9-⑪ ジャポン王国へ
ミノタウロス100体の氷像が完成した。
「な!?」
「え!?」
「「「「!?」」」」
念のため王女を襲った証拠としてすべて収納しておくことにした。
「ヒナ王女、ヒイノ。話がある。この世界の未来についてだ」
「………わかりました」
「……はい」
私は収納からタンドラを出す。
「スピードを上げたいんだ。馬車と荷物は全部収納しておくからまずはみんなこれに乗ってくれるか。拡張してあるから騎士団は右奥の部屋に。従者たちは左奥に進んでくれ」
ヒイノからおおよその方向を聞き、オートクルーズでクルマを走らせる。
もちろん自動迎撃システムも作動させておく。
私はヒナ王女とヒイノ団長とリビングで今後についての話をした。
「いきなりで驚かせてしまうが、この世界に破滅の危機が迫っている。それを阻止するためにオレは異世界から来たんだ――」
――――――
神の啓示があったこと。
私たちの世界を使ってツバメ世界とこの世界を破壊しようとしているかつての敵の残党がいること。
一刻も早くこの世界の裏四国に潜入して地脈を正常な状態にしなければいけないことを伝える。
「ツバメ世界とはコンタクトを取っているんだ。ジャポンはこの世界の中核だよな。事情を知る者がいるはずだからオレたちと繋いでほしい」
「シシ様は神の使いだったのですね」
「まあそういうことにもなるか」
「わかりました。……そういうことだったのですね。私には詳しいことは伏せられていましたが、合点がいきました。私の世界の名のある方々はいま遠征に出ています。おそらくそこがシシ様の言う『裏四国』なのでしょう」
「どこに向かえばいいんだ?」
「ちょうど王国の先になります。このまままずは王国へ向かいましょう」
「わかった。じゃあスピードをあげるぞ」
「え? まだ上がるのですか!?」
「スタビライザーが効いてるからなんの心配もないよ。いくぞ」
魔力を注ぎ込みギアをあげるとタンドラは一瞬で空に舞い上がり爆発的な加速で王国へと突き進むのだった。
―――――――
「そろそろ着くぞ」
「は?」
「馬車で急いで3日ですよ?」
「まあこんなもんだ」
加速からわずか10分で王国に到着した。
城壁の近くでヒナ王女たちの馬車を収納から出す。
最優先で城に招き入れられた。
「まずはお祖父様のところへ」
「え? お祖父様? 国王ではなく?」
「私の祖父・ガラが国王です。いまだ人類最強の座にいますよ」
あー、ツバメ伝記のヤバい人の筆頭格ですよね。
まだ現役でしたか。
バケモノ揃いの異世界においても、アーメリのブラウと並ぶ人類のツートップだよな。
ツバメはたしか食べ物で釣ったはすだ。
いざとなったらこっちもその手で行こう。
そのままの流れでさっそく玉座へ。
そこにいたのはイメージ通りの武人であった。
筋骨隆々、私を見るなり嬉しそうになんかオーラが溢れてるぞ。
いや現役バリバリにもほどがあるだろ。
お祖父様とはなんだね。
「おお、久しぶりに強そうなヤツだな! とりあえず戦うか!」
そのまんまかい! そしていきなりかい!
「シシと申します。この度は……」
「やめい、そのような口の利き方は好かぬ」
「えー、ガラ国王」
「ガラと呼べ」
「無理でしょ!」
「おう、それでよい」
「いやいや。ガラ国王のご功名は……」
「やめろと言っている」
「……本気ですか?」
「…………」
「あー。ガラ、まじでいってんのか?」
「おう!」
変なとこにこだわりがあるものの、めちゃくちゃ気持ちのいい御仁だし。
これはデカい人だわ。
「ガラ、そんなことより時間がないんだ。ガラはどこまで知ってるんだ?」
「それを簡単に答えるわけにはいかんだろ」
「……まあ確かにそうだな。事が事だしな」
「ヒナは神に選ばれし者だというが、それを証明する手立てはあるか?……無ければ……武威を示してもらうしかないな」
そういうとガラはニヤリと笑った。
「あー。それズルくないか。合法的に戦いたいのが見え見えだぞ」
「知らん。世界の危機だからな。慎重に見極めないといかんだろ」
「そんな時間ねえよ!」
「とはいえなあ。神様と創造神様に申し訳が立たんからなあ。戦うしかないか。うん、仕方ないよなあ」
「あ」
「ん?」
「ガラ、ナイスパス。うっかりだな! 神は創造神になっておじいちゃんにキャラ変したぞ。で、創造神は時空神になった!」
「げ!」
「よっしゃー!」
コントかよ! 楽しいけど。
「とにかくさ、すぐに地脈に打ち込まれた歪み発生装置を破壊しなきゃヤバいんだよ」
「そこまで知ってるんだな。早く言えよ」
「急いでるって言ってただろ!」
「そうか?」
「そうだよ!」
「仕方ないな。ならこの件が終わったらひと試合頼むからな」
「はいはい終わったらな。で、裏四国はどうなってる。面倒なダンジョンなんだって?」
「いまはブラウとタイガの番だ。その次がトヤンとエルだな。ワシはその次だ。ウミとペアだぞ」
「伝説メンバーじゃないすか」
「お、知ってるのか。敬語出てるぞ。ワンペナな」
「ツバメ伝記読んだからな」
てかペアで順番待ちってゲームかよ!
「フルメンバー行ってるなら簡単に何とかなるだろ」
「無理だな。ふたり以上はダンジョンに弾かれる」
「そんなのあるのかよ。あ、そうだ。ナビィ!」
「呼ぶの遅いよー! 強制収納は一度呼んでくれないと出られないんだからね!」
「おお、ナビィ!久しいな!」
「ガラー! 久しぶりー♪」
そうか、ナビィ出せば解決だったな。
「悪い悪い。で、聞いてたか? ペアしか受け入れないダンジョンなんてあるのか?」
「まあダンジョンなんてもともと何でもありだからねー。人工ダンジョンならなおさらだね♪」
「本当に面倒だなそれ。間に合うのか?」
「まだ大丈夫みたいだぞ」
「なんでわかるんだ?」
「花川式タイマーとか言ってたな。地脈の乱れをサーチしてるそうだぞ」
わお。
「あの人本当に天才だろ」
「ま、とりあえず行くか。そろそろワシも出るところだったしな。シシ、ついて来い……ってか連れて行け。あのヤバそうなクルマに乗せろ」
「見てたんかい。なら最初から関係者だって分かってただろ」
「まあいいだろ。ワンチャン戦えるかと思ってな」
ほんとにこの人は。
大丈夫かね。裏四国で面倒なメンバー揃ってそうだぞ。
前作の愉快なクセモノたちの名前がチラチラ出てきました。
読んでなくても大丈夫なように心がけますが、もしまだ未読でしたらよろしければぜひ。
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