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出来損ないのノア  作者: きな粉
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4/7

戦略会

「なんでここはこんなに寒いんだよおおおおおおおおおおおおお!!」

「うるさい、小娘!!敵に見つかったらどうするのだ!!」

「2人とも、口動かす前に、脳みそ動かしてくれませんか。」

ったく、なんで俺、ニア、亦凡さんの3人組でゼラニウム連合国にいることになったのか。

時は少し遡る。


総司令官は、地図を指差した。

「今戦場となっているのは、極寒の地、ゼラニウム連合国。

 南極に近く、常に吹雪いている。

 ここまで寒い居住区はここ以外にはなくなってしまったため、ゼラニウム連合国は、その寒さや、視界の 悪さで不意打ちして、戦争を終える事が多い。

 あまり褒められた手ではないが、そのために、ゼラニウム連合国はここまで生き残ってきたと言えよう。」

総司令官が、指を地図の上で滑らせる。

「そして、ゼラニウム連合国と戦っているのが、軍備に関しては確実に最強な、ギガント連合国。

 宿主の強さだけではなく、軍備に惜しみなく技術や予算を使っている。

 だからこそ、戦場的に有利なゼラニウム連合国と張り合えているそうだ。

 、、、と、他国に全く興味がない、コールとニアのために説明したのだが、いかがかな。」

「安心しろ、自国にも全く興味がねえ。」

「以下同文ー。」

総司令官の顔が微妙な表情を映す。

その気持ち、痛いほどわかる。今すぐ慰めてあげたい。

「それで、どっちの味方をするんですか?」

「それがな、まだ決めていない。」

「おじーちゃん、これから、あたしの無計画さについて怒っちゃだめね。」

「違う、戦略的無計画だ。

 利益が大きい方を最後まで見極める。ハイエナに成るんだよ。」

総司令官は、ニヤリと笑った。

亦凡さんが、拳を強く握りしめたのが、視界の端で見える。

これが、自国の被害を最も少なくする方法だと、理解しているが、許せないのだろう。

しかし、彼は、何も言わなかった。

「というわけで、ゼラニウム連合国に忍び込ませてある。

 我が国の、本名不明、性別不明、年齢不明、出身不明の敏腕スパイ、スピオンをな。」

「あら、わたくしは、まだその方に合ったことがありませんね。

 新しい出会い、楽しみですわ。」

「だいぶ前から忍ばせ、信頼を獲得させていたからな。

 、、、それでは、戦略を練ろうか、と言いたいところだが。」

総司令官は、横目で俺を見た。

「ノア、ニア、亦凡。

 お前たちは外に用意してある防寒具を着て、今すぐゼラニウム連合国に行ってこい。」

、、、思考が止まる。

え?何言ってるんだ、この人。

「そうして、どうにかしてスピオンから連絡を得ろ。

 その連絡で、どちらにつくのかを決める。」

困惑している俺たちをよそに、話はどんどん進んでいく。

、、、いや、ニアは、なんてことないような顔をして、センターで分けた前髪をいじっているな。

まあ、こいつにことはなんでもいい。

これは、俺たちへの侮辱か?

「待ってください。

 戦略がそれだけなわけ無いでしょう?

 俺たちを、戦略に交える必要すらない弱者と見ているということですか?」

総司令官は、深い緑の目で、俺のことをじっと見つめた。

その目線に、言葉が詰まる。

「我が国の勝利のために、お前たちは知らないほうが都合が良い。ただそれだけだ。

 弱者ならば、元々私の軍隊にいない。

 そうだろう?」

「ですが、、、。」

「私は、間違えない。私に従え。」

何か言おうとしたが、言葉は出てこない。

仕方なく、首を縦に振った。

ここで意地を張っても、結局結果は変わらないだろう。

「いいな?亦凡。」

亦凡さんは、眉間にシワを寄せ、下唇を噛み締めていたが、ゆっくりと、ああ、分かった、と言葉を吐いた。

「そして、1つだけ覚えておけ。」

総司令官が、人差し指を立てた。

「私からの『合図』があったら、作戦を切り替えろ。」

、、、『合図』?

眉をひそめる間もなく、俺たちは、部屋から追い出された。

なんか、医務室とデジャブを感じるな、、、。


というわけで、今俺たちは、ゼラニウム連合国にいる。

「もう、せっかくノアと二人っきりに慣れそうなのに、ゆでダコさんがいるから台無しなんですけど。」

「お前は早く、ノア立ちしろ!ほら、見ろ。ノアのこの呆れた顔。」

「それはゆでダコさんに呆れてるんだよ。ねー、ノア。」

、、、頼むから、2人の言い合いに、俺を巻き込むな。

にしても、本当に寒さがひどく、吹雪で前が見えない。

これは、凍死してもおかしくない寒さだ。

本当に、まずいかもしれない。

こんなとき、『あいつ』なら。笑顔でパパッと解決できるのに。

やっぱり、俺はあいつなしじゃー。


バタン、と扉を閉める音がして、部屋には、モーガン、コール、モニカのみが残された。

少しの静寂を、コールが破る。

「なんでこんな回りくどいことするんだよ。」

「、、、回りくどいこと?何を言っているかさっぱりだな。」

モーガンの答えに、げー、と嫌そうな顔をする。

「とぼけてんじゃねぇぞ、あそこの3人と、スピオンに知らせたほうが、話は早かっただろ。」

モーガンは、何も言わない。

「わたくしも、そう思いますわ。

 だって、バレバレですわよ。モーガン様の中で、どちらにつくか、もう決まっているのが。」

クラリスの発言に、コールがほう、と頷く。

「ねーちゃん、意外と出来んじゃねぇか。

 どぉ?今晩。」

「お褒めいただき、光栄ですわ。

 ですが、コール様や、モーガン様には遠く及ばないこと、それも承知しております。」

クラリスが、ニコリと微笑む。

無視されたコールは、俺カワイソー、と嘆く。

すると、モーガンが言った。

「クラリス。格上を、格上と見て、恐れ、従い、自らを守ることは、力があるものだけの特権だ。」

モーガンが、クラリスを見上げる。

「私は、亦凡が、ノアとニアとともに行動する内に、いつかは、抑えきれないほどの情が湧くだろうと考えている。

 その特権を、見て見ぬふりするほどにな。」

コールが、頭をガシガシとかいた。

「なるほどな。性格わりぃなあ。」

「ええ、そうですわね。最高に、性格が悪い。」

モーガンが、カカッと笑う。

「芽は、早いうちに摘んでおけ、だ。

 わからせる。私の恐ろしさを、な。」

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