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9-⑫ クセモノたち



ガラたちを乗せてタンドラで「裏四国」へ向かう。


「なあガラ。ヒナ王女とヒイノを連れてきて大丈夫なのか?」

「ん? なんでだ?」

「敵の本拠地だぞ?」

「たいしたことないだろ」

「集まってるメンバーがメンバーだしね♪」

「あー、まあ、ある意味で世界一安全か」


ツバメ伝記によれば集まっているのはひとりで世界征服できるような実力者ばかりだし、間違いなく安全は担保されそうだ。

いざとなれば私とクマ吉でも守りきれるし。


「それよりこのクマちゃんです。このぬいぐるみがかわいすぎます」

「クマ吉だよ。おい、あいさつしなさい」

「クマ吉でござるよ」

「うおっ、しゃべるのか!!」

「まあ!」

「えええ!」

「自律型のゴーレムなんだってさ。ダンジョンのボス部屋の宝箱に入ってたんだ。ゴーレムって言ってももう家族だな」

「まあ! クマ吉ちゃん。ヒナです。よろしくね」

「こちらこそよろしくでごさるよ」

「ヒイノだ。抱っこさせてくれ」

「ぐぅ、残念だがダメでごさるぞ。拙者はシシの従者であるし、なにより一人前の男であるからな」


なんかクマ吉なりのポリシーがあるみたいだな。

一丁前だな。かわいいやつだ。


そしてほどなく海に出た。

ここが裏瀬戸内海って事なのかな。


「ここを渡ればシシの目指す裏四国というやつだ。迷宮化したときに発生した澱みはツバメが晴らしたがダンジョンは残っている」

「ん、なんかあるな」

「あれはツバメが残したベースキャンプだ」

「あんなダンジョンの近くに大丈夫なのか?」

「拠点バリアが効いてるからな」

「なんだそれ」


聞けば自分の拠点にバリアが自動的に発動する仕組みだとか。

自分の拠点てはなくても、知人であればツバメのプライベートスペースを作るだけで勝手に拠点バリアというものが発動するそうだ。

設定は自由自在で細かく設定できるらしいが、主に「悪意を持つ者の侵入不可」や、「仲間以外のモンスターの侵入不可」などで手軽に済ませているとか。


なにそれ、めちゃくちゃ欲しいんだけど。


「ナビィ、拠点バリアってオレも使えるかな」

「んー、ツバメの特殊スキルだったと思うよ。クリエイトで作れたらラッキーってとこかなあ。」

「固有スキルだとキツいかー。ま、今度やってみよ」


「シシ、そろそろ行くぞ」


タンドラに魔力を注いで空へ。

そのまま裏四国へ上陸しツバメの拠点に入る。

薄いブルーのバリアが張られている以外は何の変哲もないコンテナハウスだった。


「あ、なんかバリアの質がわかった気がする」


バリアを通過した時にこの魔法のイメージができた。

これは純粋な魔力てはない。

神様と会うときに感じるやつかな。

これが神力か。

言われてみれば魔力とは違うものが私にも混ざっていたらしい。

これからはちょっと神力も意識してみるかな。

これならクリエイトできそうだ。


中に入るとそこには明らかに人外の力を持った者たちが集まっていた。


「お、ガラ来たのか。なんだそいつは。ん? ナビィ連れてんのか」

「ウミと来るんじゃなかったのか? なんか強そうだな!」


「あー、ウミ忘れてきたな。ブラウ、タイガ、こいつが例の異世界から来たシシだ。ワシはコイツと入るぞ」


うわ、ツバメ伝記で読んだぞ。

ツバメ世界とアクセスした異世界での人類最強はこの3人だとか。

プラウはアーメリ国王でアメリカにあたる大国。

タイガは獣人国の国王。

好戦的なのが共通点だと書いてあった。

エグい武勇伝がたんまり書いてあったな。


「ブラウ陛下、タイガ陛下、お目にかかれて光栄です。私は異世界から参りましたシシと申します」


「……つまらん」

「なんだその他人行儀な挨拶は」


うわー、めちゃくちゃニヤニヤしてるじゃん。

気をつけないと手合わせになるなこれ。


「いやそう言われましても」


「ツバメも最初はそうだったよな」

「そうだったな」

「仕方ないな。挨拶代わりにどうだ?」

「だな!」


「いやいやなんでそうなる!」


「お、いいぞ」

「さてやるか!」


「ダメだよー♪」

「そうです! シシ様は私の大切な恩人です」


そこにナビィとヒナ王女から助け舟が出る。


「おお、ヒナ!それにヒイノも来たのか」

「ヒイノ、婆さんは息災か?」

「両陛下においては……」

「「やめろ」」


なんでこの世界の国王はこうなんだ???


「あとでいくらでも付き合いますから! とりあえずダンジョン攻略を急ぎましょう」


「言ったな!」

「おう、聞いたぞ」


とりあえず先に進めないと終わらん!


「で、どうなんだ? 今は誰が入ってるんだ?」

「トヤンたちだ」

「お前らはどうだったんだ?」

「聞くなよ」

「最初の部屋で弾かれた」


弾かれる? なんだそれ。


「ナビィ。弾かれるってのはなんだ?」


「知らなーい♪ 人工ダンジョンだから防御特化してるんだろうね」


と、そこにふたり組が転移してくる。


「だぁーっ!! ちきしょう!」

「悔しいですわ」


魔人のトヤン! デカいなー!

ツバメ世界の融合のさらに前、神様たちに選ばれた勇者だ。

で、そのパートナーのエル。

エルフ国の女王だ。

てかエルフって本当に綺麗なんだな。


「次はワシの番だな! 」


「お、誰だそいつは」

「あら、もしかしてシシさんかな?」


「シシです。トヤンさんとエル王女ですよね。初めまして」


「おう、よろしくな!」

「よろしくお願いしますね」


おお、このふたりはまともな感じだ!


「腕試しでもするか?」


やるんかーい!


「腕試しは後だ後。で、お前らはどこまで行けたんだ?」

「最初の部屋で戻されましたわ」


うーむ。どうやら本当に面倒なダンジョンのようだな。

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