申し込んだら卓司がオーナーだってわかったんだよ」
「……そうなんだね! 偶然ってすごいねー」
「ベッドルームもいっぱいあるからな。どの部屋で寝たいか、アオイもあとで決めなさい」
「……そうするね! とりあえず荷物を置きたいからいまお部屋を決めてもいいかな?」
「もちろんだよ」
アオイは部屋の探検に出かけていった。
「ふう。どうにかごまかせたかな」
「……あのさ/……あのね」
「ん?」
「途中でね、どうにかしようと思ったんだよ/なんとかごまかしてやりたかったんだけどさ」
「???」
「シシ、年齢設定忘れてただろ/ショウいま17歳なのに55歳モードで話し続けてたよ」
「!」
「アオイって呼び捨てにしてたね/してた」
「いやそれはさ、急に仲良くなったみたいな」
「卓司のことも呼び捨ててたぞ/うん、呼び捨てまくってたよ」
「嘘だろ」
「ほんとだよ/マジだぞ」
終わったー。
なんか言われてみたらアオイのリアクション変だったかも。
しばらくしてアオイがリビングに戻ってきた。
「いちばん奥の部屋にしようかな」
「あ、アオイ…ちゃん……あのね」
「もういいよシシさん」
「えーと、なんのことかな』
「なんか分かっちゃったかも」
「……やっぱり?」
「何が起きてるのか、教えてくれる?」
「……はい」
私は観念して、ことの経緯を話すのだった。




