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2-⑬ 完全優勝



日本バスケが世界を制した。


MVPは満票で私。

得点王はぶっちぎりだった。

ベスト5にも選ばれた。

ほかにもシュート成功率やスリーポイント、アシスト、スチールなどなど、いろんな記録を塗り替えたそうだ。


出来過ぎである。


記者会見も盛り上がった。


優勝へ導いた世界ナンバーワンプレーヤーになった感想を聞かれた。


「みんなのおかげでしかありません。バスケは間違いなくチームプレーが全てです。嘘だと思うのならひとつひとつの私のプレーを見返してください。ボールをもらう前、もらった時、シュートを打つ時、打った後。そこには必ず仲間たちの献身があります」


この言葉は仲間だけでなく全てのバスケットボールプレーヤーに感動を与えた。


――それでも今回シシ選手の生み出した数々のプレーは今でも目に焼きついています。


「私の得点シーンを切り取ってみんなが喜んでくれているのはそりゃ嬉しいですよ。ぜひ私にも名プレー集をプレゼントしてほしいです」


メディアが笑う。


「でもバスケの面白さはそこだけじゃない。私をフリーにするための仲間の動きとかに気づけるようになったらもっとバスケ観戦が楽しめますよ。あの狭いコートに10人の大男がひしめき合ってるんですからね。5対5の駆け引きを見つけられるようになったらメチャクチャ面白いです」 


――シシ選手はバスケのどこに魅力を感じていますか?


「うーん。……優しいところ、かな」


――どういう意味ですか?


「シュートの半分は失敗するスポーツなんですよね。1点の重さにしびれるスポーツも面白いけれど、バスケは100点取れるスポーツです。何回でもシュートのやり直しが利くことはバスケの優しさじゃないかな。交代してもコートに戻れますしね。そんな優しいところが面白さでもあると思ってます。……あ、サッカーも野球も大好きですよ。めちゃくちゃ観てますし」


笑ってくれた。


――世界中が気になっていることです。シシさんはこのあとどうされるのでしょう。タレントに戻るのか、プレーヤーとしての道を選ぶのか。


「まだ決めてません。高校生ですからね。もともとタレント業もセーブしてましたし、あと1年、ゆっくり考えてみようと思います」


――またこのプレーを観たいと世界中が願っています。待ってますね。さて、最後に。この喜びは誰に捧げたいですか?


「チームメイトにまず半分。それから応援してくれたファンの方々に残りの半分の半分。最後の半分は大好きな彼女に捧げます」


歓声があがった。


会場の隅で、それを聞いて泣いてる木花と咲那が見えた。


こっちを見たので大きく手を振った。


ふたりもめちゃくちゃ写真を撮られてる。

ヤバい。ファンが増えちまうぞ。 

でもこれで公認彼女だ。

誰も手を出そうとは思うまい!


最初は女神にいいとこ見せたくて頑張ったんだ。 

途中で仲間たちのためにって変わったけどさ。


木花と咲那が原動力だって叫びてー!

いいのかな。言っちゃおうかな。 



――あの方が彼女さんですね? 


おお。いいパスだ! あなたにMVPあげよう!


「そうです! あの人が私の原動力で大切な大切な宝物です。大好きです!」


今日イチの歓声があがり、フラッシュが光りまくったのだった。


―――――――


「おいおい、途中までバスケ愛で感動させてくれたのに最後のはなんだ!」

「笑えたぞ」

「ウラヤマシイ!」

「ユルセナイね」

「のろけたねー。世界に向けて」

「やらかしたねー。世界に向けて」

「ファンが半分減ったんじゃねーか」

「あー笑ったわ」


打ち上げのシャンパンファイトのあと、みんなにめちゃくちゃからかわれた。


ちなみにシャンパンファイトと言いつつも、それでは未成年の私が参加できないので、ノンアルコールファイトであった。


中継のテレビでも何度もそれを伝えていた。


ようやくメディアがいなくなり、選手とコーチだけの時間が取れた。


「で、シシはどうすることにしたんだ?」 


「インタビューで話したとおりです。あと1年かけて考えます」


「あっち(NBA)含めて争奪戦がえらいことになってるぞ」


「17歳のNBAプレーヤーは記録だろうなあ」


「まあ代わりにオレが行っとくよ」


「オレは向こうで一緒にやりたいけどな」


「オレも」


「ありがとうございます。もしNBAに行く気になったらふたりには最初に相談します」


「「来なそー」」


「今はまだわかんないです。ちょっと前まで同好会に入るか迷ってたんですからね」


「ウケるよなあそれ」


「たまには身体動かしに来いよ」


「そうだよ、シシならいつでも歓迎するぜ」


本当に気のいい人たちだ。

私をメンバーに向け入れた時のみんなの言葉は一生忘れない。

あ、ドキュメント録画したまま観てないや。

あとで観て泣こう。


みんなと握手してハグして別れた。

大泣きしてしまった。


子供だなーと笑いながらみんなが頭を撫でてくれた。

ほんとは55歳だけどな。

歳を取ると涙脆くなるんだよ。


この経験は大切にしよう。

この人たちは一生モノの仲間だ。

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