少年、対面する。
メフィは拳銃を男に突き付けたまま、男と一緒に部屋に入った。
「さあ、話してもらおう。君が『クロ』なのか? それから、どうしてこんなことを始めたんだ?」
「一度に質問するなよ、分からなくなるだろ。とりあえず最初の質問だが、答えはイエスだ。俺が『リュウビ』の指揮官、クロだ」
「じゃあ、どうしてテロみたいな真似をしたんだ? そのせいで君の仲間は治安警察に殺されているんだ」
僕は、僕の前で銃殺されたあの覆面の男を思い出していた。
クロはおどけるように肩をすくめた。
「まあ、理由は色々あるが―――これを見てもらうのが一番早いだろうな」
「これ?」
「そう、これだ」
言いつつ、クロは色付きの眼鏡を外した。
クロの素顔はやはり若く、まだ少年と呼んでもおかしくないくらいだった。
そして、その瞳の色は―――赤色をしていた。
「しゅ、シュニ人なのか?」
どうしてシュニ人がナパ人の組織を動かしているんだ?
どうして帝国に歯向かうような真似をするんだ?
「簡潔に言えば復讐だよ。それと」
クロは左手の袖から何かを取り出しながら、言葉を続ける。
「俺の復讐を誰にも邪魔させはしない」
スイッチだ、と思った時には、既にクロはそれを押していた。
クロのいる地点だけを残して床が発破される。
足場をなくした僕とメフィはそのまま宙に放り出された。
「チッ……」
迂闊だった。
クロの目に気を取られて反応が遅れた。
「残念だったなぁ時代遅れの剣士さん! 惜しかったぜ! じゃあまたな!」
クロは高笑いを上げながら窓に飛び移り、外へ逃げようとしている。
――――させるか。
僕は、落下する瓦礫を足場に、跳んだ。
「ニル!」
「こっちに掴まるんだ、メフィ!」
そのままメフィの体を抱え上げ、瓦礫から瓦礫へと飛び移り上昇する。
最後の瓦礫を足掛かりにして飛び上がった僕は、窓辺に佇むクロの目の前に着地した。
「……ずいぶん早い再会だったなぁ」
引き攣った笑みを浮かべながらクロが言った。
「君も、当てが外れて残念だったね」
「ってことはアレか。C班を一瞬で壊滅させたのはお前か。ったく、俺の戦略を戦術でめちゃくちゃにされるとはな」
「復讐ってどういうこと? 君はシュニ人だろ。どうしてルクト帝国への反逆行為をやってるんだ」
「お前、帝国の密偵か何かか? そんなことを知ってどうする」
「……ただ知りたいだけだよ。僕の目的は帝国を滅ぼし幸せな国を創ることだから」
そう言うと、突然クロは大きな声で笑いだした。
「気が狂ったのか、この男は?」
「さ、さあ……?」
クロはひとしきり笑い終えると、
「面白いなあ、これは。俺に必要な最後のピースはお前だったのかもしれない」
「なんだよ、気持ち悪い」
「そう言うな。……なあお前、俺について来いよ。この国が滅ぶ瞬間を特等席で見せてやるぜ」




