表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
資格を学んで人生やり直し  作者: 仕事が生きがい~結婚諦めた~
第三章 資格を取った後

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/57

第四十話 線を引く人の席

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

その席は、最初から用意されていなかった。


部署のどこにも、

「線を引く役割」などという肩書きはない。

ただ、気がついたときには、

男の机の前で人が立ち止まるようになっていた。


「判断、聞いてもいいですか」


その言葉が、

「決めてください」ではないことを、

男はもう聞き分けられるようになっていた。


この日も、三つの相談が重なった。


どれも緊急ではない。

だが、放置すれば歪む。

押せば進むが、戻れば時間がかかる。


男は順番に話を聞き、

即答はしなかった。


「線は、ここだと思う」


そう言って、

資料の余白に指で示す。


「越えるなら、

 その理由を言葉にしてからにしてほしい」


それだけを伝え、

決断はそれぞれに返した。


午後の終わり、

ふとデスクに視線を落とすと、

メモが一枚残っていた。


> 判断を引き受けていいですか


短い一文。

差出人の名前もない。


男は、ゆっくりと息を吸った。


――引き受ける。

その言葉の重さを、

ここ数週間で嫌というほど学んできた。


引き受けるとは、

正しさを背負うことじゃない。

結果を独占することでもない。


**戻れなくなったときに、

隣に立つ覚悟を持つこと。**


そう理解するようになっていた。


男は、メモの余白に書いた。


> 線を一緒に引こう

> 越えるなら、名前を並べよう


派手な言葉はない。

だが、それで十分だった。


---


定時を過ぎ、

フロアの灯りが少しずつ落ちていく。


窓に映る自分は、

昔より少し硬い顔をしている。


それを見て、男は思う。


資格を取る前は、

守りたいと思うだけだった。


今は違う。


**守るために、

線を引くことを選んでいる。**


嫌われない方法を探すのを、

どこかでやめた。

その代わり、

壊れない判断の置き場所を探している。


机の上には、

今日引いた線の痕跡がいくつも残っている。

消せるものもあれば、

消さないほうがいいものもある。


ここで一度、深く息をつく。


資格を持った男が、

「教える側」「戻す側」を経て、

**線を引く人の席に腰を下ろした**瞬間だった。


ただ、これだけでは終われなかった。

線を引いたあと、

**誰を守れなかったか**という問いが、

必ず残る。

お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ