第41話「成未と咲姫、二人のその後」
第41話目になります。よろしくお願いいたします。
そして、大変遅くなりましたがブックマークや評価をして頂きありがとうございます! これからも投稿していきたいと考えておりますので、お付き合いのほどをよろしくお願いいたします。
第41話「成未と咲姫、二人のその後」
みんなで遊園地に行ってから、すでに数日が絶っていた。
その後の咲姫との関係だったが、別に険悪な感じになることもなく過ごせているので良かったと俺は思っていた。しかし、
『だから、リクエスト。Naruの全力の兄妹ラブコメが読みたいわ!』
まさか、咲姫が俺の作品にいつも感想をくれていたHimeだったとは。
俺はその事実を、数日経った今でも信じられないでいた。だって、自分の妹が自分が書いた作品を毎回読んでいて、そして感想をくれていただなんて、そんなラノベみたいな話がこの現実であるのだろうかと思ってしまうのだ。
でも、よくよく考えてみれば、コメントの感じからして確かに言われてみれば咲姫なのかもと思える部分もあったとも思う。
だけどな、咲姫がHimeって、イメージがないんだよな。コメントからして高飛車な感じがしたけども、まさか、それが自分の妹だったとは。
俺はそんな感想を抱きながら、俺が使っている小説投稿サイトを開いた。そこで、梨衣に教えてもらった『義妹だから兄を好きになっても問題ないよね』の作品の更新情報を見てみると、ちょうど最新話が更新されていたので、早速読んでみることにする。
この『義妹だから兄を好きになっても問題ないよね』は、文章力はそこまでないものの、雰囲気で読ませてくる作品のため、何となく読む手が進んでしまうのだ。
俺は何となくの気持ちでその最新話を読んだのだが、そこでものすごく驚くなってしまう。
何故かと言うと、今回投稿された最新話の内容が、主人公とヒロイン(兄と義妹なのだが)の遊園地デートの内容なのだ。そこまでは良いのだが、そのデートの内容がまんま前に俺たちが行った時の感じの描写だったのだ。
何故だ? 何故にこんなにこの小説の遊園地デートに既視感を感じるのだろうか?
俺はうんうんと唸ってしまう。
まさか、これを書いてるのってあの中の誰かなのか? もしくは偶然?
俺はそう考えながらも、自分の考えを即座に否定した。
偶然なわけあるか! だって、アトラクションに乗った順番まで同じやねぇか! となると、やはりこの作品を書いてるのはあの四人の中の誰かということになる。けど、俺はまずないとして、梨衣だってあり得ないだろう。梨衣は自身の作品が書籍化するため、そっちの改稿作業に忙しいはずだ。それに、この作品を進めてきたのは紛れもない梨衣だし。じゃあ綾人? いや、綾人もあり得ないか。あいつがこんな純愛的な感じの作品を書くわけがない。あいつが書くのは大抵が官能小説寄りの話だ。俺との勝負時だけ純愛作品を書いていたが、アレは俺との勝負が終わって以降は全話削除していた。何でも、これはオレの色じゃないからねとのことだった。だから、綾人があんな作品を書くわけがない。となると、残るは咲姫になるわけだけど、それこそあり得ないんじゃないだろうか? 咲姫が小説を書く?
俺はその姿を想像してみるが、まったく想像できなかった。
だけど、あの中にいたのは残るは咲姫しかいないのは事実だ。だけど、咲姫が? どうして?
俺はどうして咲姫が小説を書いているのかが分からず、混乱してしまう。
別に小説を書くこと自体、自由なためそこに文句などがあるわけではない。ただ、咲姫って、こう言ったことに興味がないものだとばかり思っていたため、冷水をぶっかけられたかのような衝撃を食らったのだ。
う~ん、やっぱり、この作品を書いたのって咲姫しかいないよな。だけど、だけどな。
俺は投稿者の名前を見てみる。
Blossomっか。確か日本語にすると咲くだっけ? でも、咲姫はHimeとしてアカウントを作っていたんだよな……ん? 待てよ。Blossomが咲くで、Himeが姫だとしたら、二つ合わせて咲姫か。やっぱ、これって咲姫じゃね? いやいやさすがに安易すぎる考えか? だけど前に俺がこの小説を褒めていた時、なぜだか咲姫の奴照れてなかったっけ?
俺は諦めため息を一つ吐くと、真相を確かめるべく咲姫の部屋へと向かった。
「咲姫、ちょっと良いか?」
俺は一応ノックをして声をかけてから、部屋の中に入った。すると、目の前にはピンク色の光景が広がっていた。つまり、何が言いたいかと言うと、目の前では咲姫が絶賛お着換え中だったのだ。ピンク色の上下の下着が目に入り、思春期男子には目の毒だった。
「お兄」
ものすごくドスの利いた声が聞こえてきたので、俺は慌てて誤魔化すことにする。
「いやぁ~、今日もいい天気だなぁ~。あはははは!」
「この変態ッ!」
無論、誤魔化せるわけもなく、俺に待っていたのは咲姫からの鉄拳制裁でした。
でも、一つ言わせて欲しいことは、この世界には不可抗力と言う言葉が存在するではないか。さっきのは一種の不可抗力ではないのかと俺は思うわけで。
ああ、何てラノベの主人公たちは強いんだ。
俺は場違いなことを考えながら、廊下に倒れるのだった。そんな俺の姿を咲姫が、冷たく見下ろしていた。
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現在、俺は妹に向かって全力で日本の伝統、謝りの最終兵器・土下座をしている真っ最中だった。
いくら不可抗力と言えど、妹の霰のない格好を見てしまったのは事実なのだから。
俺は咲姫の部屋で、頭を床に付けて全力で土下座をしていた。
対して、咲姫はベッドに腰を下ろして足を組んで俺を見下ろしていた。
「大変申し訳ありませんでした」
「お兄、反省してる?」
「してるって!」
俺は本気だと言うことを伝えるために、顔を上げるが咄嗟に顔を下げることになってしまう。
何故なら、咲姫は足を組んでいため、俺が顔を上げるとスカートの中が見えてしまうのだ。
何でだろう? さっき咲姫の下着姿をもろに見てしまったというのに、なぜだか今の方がドキッとしてしまう。う~ん、これがチラリズムの法則と言うものか。女の子のこういうのに興奮してしまうのは、思春期男子としては当たり前だよね!
俺はバカな考えを頭の中で思い浮かべてしまう。それを悟られないように、俺は頭を下げ続けたのだが、俺の妹はそんなに甘くありませんでした。
「お兄、何かバカなこと考えてたでしょ?」
「いっいや、そんなことねぇよ!」
まっまさか、バレたのか?
「お兄の嘘つき! 咲姫のスカート中を覗いたくせに!」
やっぱり、バレてました!
「のっ覗いてねぇよ」
俺は無理だと分かっていたが、白を切ろうとするがそんなことは咲姫が許さなかった。
「覗いたよね、お・に・い」
咲姫のその言葉には謎の迫力があって俺は素直に白状するしかなかった。つまり、再び土下座で頭を下げていた。
「本当にすまん」
「はぁ~、もう別に良いよ。お兄が変態さんなのは今に始まったことじゃないから。それで、お兄はどうして咲姫の部屋に来たの?」
ああ、さっきのやり取りでここに来た本来の目的を忘れていた。
俺は改めて顔を上げると、咲姫にあの小説のことを聞いた。
「咲姫に聞きたいことがあったんだ」
「な~に?」
咲姫は俺の言葉を聞いて、首を傾げている。
「この小説書いてるのお前だろ?」
俺の質問に咲姫は最初無反応だったが、みるみるうちに体を真っ赤に染めていく。
「ちっ違うわよ!」
絶対に咲姫だな!
顔を真っ赤にして叫ぶ咲姫の姿を見て、俺は間違いなく咲姫がBlossomであることを確信する。
「やっぱり咲姫だったんだな」
咲姫は俺の目の前で、「う~~」と唸っている。最後にはベッドに倒れ込み枕で顔を隠してしまう。しばらく顔を隠していた咲姫ではあったが、諦めたかのように枕をずらして、目だけを出してこちらを見ていた。その目は軽く涙目になっている。
「どうして分かったの?」
「答えは今日お前が投稿した最新話だよ。今回の最新話は遊園地デートの話だった。そして、この話の中で出てくるアトラクションや、その乗った順番がすべて俺たちが遊園地に行った時と同じだった。偶然と割り切ればそれまで何だろうけど、そこまで俺は割り切れなかったんだ。そして、その日に遊園地に行ったのは俺と梨衣、咲姫に綾人の四人だ。そこから考えていくと、俺はまずないし、梨衣もない。綾人は論外だ。つまり、残るは咲姫一人だし、前に俺がこの小説を褒めたとき、咲姫が何故か照れてただろ? だから、この作者は咲姫なんじゃないかって思ったんだ」
俺がどうして辿りついたかを話している間、咲姫はずっと恥ずかしがっていたが、俺の話を聞き終えた後、静かに語ってくれる。
「別に隠すつもりはなかったんだ。最初はお兄との話題が欲しくて、お兄がネット小説を書いてるから、なら咲姫も書いてみよって思って書いてたんだ。そしたら、思いの外、小説を書くのって楽しいんだって思って。気が付いたらはまってて。それに、咲姫が書いた小説を、あんな沢山投稿されている中から見つけて読んでくれて、ブックマークしてくれて、評価までしてもらえる。それって、ものすごく嬉しいことで素敵なことだって思ったの」
目を輝かせながら語る咲姫の姿を見て、俺も嬉しくなる。
「確かにな。何万って数の小説がある中から俺たちが書いた小説を読んでくれる。その中には評価してくれている人もいるって、めちゃくちゃ嬉しくて最高なことだって俺も思うよ」
「うん! そうだよね! 咲姫もそれを知ってからはネット小説家って言うのかな? そういう活動をするのがとっても楽しいの。それに、お兄が読んでるって知ってから、お兄はどんな気持ちでこの小説を読んでるのかなって思ったの。それに、この小説を書いてるのが咲姫だって知ったらお兄はどんな反応をするのかが気になったんだ。だけど、中々言い出せなくて」
恥ずかしそうにはにかむ咲姫に、俺も笑いかける。
「そっか。でも、最近咲姫には驚かされてばかりだな。告白されたり、咲姫がHimeでBlossomで。本当に今でも咲姫なのかって思っちまうんもん」
「えへへ、ドッキリ大成功かな?」
「ドッキリ以上だっつうの。このバカ」
俺と咲姫は二人でおかしくなり吹き出してしまう。一頻り笑った後、俺は咲姫を呼んだ。
「どうしたの? お兄」
咲姫は起き上がると、俺のことを真っ直ぐに見た。
「咲姫、約束するよ。絶対に咲姫のリクエストに全力で応えてみせる。俺が出せる全力で、俺自身初の最高の兄妹ラブコメを書いてやる! だから、もう少し待っててくれるか?」
「うん、待ってるよ。お兄が書く最高の兄妹ラブコメを待ってる。だって、咲姫はお兄のファン一号だから」
そう言って微笑んだ咲姫の笑顔は、今まで見てきた咲姫の笑顔で一番の笑顔だと断言できるほど美しくかわいかった。
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