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勇者をクビになりましたので、遠慮なく本懐を遂げさせて頂きます!  作者: えみお


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2:王様…用済み勇者を追放す。

「勇者よ・・・お前はもういらん!」


 簡単な儀式と共に、勇者から『聖剣』を取り上げた王が言い放ったのがこのひと言であった。




「「「・・・・・・・・・はっ?」」」




 この発言には勇者当人は勿論・・・昨日、王と共に困窮していた官僚達も驚く。


(「・・・まさか、これが思いついた秘策なのか?」)


 特にドワールはといえば、その短絡的な発想に恐怖すら覚えたほどだ。



 

(「つまり・・・王は、世界は平和になったから、もう勇者など必要ない、つまり報償なんてやらなくて良い・・・と言う理屈で、ジンを追い出そうとしているのか!?」)




 王の短絡的且つ、浅はかな思考。

 その全貌を知ったドワールは思わず・・・


「いけません!王!」


 謁見の間という厳粛な場には決してそぐわない大声を上げていた。


「ん?なんだ?ドワール?」


「この方をどなたと心得ます?先の大戦で魔王を討伐し、我が国のみならず世界を救った英雄・・・ジン=グラム様です!そんな方に対し、「いらん!」とは・・・いくら陛下とはいえ余りにも無礼です。どうか謝罪を・・・!」


「なんだ・・・お前は文句があるのか?」


「・・・そう申しております!」


 ドワールは長年王に・・・ひいてはこの国のために尽力してきた自負が少なからずある。

 そんな配下の忠言に、もしかしたら耳を貸してくれるのではないか?

 そう思っての彼の発言・・・それに対する答えはこうだった。




「・・・ワシは王だぞ」




「・・・っ!」


 壇上から聞こえるこの声に、昨日の様な冗談めかした響きは無い。

 それは、昨日の半ばじゃれ合っていた時のものとは明らかに違っていた。


(「逆らえば・・・私でも殺すと?」)


「・・・」


 言葉の裏に隠された陛下の意思・・・それを感じ取ったドワールは、流石にそれ以上言葉を紡ぐことが出来ない。

 再び、沈黙が場を支配した。


「勇者よ・・・そういうことだ。おぬしは今からただの人・・・それ以上でもそれ以下でも無い。何処へ形とも立ち去るが良い!」




「・・・・・・・・・」




 その時、本当に不思議なことなのだが・・・ドワールには、王からの最後通牒を突きつけられた際の勇者ジンの顔が・・・何だか笑っているように見えた。

 まるで・・・してやったりと言わんばかりに!




「おいっ・・・王様!」




 ここで儀式の折り、最低限口上を述べた時ぶりに、勇者が口を開いた。

 その声は、先程までの落ち着いたものとは打って変わって、それこそ年相応の少年のものになっている。

 悪戯が大好きな悪ガキのような・・・ドワールはそんな印象を受けた。


「ん?何だ?」


 王はその、何処か敬意を欠いた勇者からの呼びかけに、眉間に皺を寄せつつ答える。


(「普段の陛下ならキレているところだ・・・。おそらく王の勇者に対する罪悪感が辛うじて理性を持たせているのだろう・・・」)


 ドワールはそう分析した。


「えーっと、一応確認したいんだが・・・報償はどうなるんだ?昨日の話だと何か頂けるという話だったと思うんだが・・・?」


「はあっ・・・理解力の無い男だな。そんなものは無い。おぬしも昨日はいらんと言っておったではないか?だから渡さない・・・それで良かろう」


「いや、アレは一応言葉の綾なんだが・・・まさか本当に一銭も頂けないとは思わなかったしな・・・。で、実際・・・本当に何も貰えないのか?」


「そう言ったであろう。お前にやる物など何も無い。さっさと故郷の村にでも帰るがよい」


 シッシッと手で振り払うような仕草をする王・・・。

 最早役目を終えた勇者なぞ陛下にとっては、そこらの野良犬と同じということか・・・。


(「ああっ・・・幾ら何でも流石に不憫だ。こうなったら、せめて私の懐からでも何か与えてやるべきか・・・」)


 と真剣に検討し始めたドワール。

 とその時・・・




「・・・はっ、そういうことかよ・・・」




 勇者の口から出たのは、いよいよ王の御前であることを忘れたかのような発言だった!


「あ?何だ、今何と言った!?」


 自らが舐められた態度をとられたことに反応し、声に怒気がこもる王・・・。

 しかし、それにジンが怯むことは無い!




「最後にもう一回だけ聞いてやる。「お前に報酬は何も無い。さっさと出てけ!」と・・・。この国を命がけで救った勇者にくれる餞別がコレなんだなっ!?」




(「ああ・・・多分、コレは慈悲だ」)


 ドワールは元勇者である少年の、この発言をそう捉えた。

 彼は今、王に・・・この王国に最後の機会を与えたのだ。

「今ならまだ・・・許してやるぞ?どうする?」と・・・。




 そして・・・王がそれに気付くことはなかった。




「クドいっ!目障りな男だっ!お前みたいなヤツはこの場に相応しくない。さっさとここからっ・・・いや、この王都から出ていけっ!」




 枷は外れた。

 勇者が・・・いや、1人の青年ジン=グラムが『自由』を手に入れた瞬間だった。 

 ここまで読んでいただきありがとうございます!

 これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!

 

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