9-6 快進撃!ーーからの。
海のステージの次は山だった。
ここもタンドラで快適な旅となった。
どんな傾斜も平気だし、モンスターは逃げるし、たまに戦いになっても自動迎撃、自動回収だし。
ボスは基本セットのキングたち。
キングはAランクだったけど自動迎撃で瞬殺だった。
海がSだったのにな。
まあ楽で良かったけどさ。
宝箱は金貨だった。
次のステージは……なんと空。
心底、私たち以外がクリアするにはどうしたらいいんだろうな。
異世界ヘリのオートパイロットで快適な空の旅を楽しみながらそんなことを考えていた。
空のモンスターも海と同じく貪欲に攻撃してくるが、近づくことさえできずに自動迎撃で倒されていった。
ボスはSランクのグリフォンとAランクのワイバーン。
かなりの群れだったが私たちの出番はなかった。
宝箱は自動回収なので中身は不明。
海と同じくあとのお楽しみだな。
空ボスを倒すと、なんと空に浮かぶ島が現れた。
これにはとんでもなく感動した。
「みんな外見ろ! すごいぞーー!」
「ふーん/あーね」
「なんだよすごいじゃんか!」
「神界が浮いてるからなあ/そこで生まれ育ったし」
「あー確かにそういえば神界って雲の上にあったな」
「あ、そうか湘くんあんまり神界知らないんだね♪」
「そうだよ。教えてくれよ」
「次は案内するね/楽しみにしててね」
空島に降りるとそこには小さな屋敷が建っていた。
他には何もない。
ただ、今までとは感じるプレッシャーが別モノだ。
「ここはなんかヤバいかもな。重圧がすごいぞ」
「確かに/気をつけろ」
「なんだろうね。屋敷の扉越しにビリビリくるね♪」
「気をつけてな。入るぞ」
慎重に扉を開けてみる。
そこは拡張されただだっ広い空間で、外から見たサイズとはスペースが全く異なっていた。
そしてそこにいたのはひとりの女性。
やけに神々しいと思ったらなんか背中に羽が生えてるな。
天使かなにかだろうか。
うん、アラートもないし、悪い気配はないな。
周りには明らかに強そうなモンスターを従えている。
あれは……「ブラッドベア」かな。
確か図鑑によるとSランクの超危険なやつだ。
でもなんかちょっと動揺してる感じだな。
即時敵対しないのは羽の人がいるからだよな……。
「?」
「??」
しばし見つめ合いが続く。
「なんだ、おまえたちは」
「え、いや迷ってて。先に進みたいんですけど」
「そうなのか。でもここからは出られないぞ」
「え?」
「我も100年くらいここにいるからな」
なんかいつぞやの女神展開だな。
振り返ると扉は閉まっていた。
まあ開かないやつだろうな。
「木花、咲那。これってさあ……」
「ん? ガル!?/ホントだ! ガル!」
「え!」
「私だよ!」
「あー! 女神ちゃん!」
そう言って抱き合うふたり。いや3人。
手をつないでめちゃくちゃ喜びあっている。
なんの展開かな。
――――――――
「木花、咲那、知り合いなの?」
「ガルちゃんだよ/ガルだぞ」
「いや意味がわからん」
「幼なじみだ/お友達だよ」
「ねえ女神ちゃん、この人って?」
「私の夫だぞ。シシだ/旦那。ショウだよ」
「えー、女神って結婚していいんだ」
「創造神と時空神の公認だよ/どうだ! 公認だぞ!」
「えー、いつの間に! おめでとう!」
「ありがとう!/ありがとう!」
いつもこうだな。結婚してないけど。
とりあえず改めて挨拶を。
「あー、獅子川 湘です。はじめまして」
「あ、ガルーダです。神獣やってます」
なんと神獣だった。
なんでこんなところに!?
「私たちと一緒に禁止されてたところで遊んでたんだ/みんなで落ちてたんだね」
「なんだ、別々のところに落ちてたのね」
そんなことあるのか。
お互い、お互いは無事だったと思い込んでたらしい。
100年ってのはまさにあの時と同じだったのか。
「で、このモンスターたちは?」
「落ちてしばらくしてこの部屋を見つけてね。入ったら襲ってきた」
「え、なのにどうして」
「ほかに楽しみがなかったから倒さない程度に戦って遊んでたんだよね。遊んでたらみんな強くなったよー」
「……あのさ、ここダンジョンなんだよ」
「えー、そうなの!?」
「仕組み的に彼らを殺せばここから出られる仕掛けなんだと思うけど」
固まるクマちゃんたち。
言葉も分かるのね。
「そっか。ダンジョンならそうなるよね。えー、でももう無理だなあ。すっかり友達だし」
クマちゃん喜ぶ。
これは確かにかわいいかもな。
あ、ガルに抱きついてる。いいなあ。
「ナビィ、なんか方法あるか?」
「お、精霊だ。シシさんってすごいね。女神ちゃんを嫁にして妖精まで連れてるとは」
「ナビィだよ♪」
「ガルだよ。よろしくね」
「でね、ボス部屋のモンスターと仲間になるとか聞いたことない♪ 殺さずにクリアする方法は知らないなあ♪」
これはどうしたものか。
考えてもしかたないよな。
とりあえずは――メシだな。
収納からコンロを出してバーベキューをすることにした。
自慢の宮古牛祭りだ!
「へー。初めて食事というものをしたけれどこりゃハマるわ」
「こんなもんじゃないぞ/ショウのごはんはヤバいんだよ」
「クマちゃんたちも食べていいぞー」
ガルの声かけでブラッドベアたちも恐る恐るバーベキューに手を出した。
で、そこからは止まらなかった。
うんうんそうだろ!
クマちゃんたちはおかわりをもらいに私のところに1列に並んでる。
なんてかわいいんだクマちゃん!
立つと5mくらいのデカさだけど。
食べ終わった頃には私とクマちゃんもすっかり仲良しになれた。
「さてごはんも食べたしそろそろ出ようか」
まああれだな。次元を斬って転移かな。
「木花、咲那。最初のときみたいに空間を斬って転移してもいいかな」
「それしかないかな/やってみようか」
「転移先は? イメージないんだけど」
「ならまあ一度戻ろうか/転移でまたここに戻れるだろうし」
あんな最大なお見送りしてもらっておいてすぐ戻るのか。
なんだかなあ。
まあでも仕方ないよな。
「じゃあみんなオレの後ろにいて。クマちゃんたちもだぞ。こっちこーい。じゃ、ちょっとやってみるわ」
えっとダンジョン崩壊は地脈的にマズいんだろうな。
ちょっと控えめにやれば大丈夫かなあ。
あの時は風魔法だよな。
とりあえず雷撃くらいの加減で…と。
「斬撃」
次元が斬れた。
「転移」
次の瞬間、私たちは作戦本部の司令室に戻っていた。




