10:元勇者…少女にとある頼みをする。
「で・・・結局アンタ達は何処に行こうって言うのよ?」
事情を説明することでジンから同行を許された少女サリヤは、早速、彼等から目的地を聞き出すことを試みる。
返事を返したのはジンだった。
「そうだな・・・まずは、お前をアイツと引き合わせるか」
「ホッホッ・・・そうじゃのう」
「・・・?アイツって?」
「あ・・・そういえば言ってなかったな。この旅にはもう1人連れてくから。で、今からお前に会わせることにしようかなと・・・」
サリヤの目が点になる。
「え!?もう1人いたの?てっきり、アンタとエンゾーさんとの3人旅になるものかと・・・」
「まあ、今後は追々増やしていくつもりではあるけど・・・最初は4人旅だな。そういや・・・」
ジンはふと何か思い出したかの様にそう言うと、突然、隣を歩くサリヤの身体を露骨に眺め回し始めた。
それこそ頭のテッペンから足の先・・・そして特に胸部をじっくりと・・・
その余りにも露骨な視線に・・・
「ねえ・・・セクハラってしってる?」
流石のサリヤも物申した!
「ん、なんだそりゃ?王都で流行ってる食いモンか?」
「違うわよ!何いきなり!?人の胸をジロジロと!?何か文句あるの!?」
「いやぁ・・・何というか、お前に母性的なものを期待して良いものかと思ってな。観察してた」
そう言うジンに対し、不審な目を向けるサリヤ・・・。
「何よ急に母性って・・・?それがこの旅にどう関係するのよ?」
「ううん・・・何て言うかな?それがあると助かるというか・・・もしかしたら思わぬ拾いモンしたかなというか・・・」
ジンのどうにも要領を得ない返答に、サリヤは直感的に嫌な予感を感じた。
「あんた・・・もしかして、私に何か面道事押しつけようとしてる?」
「「・・・・・・・・・」」
その質問に対する答え・・・。
それは横の男共の目線があさっての方向に向けられた事実が物語っていた!
そして、それに気付かぬ・・・ましてや、むざむざと利用されるサリヤでは無い!
「一応言っとくけど・・・私、一時的にアンタに付いていってるだけだから!何か問題が発生したら、早急にこのパーティから抜けるから!」
「お、おいおい・・・な・・・何をおかしなこと言ってんだ・・・こいつは?な、なあ・・・エン爺?」
「・・・あんたも人のこと言えないくらい嘘下手よね」
「うっ・・・うるせえ!」
「そして認めちゃったし・・・」
「だ・・・大丈夫!お前ならきっとやり遂げられるさ!なあに簡単簡単!子どもだって出来る・・・その程度のことをちょーっとばかしお前に任せようかな?と思ったんだよ!それだけ・・・ホントそれだけだから!」
「・・・胡散臭いこと、この上ないわね」
「なっ?頼むよ・・・このジン=グラム・・・一生の願いだ!」
そう言ったジンは、サリヤの前に回り込み道を塞ぐように立つ。
そして・・・
ガバッ!!!
つい先程まで「甘ちゃん」だとか「邪魔になるようなら置いていく」等と散々言った相手に・・・それはそれは綺麗な土下座を見せたのだった!
「・・・・・・・・・」
サリヤ・・・呆然。
その間も、元勇者ジン(絶賛土下座中)は必死で言葉を紡いだ!
「なあ頼むよ!お前だけが頼りなんだ!曲がりなりにも元勇者の肩書きを持つ俺が、ここまでして頼んでんだ!ここは引き受けるのが良い女ってもんじゃねえか?」
「・・・アンタは『簡単』で『子供だって出来る』コトをさせるために土下座までするの?」
「ウグッ・・・」
サリヤの正論に、ジンからは呻き声しか出ない。
為す術無く・・・また頭を上げるタイミングも分からなくなり、窮地に立たされた(勿論、土下座中の)元勇者・・・彼が頼れるのは、もう・・・1人しかいなかった!
「エン爺!エン爺からも何か言ってやってくれよ!」
「ホッホッホッホッ!本当にお前達2人の掛け合いは面白いわい!ワシとしては、これだけでもサリヤ嬢に付いてきて貰った価値があるというもんじゃ!」
「そんなのどうだって良いんだよ!エン爺・・・頼む!どうにかしてソイツを丸め込んでくれ!」
「仮にも土下座してるヤツが、依頼してる相手を「丸め込んでくれ!」はないでしょ・・・」
「ふうむ・・・」
依然呆れた調子を崩さないサリヤ・・・その横で、無い髭をしごくような素振りを数回見せたエンゾーは、やがてサリヤと土下座勇者の間に移動する。
そして・・・ポジションを確認して「よし!」と呟いた彼は・・・
「よいこらせっ!」
突然・・・ジンの上に腰を下ろしたのだった!
ここまで読んでいただきありがとうございます!
これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!




