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少年と必殺技。


「抵抗は無駄だ。降伏しろ。でなければ強制排除を行う」


 僕はただ、呆然と血と肉の破片と化した男の死体を眺めていた。


 ――――殺したのか? 何の躊躇もなく?


「奴らは殺しのプロだ。このままだと私たちも危ない。逃げるぞ、ニル」


 僕に覆いかぶさったままメフィが言う。


「いや、だけど……ナパ人を見殺しには……」

「馬鹿なことを言うな。放っておけばこいつらもシュニ人を殺しただろう。それともあれか、ニル。今更平和主義にでも目覚めたか?」

「何も殺すことは……彼らはもう武器もなかったのに」

「それこそ馬鹿な考えだな。お前だって私を守るとき、あの山の中でシュニ人を殺しただろう。一緒だよ」

「……一緒?」

「とにかく、今ここを離れなければ私たちの身が危険に晒される。逃げよう、ニル」

「分かったよ。だけど、その前にやらなきゃいけないことがある」

「……お前、妙な気を起こすなよ?」

「僕らは運命共同体なんだろ? 付き合ってもらうよ。しっかり捕まってて」

「お前は本当に馬鹿だな」


 呆れたようにメフィが呟いたのを合図に、僕は立ち上がり、剣を片手に走り出した。


 ――――治安警察の隊列へ向かって。


 僕の背中にしがみつくメフィの体温を感じた。


「発砲を許可する」


 隊長らしき男がそう言ったのと同時に、武装集団は一斉に僕めがけて銃を放った。


 だけど―――遅い。


 銃口から発射される弾丸の一発一発が、僕にははっきりと見えた。


「斬れる……」


 そう思った瞬間には、僕は弾丸を一つ残らず切り落としていた。


 そしてその勢いのまま敵の陣内に突っ込んだ。


 呆気に取られたような兵士たちに対し、剣を振りかざす。


 その瞬間メフィが叫んだ。


「必殺のぉ! オー〇斬りだぁーっ!」

「え!? 何だって!?」

「……いや、何でもない」


 直後、僕の頬に鋭い痛みが走った。

 撃たれた―――そう気づいたときには、僕は周囲の兵士を峰打ちにしていた。


「メフィが余計なことを言うから!」

「すまない。悪ふざけが過ぎたらしい。そんなことより早く脱出しよう」

「分かってるよ!」


 動揺の残る治安警察たちを尻目に、僕らはその場を離れた。





 路地裏に逃れた僕らは、人目につかないところで息をついた。


「どうやらあのテロ行為は同時多発的に行われたものらしいな。見た限りでは、中心街のあちこちで同様の事件が起こっている」

「まあ、それはそれとして……〇ーラ斬りってなんだよ」

「ん? いや、無言で敵を斬り倒していくのもアレかと思ってな、技の名前を考えておいてやったのだ。一応他にも天翔(あまかける)〇閃(りゅうの〇らめき)とか月〇天衝とかを考えていたのだが、どれが良かった?」

「どれも却下だ!」


 僕が怒鳴ると、メフィは落ち込んだような表情で、瞳に涙を浮かべながら僕を上目遣いで見上げ、


「……ダメか?」

ちょさくけんてきにあうとだ!」





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