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勇者をクビになりましたので、遠慮なく本懐を遂げさせて頂きます!  作者: えみお


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18/19

18:サリヤ…ジンと密談す。

 ユイの正体を知っても尚、彼女の事を忌避することもなく、受け入れる姿勢を見せたサリヤ。

 その様子を見て、ひと安心したジンはというと、今日はここに一泊し明日4人で此処を起つことに決めたようだ。

 エンゾーはユイの様子を見守れる位置で今晩の食事や寝床の準備を開始する・・・がその一方で、サリヤはジンを他の2人から離れた場所にやや強引に連れ出す。

 



 その理由は・・・ユイがいたら出来ない話をするためであった。



 

「ったく・・・。どうしたってんだよ?こんなトコまで連れてきて・・・」


 移動したのはあくまで室内であり、外には一歩も出ていない。

 しかし魔王の部屋は余りにも広大・・・故に、室内にいながら、会話の盗み聞きが不可能な場所まで遠ざかることは十分に可能であった。

 サリヤはここで、気になってはいたものの、ユイの前では聞き辛かったことを尋ねようと思っていたのだ。

 しかし、一方のジンはというと・・・


「・・・そうか。お前・・・もしかしてあれか?俺に惚れたか?」


 と、なんとも明後日の方向に勘違いする素振りを見せる。

 サリヤは一瞬・・・腰の杖を抜きかけたが、それに気付いたジンは手で彼女を制すると、床にドッカリと腰を下ろした。


「冗談だって・・・全く、流石は財務省勤務のエリート様だ。この程度のジョークも通じねえとは・・・」


「こっちが真面目な話をしたくて、わざわざ連れだしたってのに、ふざけたこと抜かすからでしょ!」


「ん?お前も勇者だった頃の俺に好意を抱いていたんだろ?」


「はぁ?何を根拠に言ってんのよ!?そんな事実は無いわよ!」


「いやいや・・・お前言ってたじゃねえか!?この前、エン爺と話してる時に!」


 そんな事実は無い・・・一瞬そう思ったサリヤであったが、その直後、脳内に違和感を感じた彼女は、その正体を知るべく自らの知識に検索をかける。

 すると・・・もしやコレのことか?と思われる記憶が引っかかった!




「もしかして・・・アンタがエンゾーさんの椅子になってたときのこと言ってんの?」




「そんな言い方はするな!!!」


 そのジンの否定の声が余りにも大きかったため、サリヤは咄嗟にジンの口を手で塞ぐ。


「バカッ!声が大きいわよ!」


「お前が俺を馬鹿にしたからだろ!」


 実はサリヤの想像以上に、あの土下座及び椅子扱いを屈辱的に思っていたようだ。


「馬鹿にしてないでしょ。ただ事実を言っただけで」


「・・・ああ、もう分かった分かった!・・・で、聞きたい事ってなんだよ?」


 ジンがようやくマトモに会話に応じてくれる姿勢を見せる。

 サリヤは「コイツともっとスムーズに会話が出来る魔法でもあればなぁ・・・」と頭の片隅で思いつつ、聞きたかったことを尋ねた。




「ずっと気になってたんだけど、ユイちゃんは・・・アナタのことをどう思ってるの?」




 ・・・ここで、もしまたジンが「おいおい、女の嫉妬は見苦しいぜっ!」だとかいう台詞をニヤけ面で茶化してくるようであれば、サリヤは迷わず杖を抜いていただろう。

 しかし、幸運にも(?)ジンは彼女の発言の真意を正確にくみ取っていた。




「それは、「親の敵である俺のことを、ユイがどう思ってるのか?」ってことだよな?」




 サリヤは以前のエンゾーとの会話を思い出す。

 彼は以前・・・ユイには母親が必要であり、彼女自身も母親に会いたがっていると言っていた。

 一般的な魔族達がどんな価値観の元で生活しているのか、サリヤは知らない。

 しかし、母親を恋しがるという、人間の子供でも見られるような反応を示したのであれば、人と彼等との間に・・・すくなくとも『家族』という概念における違いがあるとは考えにくい。

 ・・・だとするならば、父を殺した相手と行動を共にすることを、彼女が快く感じているとは、サリヤは到底思えなかったのだ。

 故に彼女は、こうして直接当事者である元勇者を呼び出し、話を聞くことにした。

 ジンが質問の意味を理解していることに同意の頷きを返すと、サリヤは更に言葉を続ける。

「そもそも、ユイちゃんはあなた達に付いていくことに同意してるの?無理矢理連れて行こうとしてるわけじゃないんでしょ?」




「うーん。勿論ユイにはキチンと伝えたぞ。「俺がお前の親を倒した。お前はコレからどうする?」って・・・」




「馬鹿じゃないの!?」


 バシンッ!!!

 

 サリヤ・・・ジンのあまりにも配慮の無いユイに対する発言に、思わず手が出る!


「痛ってえな!仕方ねえだろ!事実なんだから!」


「事実なら何でもかんでもストレートに伝えりゃ良いってもんじゃないでしょ!一体どういう神経してんのよ、アンタ!?」


「んなこといったって、どうしようもねえだろうが!殺したばっかの父親が生き返る訳でもねえんだ。親の敵である俺が言わなきゃならねえ時点で、どう言い繕うが大差無えだろ!」


「ウッ・・・た、確かに・・・そ、それで?付いていくかユイちゃんに尋ねた時、彼女は何て言ったの?」


「えーと、確か・・・「私の父様を倒したの?」とか聞き返してきたんだよ。だから、「ああ、そうだ。俺がお前の父親を倒した」って言ったんだ。そしたら「そう・・・分かったわ」って言って・・・あー・・・」


「・・・ん?言って?」


「・・・そしたら、ユイが自分の部屋から出て・・・ここに・・・」


「・・・ん?ここ?」


 こことは即ち、今自分達がいる魔王の部屋のことだろう。

 

「えっ・・・待って・・・じゃあアンタ・・・もしかして・・・」




「しょ、しょうがねえだろ!フラーッと出て行ったんだから!こっちだって魔王との戦いで疲労困憊だったんだよ!だから・・・だから、まさかユイにズタズタに切り裂かれた魔王の姿を見せることになるなんて思わなかっ・・・」




 バッチーン!!!!!!




 本日2度目の平手打ちは、1度目よりも遙かに強烈だった!!!

 ここまで読んでいただきありがとうございます!

 これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!

 

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