表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/120

2-⑪ 決勝ラウンド



決勝ラウンド、準々決勝の対戦相手はフランスだ。


世界ランクは4位。

オリンピック銀メダルの強豪だ。


「あの、なんかすごいのがふたり……」

「220センチと216センチだってさ」

「マジすか」

「リバウンドはきつそうだな」

「シシ、丁寧にいこう」

「ウス」


とんでもない高さだ。

確率的に2回に一度はシュートが外れるこの競技において、リバウンドの行方は試合を大きく左右する。

この高さはなかなか厄介だ。


試合はやはり競った。

リバウンドがキツいのだ。


2Q終了時点

日本 42-48 フランス


この大会で初めてリードを許す展開だ。

私のスコアも24得点(3p5/6)4AST 4REBといつもに比べると物足りない。


ん? 変わらないか?


後半前にジャクソン監督が秘策を持ち出す。


「さて、ダラダラ相手のペースに付き合うのはキツイな。リバウンドを取りにいこうか」


「それがキツくてこうなってるんですよ」


「後半のディフェンスはゾーンにする。後ろの真ん中は、シシだ」


「へ?」


「鉢山と渡山、身体を張ってシシをフリーで飛ばせろ」


「「なるほど!」」


「相手の攻撃リズムを狂わせるシシのディフェンスコントロールは惜しいがそれでも半分くらいは落ちるんだ。シシ、それを全てもぎ取れ」


「……! はい!」


後半の作戦は決まった。


そしてジャクソンコーチの作戦はどハマリした。


そもそも気持ちよくシュートを打っても外れるものは外れるのだ。

そこにトップのふたり、比江さんと馬地さんが駆け回ってシュートにプレッシャーをかけてくれたおかげでフランスの外角はだんだん確率が落ちてきた。


それをすべて私がもぎとる。

驚異的なジャンプ力と滞空力は、220センチと216センチの高さをゆうに上回った。



PG不在の作戦でボールコントロールは私に託された。

川村さんや戸頭さんのようなゲームメイクなんて真似できるはずがない。


ひたすらアーリーオフェンスで押し切る。

めちゃくちゃキツいランニングゲームだけど、点の獲り合いならこっちのフィールドだ。

日本の体力なめんなよ!


そして4Q

日本の勝利を決定づける、シシのプレーが飛び出す。

220センチを半ば跳び越すようなダンクを決めたのだった。


世界が驚愕するシーンだった。



日本 108-98 フランス


獅子川 51得点(3p11/14)11AST、29REB


ついにベスト4だ。

日本中が歓喜した。


勢いに乗る日本は、続く準決勝で世界ランク2位のセルビアも撃破する。


日本 101-91 セルビア

獅子川 45得点(3p11/14)8AST、24REB


ついにアメリカとの対戦が決まったのだった。


―――――――


「こんなことになるとはなあ」


「シシかっこよかったぞ/すごいよね」


「どのテレビもシシだよー♪」


もはや世界中が全日本バスケの躍進を伝えている。

中でも明らかな原動力の私に話題が集中していた。


どのメディアも私のことを掘り下げようと躍起になっているが、17歳のシシにはなんの痕跡も見つからない。


当たり前である。

だってついこないだ誕生したところなのだから。

父親の話は拾えても息子の話は何も出てこない。


さすがに普通なら何かおかしいってことになるはずだが、神界マイナカードが効いているからなんとなく筋は通ってしまう。


創造神さまには感謝しても足りないな。


落ち着いたらお供えは奮発せねば!


最近は自炊できないのでお取り寄せばかりだ。

それはそれで喜ばれているようだけど、こっちの気持ちの問題である。


創造神さま! 楽しみに待っててくださいね!


―――――――


アメリカ戦についてのミーティングは熱を帯びた。


なんせオールNBA軍団である。

といっても各国代表のスターティングメンバーはほとんがNBA選手だったのだけれど、なんせ隅から隅までなのだ。

バスケットマンなら誰もが憧れるブレーヤーしかいない。


対策と言ってもそんなに選択肢があるはずもない。


「すごい相手ですよね」

「ベンチの12人全員が鉢山さんと渡山さんだと思うと泣きそうになる」

「それはヤバい」

「オレたち以上な。それが12人だ」

「やめてください。逃げたくなる」


全員がスコアラーなのだから打ち合いで挑んでもそのうち手に負えなくなる。


だからこういう強豪相手にはスローペースに持ち込んでロースコアのワンチャン狙いなんてのがポピュラーだ。


『そんな作戦、相手にとっては毎回のことだ。なんのプレッシャーにもならないよ』


ジャクソンヘッドコーチはあっさりその考え方を捨てた。


『もちろんゲームコントロールは必要だ。特にシシがベンチにいるときなんかはな。だが強者に挑むときに持ち味を捨てたら勝てるものも勝てなくなる。ウチはウチのストロングポイントで勝負するのみだよ』


全員が私を見る。


『明日はシシだ。アイソレーションで徹底的に点を獲ってもらう。必ず勝てる局地戦で勝つ。その積み重ねだ』


「や、やれるだけやります」


別に能力解放を上げるつもりはない。

大会に入ってからはむしろ2%下げて6%まで落としたままだ。

なんかズルいからな。

いやそもそもズルいんだけどさ。


「ジャクソンコーチ。当日はなるべく交代ナシでいかせてもらえませんか? もちろん調子が悪ければ即交代でいいですけど」


『大丈夫なのか?』


「さっきも言いましたけどダメなら外すのは当然として、調子がいいうちはそのまんま使ってください。たぶんなんですけど、オレの最大の武器はスタミナだと思います」


「まじ?」

「嘘だろ?!」

「そうだったのか」

「確かにベンチでも疲れてるところは見たことなかったかも」

「「確かに」」


『いいだろう。セオリーに沿った交代はしない』


「ありがとうございます」


いよいよ決勝だ。

世界一しか興味ないぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ