7:男2人…女の対応に悩む。
騎乗『する』というよりも、『させてもらっている』だな、アレは・・・と彼方からやってくる少女の様子を見たジンは思った。
「おおっ!あれは!?」
「エン爺、もしかして知り合いか?」
「いや・・・少女の方は存じ上げんが、馬の方は有名じゃぞ!あの巨体にして、それを感じさせない軽やかな疾駆・・・彼の馬こそ、陛下の愛馬『オールワン』に違いないぞい!」
「オールワン?何だ、その変な名前は?」
「確か・・・陛下自ら名前を付けられたんじゃなかったかの?「ワシが乗る馬より優れた馬がおるわけが無いっ!」とかそんな由来だったはずじゃが・・・ともかく、あの馬が名馬であることは間違いないわい。稀に王が騎乗なさるのを拝見したことがあったが、走っているのを見たのは初めてじゃ!」
「そりゃ・・・あんな腹した王様が、戦場に出てくることなんてあり得ないからな。畢竟、名馬が活躍する機会も無かっただろうよ・・・」
「しかし・・・」
エンゾーは刀剣以外とジン以外の事物に久方ぶりの興奮を覚えつつも、頭の片隅では冷静な思考を働かせ、やがて即座に行動に移すべく、隣の青年の腕を引いた。
「ジン・・・行くぞい」
「あん?名馬はもう良いのか?もうすぐここまで来るぞ?」
「だからじゃよ。面倒を避けたいのはお主も同じじゃろ?門番からの許可は得とる。さっさとずらかるぞい」
「・・・そうだな。今更、国のヤツらが俺達にメリットのあることを提案してくる訳が無え。あるとすれば厄介事か・・・」
青年と老人の2人は、付近で未だ馬にまたがる少女に視線を向けている門兵達をいたずらに刺激しないように、心持ち足音をたてないようにその場を離れ、門の向こうへ歩を進める。 しかし、ターゲットの不穏な行動を看過するほど、その少女は愚かでは無かった!
「コラッ、門番っ!後ろの2人を取り押さえなさいっ!これは王命よっ!」
「「「!!!」」」
それを聞いた兵達の行動は流石に素早い。
少女から視線を180度回転させ、対象である2人を確認した男達は直ぐさま駆け寄って来た!
「げっ!アイツらこっちに来るぞ!エン爺・・・早く逃げよう!」
「・・・いや、ここまで来たら少女から話を窺うだけしてみようて・・・」
「おいおい!さっきの今で一体、どういう心境の変化だよ?」
「別に変化などしておらんよ。ワシは『面倒事を出来るだけ少なくしたい』・・・その為に最善の行動を何か常に考えとる。何となくじゃが・・・もしここで、あの少女を無視したとて、ヤツらの追跡の手が緩むとは思えん。下手したら、アチラさん・・・より大がかりな手段でわしらを邪魔してくるかもしれんぞ」
「仮に、もしそうなったとしたら戦うまでだろ?」
「わしは、不要な戦闘は嫌いじゃ・・・死者が出るかもしれん状況は避けたい」
「・・・ったく、本当にそこら辺の思考は鍛冶士とは思えねえな」
「何とでも言えい。それに、ワシの矜持はともかくとして、ここで悪名を上げた結果、お尋ね者にでもなってしまえば、以後、行動がしにくくなるのは間違いない。そいつは困るかもしれんじゃろう」
「何言ってんだよ?今からココを出ようって時に・・・」
「出ても、何らかの理由で帰ってくることがあるかもしれんと言うとるんじゃ」
「・・・分かったよ。その代わり、あの女が、それこそ争いよりも厄介な問題持ち込んできたら、エン爺が何とかしろよ。俺は知らねえからな!」
最終的に折れる形になったジン・・・そんな彼が譲歩するために付けた条件に対して、にっこりと笑ったエンゾーはというと・・・
「・・・善処する」
と、まるで決して言質を取らせない外交官のような発言を返したのであった・・・。
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