4話 女冒険者の休日
王都。
今日は依頼のない休日だった。
いつもなら宿でのんびりしている夜叉だったが――。
「夜叉さん」
「ん〜?」
ギルドを出たところで、夜叉は声をかけられた。
最近共に依頼をこなしている、冒険者パーティー。
その魔法使い。
リゼット
「少し買い物に付き合ってもらえませんか?」
「お買い物?」
「はい。魔法薬の材料と、いくつか日用品を買いたくて」
「いいよぉ」
夜叉はあっさり頷いた。
「私も何か見たいものあるし〜」
「では、行きましょうか」
「うん〜」
二人並んで歩き始める。
◇
最初に向かったのは、魔道具店。
リゼットが真剣な顔で棚を見ている横で、夜叉は店内をきょろきょろ。
「……」
「夜叉さん?」
「これ、かわいいぃ」
夜叉が手に取ったのは、小さな雪の結晶を模した髪飾りだった。
白銀色の飾りが、店内の光を受けてきらきらしている。
「似合いそうですね」
「そうかなぁ?」
「はい」
「じゃあ買おうかなぁ」
「即決なんですね」
「気に入ったからぁ」
夜叉は嬉しそうに髪飾りを眺める。
リゼットはそんな夜叉を見て、少し笑った。
「夜叉さんって、意外とこういうもの好きなんですね」
「うん。綺麗なの好きだよぉ」
「なんとなく分かります」
「リゼットも好き?」
「嫌いではないですよ」
「じゃあ、これも似合いそう」
夜叉が別の髪飾りを差し出す。
「え?」
「リゼットにぃ」
「私に?」
「うん」
リゼットは少し驚いた。
「……では、試してみましょうか」
「うん〜」
店の鏡の前。
リゼットが髪飾りをつける。
「どう?」
「似合ってるよぉ」
「本当に?」
「うん。綺麗〜」
夜叉が素直に褒める。
リゼットは少し照れた。
「……ありがとうございます」
◇
買い物を続ける。
今度は衣料品店。
「夜叉さん、これなんてどうですか?」
「ん〜?」
リゼットが淡い色のストールを持ってくる。
「かわいいねぇ」
「夜叉さんの髪にも合うと思います」
「じゃあ試してみるぅ」
夜叉が鏡の前へ。
リゼットがストールを巻いてやる。
「……どうでしょう?」
「うん?」
夜叉が鏡を見る。
「いいねぇ」
「でしょう?」
「リゼット、選ぶの上手だねぇ」
「魔法の道具を選ぶのと似ていますから」
「そうなのぉ?」
「はい」
「じゃあ今度から一緒に選んでもらおうかなぁ」
「もちろんです」
二人は顔を見合わせて笑った。
◇
昼。
二人は小さな食堂に入った。
「何食べようかなぁ」
「夜叉さんは甘いものじゃないですか?」
「……ばれたぁ?」
「もう何度も一緒に食事していますから」
「えへへ」
夜叉はメニューを眺める。
「これぇ」
「やっぱり」
「リゼットは?」
「私は普通に食事を」
「じゃあ半分こしようよぉ」
「いいんですか?」
「うん。美味しいものは一緒に食べた方がいいからぁ」
料理が届く。
二人で少しずつ食べる。
「美味しいですね」
「ねぇ〜」
「夜叉さん」
「ん?」
「こうして二人で買い物するの、楽しいですね」
夜叉は少し考えた。
「うん」
そして、柔らかく笑う。
「私も楽しいよぉ」
リゼットも笑った。
◇
帰り道。
買い物袋を持って歩く二人。
「……あ」
夜叉が足を止めた。
「どうしました?」
「お菓子売ってるぅ」
「まだ食べるんですか?」
「うん〜」
「……仕方ありませんね」
リゼットが店を見る。
「買いに行きましょうか」
「やったぁ」
二人で店へ入っていく。
その姿を、通りの向こうから偶然見つけたいつもの二人。
レオンと昔から共に。
冒険者をしているカイル。
「……」
「……」
カイルはレオンを少しからかう様に見る。
「レオン?」
「言うな」
「リゼット、お前より夜叉さんと仲良くなってるぞ」
「言うなって」
そんな二人の声など知らず。
夜叉とリゼットは、買ったお菓子を片手に楽しそうに歩いていた。
「リゼット」
「はい?」
「また二人でお買い物しようねぇ」
「……ええ。ぜひ」
その日から。
夜叉とリゼットの間には――。
冒険者仲間と言うではない、少し特別な友情が生まれた。
読んでくれてありがとう〜
今回は、お友達になるお話




