9-8 ヤバいヤツ
次のボス部屋に到着した。
念のためクマちゃんたちは後衛に下げる。
私が先陣をきろうとすると、ガルから待ったがかかった。
「ここは我に任せてもらおうか。助け出してくれた御礼もあるが、我の実力を知っておいてもいいだろう」
「え、でも女性に先陣切らせるなんて」
「ははは、女扱いしてもらえるとは嬉しいな」
「ガルは強いぞ/任せて平気だよ」
「そうなの? まあ神獣だから大丈夫なのかな」
「まあ任せておけ」
ガルを先頭に扉を開ける。
中にいたのは激しい炎をまとうドラゴンだった。
(神眼!)
サラマンダー! ランクは……SSだ!
それが5体!
「大丈夫か」と聞こうとしたときにはサラマンダーは真っ二つになっていた。
ガルーダ、ヤバいヤツすぎるだろ。
私でもどうにか目で追えるスピードだったぞ。
リルといい勝負なんじゃないか。
飛び出すと同時にワシのような神話の姿に変わり、炎を纏うツメで相手を分断していた。
サラマンダーって炎使いだろ。
それを炎で断ち切るってヤバすぎでしょ。
残りのサラマンダーも次々と屠っていく。
うーん。手伝う隙もないな。
「お見事です」
「すごいな!/相変わらずだねー」
「ガルちゃんヤバすぎ♪」
「ありがとー! あ、宝箱が出たぞ」
みんなで宝箱を開けてみると――中身は小瓶が10本。
「なんだコレ……ってエリクサーだって!!」
「なんだエリクサーか」
「ふーん♪」
「おいおい、エリクサーってアレだぞ? どんなケガも治すっていうやつだろ!?」
「私の魔法で治せるからなあ/チョロいぞ」
「あーね」
そう言われたら確かにな。
テンションあげすぎたな。ちょっとハズい。
これはコピーして……いや世界が変わるやつかな。
シシ隊にでもあげとくか。
残りは長柄総理たちと相談だな。
「ということで我の初陣を祝してもらえるか?」
「ん?」
「バーベキューしかない」
「いいねー/やろう」
「次のリポップまでここはセーフゾーンだよー!」
「なんじゃそりゃ。それが狙いかよ」
ということでダンジョンバーベキュー2回目。
めちゃくちゃ楽しかった。
―――――――
たっぷり英気を養ったあと、次のゾーンへ向かうことに。
ボス部屋の奥の扉を開けてみると、そこはなんにもない空間だった。
「なんだここ。木花と咲那と会ったところに似てるな」
「本当だね/似てるな」
「こんなところに100年居たの? よく耐えられたね」
「ふたりだったからね/ひとりじゃ無理だったな」
「とはいえキツかっただろ」
「何して過ごしてたの?」
「えー、じゃんけんとかしりとりとか?」
いや持たないだろ。
頑張ったんだな。
見つけてあげられてよかったぞ。
「で、ここはどうしたらいいんだろ」
「うーん、行き止まりなのかな/それっぽいな」
「げ、まじか」
「まあシシくんの次元転移でやり直しかな」
お、さん呼びからくん呼びになったぞ。
「やり直しってどこからだ?」
「んー、最初から?」
「まじか。海とか空とか当たりルートで来てたと思ったんだけどなあ」
「確かに。言われてみれば」
「トラップかも/なんかあるんじゃないの」
「神眼♪」
神眼であたりを見回すとなにやら違和感が。
木花と咲那もなにか感じたようだ。
「カーテンだな/カーテンだね」
「どういうこと?」
木花と咲那が女神の力を解放する。
するとあたりを覆っていた白い空間にヒビが入ってなにかが砕け散った。
「おお!」
「わー♪」
「やった!」
それは明らかに今までとは違う空間。
真っ暗だがなぜか全体が見える不思議な場所だった。
奥にはなにかの祭壇のようなものがあり、そこには大きな球体が浮かんでいる。
なんとなくわかる。
ここはきっとダンジョンの最下層。
あれはダンジョンコアというやつだ。
「あれがダンジョンコアかな」
「ナビィも見るのは初めてだけど、きっとそうだよ♪」
「間違いない/当たりだったな」
「じゃあアレ破壊したらいいんだよな」
「うん、それで異世界に入れるはず♪」
「敵の本拠地だな」
「というよりツバメ世界の隣の世界だな/ツバメチームのメンバーに会えるかもな」
「そっか、敵はコソコソ隠れているだけだもんな」
とりあえず壊すか!
ダンジョンコアに近づくと風景が歪んだ。
そして大量のモンスターが姿を現す。
キングシリーズにワイバーン、グリフォン、サラマンダー、あー、ブラッドベアもいるな。
「伝説級もいるよー♪」
おっと、あれは……ヘビモス?
SSSじゃん、なんにせよヤバいだろ。
「やるぞ」
「はい/おお」
「いくか!」
「がんばれー♪」
壮絶な乱戦だ。
魔法を撃ち込む時間もなかった。
それが狙いの奇襲だったのかもしれないが――。
あいにくだったね。
本来は肉弾戦のほうが遠慮なくやれるんだよ。
ゆうに1000を超えるモンスター相手に、私たちはものの数分でケリをつけた。
「すごいなシシくん」
「攻撃魔法はヘタだけどね。殴る蹴るなら躊躇しなくていいからな」
「さすが我が夫/旦那様」
「いいなあ我も交ぜてくれよ」
「6番目だぞ/それでいいならいいよ」
おい、なに勝手にまた決めてんだ!
「冗談はいいから。あれ壊すぞ」
もう奇襲はないな。
祭壇に近づくと私は思いっきりダンジョンコアを殴りつけた。
次の瞬間、私はひとり知らない場所に飛ばされていた。




