19:ユイ…ようやく開口す。
このエピソードより、文書ごとに一行開けるという形で、テキストの記入方法を変更しております!
「スマホでご覧になられる方には、こちらの方が見やすいのでは?」と考え、実験中です。
「以前より読みやすくなった!」「前の方が良かった…」等、どんなものでも結構ですので、感想頂けると嬉しいです。
これからも応援の程よろしくお願いいたします!
それでは、本編をどうぞ!
「痛ってえ!?おいコラ!?お前、今の本気だったろ!?」
「当たり前じゃない!自分が切り刻んだ親の死体を娘に見せるなんて、何考えてんの!?」
「だーかーら!しょうがねえだろうが!こっちはたった1人で世界救った後で疲労困憊だったんだよ!まさか親が死んだこと伝えた瞬間に、ふらっと出て行くなんて思わねえだろ!」
「思いなさいよ!いきなり現れた謎の男に、父親が死んだって言われたら、安否を確認したいと思うのは当然じゃない!」
「そうか?もし俺が同じ事言われても、「ふーん」で終わりなんだけどな」
「アンタみたいなお気楽脳天気馬鹿と、いたいけな少女を一緒にしないで!」
サリヤはそこまで言うと、ハアッと1つ溜息を吐く。
「ああもう・・・一体どうすれば良いっていうのよ?自分の父親を殺して、あまつさえここまでデリカシー皆無の男が連れてきた女に、ユイちゃんが心を開いてくれるとはとても思えないわ!」
「まぁ、そこをどうにかするのが、お前の腕の見せ所ってことだな!」
「何よそれ・・・」
サリヤは物陰からこっそり顔を出し、ユイの様子を窺う。
彼女の様子は依然として変わらない。
ジンによって巨大な椅子から下ろされ、サリヤに紹介された時と全く変わらぬ状態で、扉の奥を只じっと見つめるのみだ。
「ねえ・・・ユイちゃんさ、ずっと私達が入ってきた扉を見つめてるじゃない。何で?」
「いや、知らん」
「知らん・・・って。アンタねぇ」
「いやいや、こっちに何か危害加えてくるわけでも無いのに、必要以上に踏み込んでどうするんだよ?」
「・・・アンタそれで、よく私に『母親代わり』なんて引き受けさせようと思ったわね」
「ソレを言ったのはエン爺であって、俺じゃねえ」
「あっそ・・・もういい。私ユイちゃんと話してくる」
サリヤはそう言うと、ジンからこれ以上有益な情報を得ることは出来ないと判断し、ユイとの会話を持つべく、彼女の元に向かった。
自身に向かってくるサリヤの足音は、広い室内を反響し、それは当然ユイ自身の耳にも入っていたはず・・・。
しかし、それでも尚、ユイは近づいてくるサリヤに対し視線の1つすら向けはしなかった。
「ユイちゃん!少しお話しない?」
「・・・・・・・・・」
「私ね・・・ユイちゃんのこと、もっと知りたいんだ!コレから一緒に旅をすることになるんだし、少しでもアナタのこと知っておきたいの!どうかな?」
「・・・・・・・・・」
「うーん、なら逆に、私のコトについて何か聞きたいこととか無い?何でも良いんだよ?」
「じゃあぶっちゃけ胸のサイズは?」
「お前は黙ってろ糞勇者!!!」
横から茶化しに入るセクハラ男ジン。
そんな彼を、野良犬の糞でも見るような目付きで睨むサリヤ、そしてその仲睦まじい(?)やりとりを見て、終始笑みを絶やさないエンゾー。
そんな和やかな空気の中・・・ユイの口は唐突に言葉を紡いだ。
「・・・何故、嘘を吐く?」
「・・・え?」
一瞬、それが誰からの問いかけなのか分からず、動揺するサリヤ。
ジンとエンゾーの2人も、たわいない会話を中断し、2人顔を見合わせる。
静まりかえった室内・・・そこに、もう一度彼女・・・ユイからの質問が飛ぶ。
「何故、嘘を吐く?」
「え?私?」
「そうだ・・・他に誰がいる?」
確かに「質問があるか?」と問うたのはサリヤの方である。
故に「他に誰がいる?」というユイの返答は至っておかしくはない。
なのにも係わらず、サリヤはその質問が自身に対して向けられているものだとは思えなかった。
理由は勿論・・・サリヤ自身に嘘を吐いた覚えは無かったからだ。
「え、ええと・・・嘘っていうのはどういうことかな?」
いきなりの嘘つき呼ばわりに、サリヤの笑みはぎこちなくなる。
「嘘は嘘・・・お前は嘘つきだ」
「う、うーんと、ゴメンね。私、何かユイちゃんの気に障ること言っちゃったかな?」
「何だ・・・人間の価値観では、虚言は相手の気を逆なでするものではないのか?」
「虚言?私が何か嘘を吐いて、ソレが気に入らないってこと?」
「・・・先程からずっとそう言っているつもりだが?」
容姿は依然として幼気な少女。
しかし、その口から発せられる言葉の質は、見た目を大きく裏切り、大人びて、且つ辛辣なものだった!
(「ちょっと!聞いてた話と大分違うじゃない!?」)
サリヤはそんな意思を込めつつ、ジンとエンゾーの方を向く。
しかし、そんな男性陣2人はといえば、それこそ鳩が豆鉄砲を喰らったかのような顔を晒しており、彼女の視線に気付くことすら無さそうである。
どうやらユイは今までずっとネコを被っていたらしい・・・。
そう判断したサリヤは、彼女を只の庇護対象と見ることを止め、自身と対等の存在として接することにする。
「ユイちゃん・・・いや、ユイ。私は本当に嘘なんて吐いてないわ。何を根拠に言ってるのか知らないけれど、もしまだ言い張るのなら、その嘘って一体何なのか、私に教えて!」
「何だ?もしかして怒っているのか?」
そう、からかうように言うユイに対し・・・
「あら?魔族の価値観では、根拠も無いのに相手から嘘つき呼ばわりされれば、腹が立たないの?」
先程の仕返しかのように受けて立つサリヤ。
「おいおい・・・何か、自分が予想していた展開とは全く異なるんだが?」
「そうじゃのう・・・ワシも正直、たまげておる」
魔王の娘と魔法使い。
2人には、義理とはいえ、母と子・・・即ち『家族』の絆を結んで欲しかった。
それ故にジン達はこうして引き合わせたのだ。
にも係わらず、どうやら彼女たちの関係は、男共の想像の及ばないところに着地しそうである。
「根拠か・・・なら言ってやろう」
白い衣装に身を包んだユイ。
その彼女の右手がスッと伸びる。
そして、サリヤを指さして、こう言った。
「お前・・・私のことが恐いだろ?」
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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