9-7 ガルと一緒に再出発
突然の巨大クマモンスターの乱入で作戦本部はちょっとした騒ぎになったが、私たちがいることに気づいてどうにか収まった。
新しい仲間のガルをみんなに紹介する。
「えーと、木花と咲那の幼なじみで神獣のガルーダだ。100年ダンジョンに閉じ込められてたけど偶然出会ったから友達のブラッドベアたちと一緒に一旦帰ってきた」
「みなさん初めまして。ガルだよ」
みんな唖然としている。
我ながらツッコミどころが多いなと思うよ。
もう少し詳しく説明をしてどうにか事態を飲み込んでもらえた。
「それにしても帰るの早いなシシ」
「ホントに。早すぎだよ」
「いやそう思ったんですけどね」
田城さんと卓司は笑いをこらえている。
そりゃそうだよ。
「シシさんおかえりー」
「ただいまアオイ」
「でもダンジョンからモンスター連れて帰るとか出来ちゃうんだね」
「普通は無理♪ 消えちゃうよ♪」
「え、そうなのか!? 危ないところじゃんか。ナビィ、止めてくれよ」
「えー♪ わかってなかったの??」
そう言われてクマちゃんたちを見て理由がわかった。
「ブラッドベア、神僕になってるな」
「そういうことだよ♪」
「ガルの友達だし/最初から神僕だったぞ」
「ごめん、我も言っておけばよかったな」
「相変わらず湘くんは注意力が足りない♪」
みんな分かってたのね。
そりゃそうか。
消えるなら連れてこないよな。
協議の上でガルはダンジョン攻略に同行し、クマちゃんたちはお留守番となった。
リルとリーダーがサイズ変更と人化を教えるそうだ。
連れて帰ったクマちゃんは20頭。
SSランクの巨大戦力の誕生だな。
また安心材料が増えたぞ。
最初はガルと離れるのを嫌がっていたけれど、ダンジョンからは転移できることがわかったし、なるべくたくさん帰ってくる約束をしたら納得してくれた。
人化できたらまたバーベキューをすると言ったらめちゃくちゃやる気になっていた。
ということで2回目の出陣。
最初に泣いてしまったことはこうなると完全に黒歴史だな。
ネタになってしまったけれど、家族の絆は深くなったからいいんだよ(と思うしかない)。
いつでも帰れることがわかったからいいとしよう。
―――――――
さてやり直しだな。
改めてみんなと恥ずかしい二度目の旅立ちの挨拶をして、ガルを見つけたボス部屋へ転移する。
どうやらクリア扱いになっていたようで宝箱と次への扉が出現していた。
ダンジョンはリポップ機能があるという。
別個体とはいえあんなに仲良くなったクマちゃんをもう倒せないぞ。
ある意味、ここで詰んでたかもしれない。
「リポップ前で良かったな。クマちゃんを倒さなくて済んだじゃん」
「え、それはそれ。次は瞬殺するよ」
倒せるんかーい。
「いちいち100年かけて調教できないよ。もうヒマじゃなくなったから無理。そもそもブラッドベアなんて激ヤバモンスターだからな」
うーん。
神獣ドライやな。
次にブラッドベアが出てきても私は愛着が邪魔して倒せないぞ。
宝箱の中身はクマのぬいぐるみだった。
なんじゃそりゃと思ったけど、ナビィによるとなんとこれ、自律活動ができるゴーレムらしい。
「絶対もらう。これはオレのモノだ!!!」
「えー、ずるい/私もほしい」
「おい、流れ的にこれは我のだろう」
「ナビィも欲しいなあ」
あれこれ揉めたけれど、コピーすりゃいいじゃんということに気づき、ひとりひとつずつクマちゃんゴーレムを手に入れたのだった。
―――――――
次の扉を開けるとダンジョンはまたジャングルステージに戻った。
海や空よりこちらのほうが乗り物に乗れない分、我々には手間がかかる。
ということで、私は肩に乗せ、女神とガルは抱っこして、ナビィは逆に頭に乗せてもらいと思い思いのスタイルでクマちゃんを連れて密林を進む。
本来、恐ろしいはずのダンジョンも見た目クマのぬいぐるみを連れた御一行となるとかなりシュールだ。
うーんかわいいなあ。
おんなじ見た目なのでそれぞれ思い思いの服をクリエイトして着せてみたらとんでもなくキュートなテディベアが誕生してしまった。
私のはオリジナル個体で名前は「クマ吉」。
ライダースジャケットを着せている。
木花咲那のコピーゴーレムは「クマックル」で真っ白のワンピース。
ガルのは「ベアベア」で黄色いジャージを着せている。
ナビィのは「クーマ」でピンクの羽付きだ。
同じ個体のはずがどうやら性格も違っているようで面白い。
主人格が違うのだから喋り方にも個性が出てきつつある。
こりゃ楽しみが増えたぞ。
なお、このブラッドベアゴーレム、それなりに強い。
基本能力だけでSランクは簡単に倒してくれる。
この先はそれぞれの育て方だな。
私が魔法剣士、女神は魔法使い、ガルは格闘家、ナビィは妖精と育てる方向も違うからとても楽しみだ。
やがてマップにボス部屋の兆候が映し出された。
さて次はどんなモンスターとの戦いになるのかな。




