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少年、襲撃される。


「ところでニル様」

「は、はい」

「家は見つかりましたか?」

「それが実は、位置関係があやふやでよく分からないんです。だから、まだ見つかってません」


 一応屋敷の外に出て山の方を歩いてみたのだけれど、見覚えのある場所には辿り着かなかった。

 山小屋に住んでいたのは覚えているけど、帰り道は分かっていない。


「そうですか。ノイン様がお許しになっているのなら、私に不満はないのですけれどね」

「すみません、ご迷惑おかけして」

「……謝る必要はありません。私もあなたと似たような境遇にありますから」

「え?」


 洗い物を終えた手をタオルで拭きながら、ラシャラさんが赤い瞳を僕に向ける。


「みなしごだった私を保護し、家事手伝いとしてこの屋敷においてくださったのはアハト様―――ノイン様のお父様です。あの方に助けられなければ、私は今頃路地裏で野垂れ死にしていたでしょう」

「路地裏で……? でも、ラシャラさんはシュニ人でしょう? 誰も助けてくれなかったんですか?」

「一言でシュニ人と言っても千差万別です。ナパ人とそう変わらない暮らしをするシュニ人もいるのです」

「……そうなんですか」

「さ、こんな話はやめましょう。ニル様、お風呂はどうされますか?」

「風呂ですか? 僕は後からで構いませんよ」


 僕が言うと、ラシャラさんは表情を明るくした。


「そうですか。では、私が先に入らせてもらいますね」

「……お風呂好きなんですか?」

「好きなんです。一緒に入りますか?」

「い、いえ、僕は遠慮しときます」

「冗談ですよ。それでは」


 そう言い残しラシャラさんは台所を出て行った。


 さて、僕はどうしよう。


 そういえば今日の分の素振りがまだだったな。適当な棒を見つけて、一応やっておくか―――。


「!」


 嫌な気配がしたのはその時だった。


 殺気にも似た圧迫感。


 僕は一度呼吸を整え、気配のした方へ急いだ。





 僕は明かりの消えた廊下に身を屈めながら、暗くなった庭の様子を窓から眺めた。


 複数の影が蠢くのが見えた。


 気配は屋敷を取り囲むように動いていく。


 統率の取れたその動きは、きちんと訓練を受けた人間がする動作に見えた。


 ……まあ、僕はプロの傭兵でもなんでもないんだから、そんな人間が感じたことなんてあてにはならないんだろうけど。


 しかし、敵意を持った集団が屋敷に現れたということだけは間違いない。


 さて、どうする?


 誰から倒す(・・・・・・・)



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