少年、襲撃者と戦う。
そのとき、人影がひとつ、隊列を離れこちらへ近づいて来た。
手には、山の中で出会った兵士が持っていたような細長い棒――ライフル銃を持っている。
……今だ。
敵が僕の手の届く範囲に足を踏み入れた瞬間、僕は窓を開け放ち外へ飛び出した。
「な、なんだお前―――」
驚いたような男の顔を思い切り殴り腹部を蹴りつけ、地面に倒し、腕をねじりあげライフルを奪った。
「君たちは何者だ? 答えろ」
僕がそう訊いたときには、既に男は気絶していた。
ちょっとやりすぎてしまったらしい。
とりあえず僕は音を立てないように注意しながら、男を物陰に引きずりこんだ。
男の腰には片手剣が装着されていた。
よし。これがあればなんとかなりそうだ。
幸い、まだ僕の存在は敵に気付かれていない。
物陰からそっと顔を出し、敵が僕こちらに背中を向けた瞬間、僕は動いた。
「……っ!?」
僕の気配に気が付いたのか、侵入者たちは一斉に僕の方を振り向いた。
しかし、もう遅い。
光を捕まえられる人間なんて居ない。
敵がライフルを構える前に、僕は侵入者の一団をさっき奪ったばかりの片手剣で斬り倒していた。
「うう……」
僕の足元に倒れた男が呻く。
情報を聞き出すために峰打ちにしておいたのだ。
僕は、男の眼前に剣を突きつけた。
「さあ、君たちのことを教えてもらうよ。ここへ何しに来た?」
男が驚いたように顔を上げる。
瞳が赤い。シュニ人だ。
「お、俺達は何も知らねえ。ただこの屋敷を襲うように言われただけだ」
「誰から?」
「し、知らねえよ! 俺たちは雇われただけだ」
「ここが誰の屋敷か分かっているのか?」
「ロニ家の生き残りが住んでるんだろ? ナパ人どもの中にはロニ公国を再興しようって連中もいるから、俺達シュニ人にとっちゃ目障りなんだ―――」
男の言葉を遮るように、屋敷の反対側から爆発するような音が聞こえた。
同時に向こう側で火の手が上がるのが見えた。
しまった、迂闊だった。
先に敵を全滅させておくべきだった。
「何人いるんだ、君たちは」
「……あんたもシュニ人だろ? どうしてナパ人の見方をするんだ」
「僕の父親はナパ人だ―――いや、その前に、僕は恩人を裏切るような人間じゃない」
僕は男の腹部を蹴り、彼を気絶させた。
……またやってしまった。せめて敵の数くらい聞きだしてから気絶させれば良かっただろうに。
とにかく、今はノインさんやラシャラさんの無事を確認する方が先だ。
僕は屋敷の中に駆け込んだ。
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