少年、少しだけキレる。
「なんだよ、その悪趣味な恰好……」
「分からん奴だなー、ニルは。ああいうのに憧れる年ごろというのがあるんだよ。そして大人になったときに、自分のやったことの恥ずかしさに打ち震えるんだ」
メフィが訳知り顔で頷く。
「経験あるの、メフィ?」
「いや、私はそんな恥ずかしい真似はしないさ。だけど、きっと忘れ去りたい過去になると思うぞー」
「おいニル、この小うるさい女を黙らせてくれ」
「だってよメフィ。あんまり言うとクロが可哀そうだ」
「可哀そう? フッ、人の嫌がることをしたくなるのが悪魔というものだからな。定めだと思って受け入れるんだな」
と、メフィはキメ顔でそう言った。
こいつはこいつで相当痛々しいキャラクターだと思うのだけれど。
でも、それを言うと僕だってメフィに乗せられて技名とか考えちゃったわけだし……。
なんやねん、『この斬撃消えるよ』て。
うわ、なんか恥ずかしくなってきた。
十年後の僕、ごめん。
っていうか本当は僕お爺ちゃんなんだろ? こんな風でいいのか?
もっとダンディーで渋い雰囲気とか醸し出さなくていいのか?
世の中イケてるおじさんとかの方が人気らしいし……。
まあそこは非実在中高年だからということで。
「さて、お喋りはやめだ。そろそろ『リュウビ』の構成員が到着する頃だろう。お前たちも俺の右腕として恥ずかしくないようにしていてくれよ」
「任せておくがいい、クロ。私たちが振られた彼女の名前のタトゥーがハートマーク付きで彫ってあるような右腕になってやる」
「僕はいやだな、そんな右腕」
「そんなに嫌がるなよ。なんならお揃いのタトゥーを彫るか、ニル?」
「僕がメフィと? なんでそんなことしなきゃいけないんだよ。それに僕、痛いの苦手だし」
「ふーん、ツレないな」
「お喋りはやめだと言っただろうが! いい加減にしろ! こういうのは最初が肝心なんだ! 俺の威厳ってものがあるだろうが!」
あ、ついにクロがキレた。
なんだァ? てめェ……。
「逆ギレしそうな顔になっているぞ、ニル。落ち着け」
「僕は落ち着いてるよ。落ち着きすぎて頭がフットーしそうだよ」
「うん? ここでその台詞はどうなんだ?」
メフィが首を傾げる。
そのとき、ちょうどいいタイミングで秘密基地の入り口が開き、覆面を被った数人の集団がなだれ込んで来た。
『リュウビ』の構成員たちだ。
次回の更新は2月19日です。




