表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者をクビになりましたので、遠慮なく本懐を遂げさせて頂きます!  作者: えみお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/16

14:3人組…ようやく魔王城の最奥に到達す。

「・・・・・・・・・オェッ」


 入城する直前に、ジンの腕の一振りによってサリヤに掛けられた『加護』。

 彼女の身体を覆うように現れた、青白い膜のようなソレが、病や呪いの類いから一時的に対象を守ってくれるらしい。

 しかし・・・そのような便利な術を使い、また薄目にすることで、出来るかぎり前方を見ないように心掛けようとも、そこら中に存在しているのであろう魔物達の遺骸・・・そこから生じる腐敗臭による不快感はどうしても拭えなかった。

 結果、彼女は入って1分も経過しない内から、こうして度々吐き気を催しているのである。

「・・・おい、大丈夫か?」


 城内は広く、故に目的の場所までは、まだ少し距離がある。

 にも係わらず、既に限界寸前といった様子のサリヤを見て、心配になったジンは彼女に声を掛けた。


「・・・あ、アンタは・・・私が大丈夫そうに見えるの・・・?」


「いや、全く」


「・・・なら、そういうことよ」


 どうやら、大分ヤバそうである。


「サリヤ嬢・・・もうちょっと頑張れるかの?」


 エンゾーも彼女を気遣う。


「・・・あと、どのくらいですか?」


「んん、後もう半分・・・と言ったところかの?」


 正直に言えば、折り返しはもう少し先なのだが、エンゾーは少しでもサリヤに希望を与えるべく、あえて嘘を織り交ぜた。


「・・・なら・・・頑張ります」


「サリヤ嬢・・・もし、どうしても駄目そうなら、いっそジンに負ぶって貰えばよかろうて・・・」


「それは嫌です!」


「何だよ・・・その断固とした拒絶は?こう言っちゃ何だが、この件に関しては俺達がお前に頼んでることだし・・・もし、お前が限界だって言うなら、ここから先、背負ってやっても良いんだぞ?」


「・・・そんな気遣いしなくて良い。いいから、速く先に進んで」


「・・・分かった。もし、どうしても駄目そうなら、遠慮せずに言え。分かったな」


「・・・分かった」







 それ以降・・・3人は一切口も聞かず、ただ残りの距離を踏破すべく足取りを急いだ。

 会話を無くしたのは、男2人のサリヤに対するせめてもの気遣いである。

 言葉を交わせば、畢竟、必要となる呼吸の数も増える。

 また、会話に集中する余り、歩調が緩んでしまうこともあるかもしれない・・・。

 全ては、息することも儘ならず、一刻も速く目的地に辿り着きたいと思っているであろうサリヤのことを慮ったが故のことであった。

 何度も曲がり、階段を昇り、廊下を歩き・・・。

 


 そしてようやく・・・3人は目的地の直前に辿り着いたのであった。

 


 ジンはそこで、自らと手を繋ぎ、依然俯いている少女サリヤに声を掛ける。


「おい・・・着いたぞ。もう、大丈夫だ」


「ホ・・・ホント?」


「本当だ。嘘じゃねえよ」


「・・・目を開けても大丈夫?」


「ああ・・・大丈夫だ」


「もし・・・嘘だったら?」


「ああ・・・その時は化けて出ていい」


 サリヤはその言葉を聞いて、久方ぶりに姿勢を綺麗なモノにすると、細くしていた目を開いて、正面を見る。




 そこにあったのは、城門と同じほどの大きさを誇る、大きな扉であった。




「ね・・・ねぇ?ここって?」


「分かんねえか?」


「いいえ・・・何となくだけど分かるわ。いや、勿論ここに来たことがあるわけじゃ無いし、事前知識があるわけでも無いんだけど・・・でも、きっとそうよね」




 ココが最奥部・・・魔王の座していた場所なのね。




「そうだ」


 サリヤは自身の予想が正しかったことを知ると、改めてその扉を見る。

 国仕えの公務員達・・・即ち、ある程度収入の安定している人間が住んでいるような一軒家、それを優に超える程巨大な扉から、サリヤは重厚さと威圧感・・・そして恐怖を感じた。

 

「ホッホッ・・・サリヤ嬢の気持ちはよう分かる・・・怖いじゃろう」


「ええ・・・怖いです」


「安心しろよ・・・もう中にアイツはいねえ」


 そう言う元勇者の言に、引っかかるものを感じたサリヤは、何となく聞いてみた。


「アイツって・・・妙に馴れ馴れしいのね。まるで旧友みたいに」




「旧友か・・・なるほど。言い得て妙だな」




「・・・って、え?どういう・・・」


「まぁ、そこも追々話す。ここまで連れてきたことだしな」


 取り敢えず、入るぞ・・・と言ったジンは、今度は扉に手を翳す・・・などということはせず、両手を使って押し始める。

 両開きのソレは、それこそまるで地獄から響いてくるのではと思わせるような、低い重低音を奏でながら、ゆっくりと左右に開いていった・・・。


「ゴクリ・・・」


 サリヤは自身が唾を呑む音を聞く。

 ここに主人はもういない・・・それは周知の事実である。

 しかし・・・それでもサリヤは腰の杖に手を回さずにはいられなかった。




 そして開かれた扉・・・。

 深紅の絨毯が長く続き・・・その終点で現れた、これまた大きな椅子。

 



 そこに・・・おおよそ釣り合いがとれているとは言いがたい・・・とても小さな女の子が座していたのであった・・・。




 ここまで読んでいただきありがとうございます!

 これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ