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Episode.002  チュートリアルが長すぎる件

Episode.002  チュートリアルが長すぎる件

今回は神様が桃香の精神体とやり取りが異世界へ向けての会話になります。

チュートリアルは短くしたかったのですが、どうしても3話か4話で使う素材が説明しとかないと都度長くなるかと思いチュートリアルを長くした結果… 


ぜひ最後までお楽しみください。

 どのくらいたっただろう…私は意識を取り戻した。

 周囲は暗く、どこを見渡しても暗闇が広がっていた。



「と言ってもその見渡す行為自体が出来てるのかもわからない状況なんだけどね...。」



 とりあえず自分の体があるのかすらわからない、手足が動いている感覚もない。

 何もできる事がないと悟った私は、神様に言われた事をやってみた。



「新書」



 口から発する声と呼べるものは聞こえず、ただただ無音だった。やっぱり精神体で神様のいた空間と同じだと悟った。

 と同時に、目の前にはものすごく分厚い、一冊の本が現れた。



「え、えぇぇ…10cm以上はありそうなんだけど。でも深夜アニメはちょくちょく見てたから異世界転生ものや転移ものは多少知識があるわ。こういう時は、何でも試してみるに限るよね。」



「ステータスオープン」

「やった!開いた。けど、力、体力、素早さ、知識、器用さ、スタミナ、交渉力、運、魔力、熟練度、修練度はゼロね。」

「下にスクロール。」



 下にスクロールすると見慣れない項目がそこにはあった。



「神熟練度?信仰力?信者数?神力?生命の息吹には属性ごとにあるわね。国家幸福度?国家市民忠誠度?どういう事?まって、こんなステータス画面はアニメの転生物では見た事ないわ。」



 私が頭を悩ませていると、頭の中に声がするような感覚があった。



「桃香さん、お困りのようですね。ステータス画面の意味をご説明しましょうか?」


「え、えぇ、お願いします。」


「桃香さんにはー…な!なんと神の試練を受けてもらいます。」


「神の試練!?ちょっと待ってよ、戦いはないって言わなかった?」


「ですから、少なからず戦いは避けられない、そういう説明はしたはずです。桃香さんが仰ったのは、限りなく争いから無縁の世界、桃香さん自身は争い自体には参加しません、なので問題はないはずです。国同士の数万人規模の戦だろうと、野盗や盗賊が村を襲う100人程度の小さな争いでも、人外の争い動物同士、多かろうが少なかろうが神として参加する事はありません。もし行使しようものなら神の力は偉大です。ひとたび神の力を行使すれば、一国を滅ぼすなど造作もない想像を超える、膨大な力を有しているからです。それを行使する場合、それは間違いなく全ての国を崩壊し、リセットする時でしょう。」


「そ、そんな、私にその力が与えられたって事?」


「はい、ですが桃香さんはそんな事にはしないよう邁進(まいしん)するでしょう。」


「そんな事は絶対にしないしするつもりもないわ。」


「ですから、桃香さん自身は争い自体には参加する事はないのです。桃香さんが仰った『限りなく争いから無縁の世界』ではないでしょうか?」


「うーん、確かにそうね。何か引っかかるけど分かりました。で、今この現状はどの状態なの?」


「桃香さんは今は精神体です。これからどの子になるか決まります、というか決められます。」


「き、決められる!?なにそれ、どういう事!?」


「キャラメイクと言ってみてください。」


「キャ、キャラメイク」



 本のページが変わり、そこには膨大な調整バーと項目が記されてあった。



「な、何、何なのこの膨大な項目、胎児の月齢!?生年月日、名前、年齢、髪の長さ…エトセトラエトセトラ!って、これじゃゲームのキャラメイキングじゃない!?それに胎児の月齢があるのに年齢ってバグってない?」


「何を言ってるのですか?あなたは転移ではなく転生です。だから胎児の月齢があってもおかしくは有りません、年齢は神なのですから、自由に弄れるに決まっているではありませんか?男性の神は年老いた姿を好む神もいますが、女性は若いころを維持したいじゃないですか?それに人間界で暮らすうえで、国家権力に追われる身になった時、姿を変えないといずれ捕まります。」


「!? じゃぁ容姿も年齢も、その時の都合で変えたい放題なわけ?!そのためのパラメーターの多さって事?」


「その通りです。ちなみに貴族って項目で王族、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、から選ぶ事が出来ますし、その下の家系で長男、長女、次男、次女などを選ぶ事が出来ます。その際関わる人物の記憶が操作されて不自然なほど、あなたが急に表れても自然と受け入れてもらえますよ?」


「ちょ、ちょっと頭が痛くなってきたわ。つまりは全ての人間の家族や親にすらなれるって事?」


「簡単に言えばそうなります。うまく利用してください。」


「でも今、年齢弄ろうとしたら弄れなかったけど。」


「それは桃香さんが生まれていないからです。肉体がないと年齢操作はさすがにできません。」


「一番下の特記事項って何?」


「そこは特殊でして、自分に課す禁足事項です。そこに記入する事で、自分に足枷を課します。その代わりと言っては何ですが、記入する内容により熟練度、修練度、神熟練度、神力のポイント、Lv等が増えます。禁足事項を破った場合はHPダメージや魔力低下、スタミナ等が一時的に下がったり、永久的に下がったりします。」


「永久的に下がるのはまずくない?弱い神になるって事でしょ?」


「地球には3大欲求なるものがありますよね?食欲、睡眠欲、性欲、そしてこの世界にも、食欲、睡眠欲、性欲、それ以外の欲求があります。殺人欲、金銭欲、窃盗欲。この6種の内、1つを、そうですね...例えば金銭欲で金欲しさに人をだましませんと書いた状態で、禁足事項を破らなければ、永久的に下がったりはしません。」


「んー線引きがあったりするのかな?食欲なら食べなくても生きられるとか、睡眠欲は眠くならないとか、性欲なら異性を意識しなくなるとか?」


「書く内容によります、食欲を糧にすると書けば、食欲はありますが、食事をしなくても生きる事が可能です。食事をしたいが、食事をしないという足枷をつける事で、強力なバフを得られます。しかし口にした場合は、永久的なデバフは覚悟する必要があります。でも書くなら神に限りなく近い存在になった際に書けばよいかと。家族との食事で口にする機会は必ず出てきますしね。」


「殺人欲、金銭欲、窃盗欲のこの3つは良く分からないのだけど説明お願いできる?」


「人を殺す事に快感を覚える事を殺人欲と呼びます。大抵の場合は、殺人欲と窃盗欲は対で持つ方が多いですね。盗賊や野盗がそれにあたるでしょう。金銭欲は富豪に多いです。お金さえ稼げれば手段は厭(いと)わない、ある種一番たちが悪い欲ですね。」


「じゃぁ、殺人欲、金銭欲、窃盗欲を糧にしますと。おっけー。どれだけ食べようと、少ししか食べなかったとしても満足する事はない体に、お腹の虫は鳴らない。睡眠欲は睡眠時間は最大8時間で強制的に起きるようにします。ただし168時間以内に1回でも睡眠をとらなかった場合、強制睡眠状態に入り24時間後に強制起床させる…うん、こんなものかな?」


「随分細かく設定しましたね、殺人欲、窃盗欲は理解できますが金銭欲も糧にしてしまうのは驚きです。それに睡眠欲と食欲にそれだけの制限を掛けるなんて…でも性欲には縛りを設けないのですか?」


「神は一人じゃ賄いきれないと思います。豊穣の神、商業の神、細工師の神、木の神、動物の神、大地の神、水の神、風の神、火の神、光の神、闇の神、生と死を司る神、私は万物を司る神かなと思えば、このくらい縛らないと他の神に劣ってしまいそうですし。それに前世では叶わなかった家族…一度くらいは恋してみたいですしね。」


「そうですね、家族を持ちたいという気持ちは理解できました。しかし神は人と交わらずとも神魔法の分類で生成できますよ?」


「は!?魔法で作れちゃうの?え、じゃぁそのー…。」


「交わらずともできます、交わってもできますし、交わっても神の力を持たない普通の子も自由に作れますよ?」


「ちなみに神の子を人との間に作る場合は、妊娠中に初期設定をしておく必要があります。しないと普通の子が生まれます。ついでに言うと神の子として交わる場合、それは性欲に属しません。設定せずに忘れて普通の子が出来てしまってもです。ですが意図して設定せずに普通の子が出来てしまった場合は性欲とみなされます。なので、家庭を持つなら人として、神は魔法でがよいでしょう。」


「わかりました。後から特記事項は追記する事は出来ますか?削除したり?」


「基本削除は出来ません、追記しても、どれだけ食べようと少なかろうと満足する事はない体に、腹時計はならない。を基準にするなら、少量で満足できる、味覚を無くすなどは、

 どれだけ食べようと少なかろうと満足する事はない体より具体的で、食欲に対する規制としては効果が大きいので書き換わります。

 逆に大量に食べる、普通に食べるなどは食に欲があると診なされ、書き換えの行使はされず、どれだけ食べようと少なかろうと満足する事はない体に、腹時計はならない。が適用されます。」


「なるほど、私は既に結構な禁足事項を追加した…という事ですね。」


「私の経験上、精神体の状態で禁足事項を記入したのはあなたが初めてですね。神になったの自体は数名ですが。」


「皆さんは自分がどういうふうになるか、分からない恐怖から禁足事項は保留されてましたね。無くても一番強い神である事は変わりませんので。」


「は?書かなくても一番強いって言った?」


「えぇ、言いましたし事実です。普通の人々、魔王やその他種族のLvは99です。あなたが作る神たちはLv500、あなたはLv1000ですからね。勝てる訳がないのです。それに使える魔法もスキルも各々違いますけど、神は全て使えますし、作る事もできますからね、見えないほどの小さなブラックホールを、敵に向けて放てば当たった瞬間、宇宙の塵です。禁足事項も与えなければ、神にも食事は必要なので食欲で死にます。」


「でも経験値は魔物や動物を狩らないと上がらないでしょ?」


「桃香さんでも、蟻さんなら踏んだ事くらいありますよね?」


「えぇ、そのくらいは有りますし、気が付かないうち踏んで殺してる事もあると思います。」


「では問います、蟻の命は軽いのに動物の命は重いのはなぜです?」


「それは…。」


「それは子供のころから、それが当たり前だからです。蟻も生きてるのだから、殺しては駄目と教わりましたか?」



 私は何も言い返せなかった。事実蟻やその他昆虫を踏んでも罪悪感がわかないのは事実だからだ。



「豚や鶏、牛なども人間の手によって殺され、加工され、食卓に並ぶんです。野菜も果物にも生命は有ります。自分の手を汚さずお金で買い、糧としている。害虫は良くて益虫は駄目なんですか?例えばミツバチをたとえに出しましょうか、蜂たちは生きるために蜜を集め巣に蓄えますが、人間はその蜜を奪っていく害虫なのでは?益虫や害虫の定義とは何なのでしょう。

 逆に蜘蛛は人の価値観それぞれで、益虫とも害虫とも見られています。虫嫌いで蜘蛛も嫌だから。蜘蛛は他の虫を食べてくれるから益虫だ…と殺さない人もいる。

 これは完全に個々の人間の判断によるものです。そしてそれは生活の中で学び育てられてきた記憶です。昔の縄文時代や、弥生時代はどうだったのでしょう?その時代の経験や知識を糧に、そのまま反映していますか?その結果どうなりましたか?日本で言えばニホンオオカミは絶滅し、その他の動物も多々絶滅危惧種として慎重に扱われています。世界的に見てもそうです。絶滅していなくなったら困る、だから保護し回復に努めているのが現代なのでは?

 しかし人間は増えますし、寿命も長い。動物は増えはしますが短命です。しかも人間に狩られる。

 つまり一番の害虫は人間なのではないかと私は考えています。自分たちの利己主義で戦争や人を殺し、領地を増やし減らしの小競り合い、金品を奪い、動物や魔獣の肉を食べ、木の実や野草、野菜を食べる。

 ですが神は人を導かねばなりません。しかし神一人でなせる所業でもありません。人を滅ぼすために神罰を駆使した土地には人はおろか、亜人や魔人もいない動物だけの世界になってしまいました。弱肉強食で本能のままに生きる動物の世界が今は広がってる星があります。彼はそれを望んでしまったが故ですが、彼は後悔はしてないと言いました。

 桃香さん、あなたはそんな世界を望みますか?かなり統制が取れている地球ですら、戦争は行われています。桃香さんなら分かると思うから、あえて一文字変えて言うのは色々な諸事情があってだからね?言ってる意味わかるよね?皆さん♪ウクライラとラシアが争い、イアンとイスルエルが争い、チュン国はサイバー攻撃で複数の国に仕掛けています。

 国を取りたいとする国、守りたいとする国、後者は美徳ですが人を殺している行為自体は変わらない。

 生きるために人を襲う獣や魔獣、対して己や家族を守りたい人間、前者と後者に明確な違いはあるのでしょうか?私はこれに関して違いはないと思います。」


「確かにそうだと思います。違いはないと思います。」


「先入観にとらわれないでください。地球とあなたがこれから生まれ行くワグセアナ星では大きく異なるのです。先入観を捨て現地で学びを得て知己を得て、人を動かし先導していくのがあなたの使命なのです。」



 神様が先に述べてくれた事は理解できるし、実際問題地球でも起こってる事は知ってるわ。だからさっきは返事できた。実際、他人の庭で起きた事のようで、どうしても私には自分事だとは思えなかった。だからこそ、ごめんなさい、私にはまだ実感がわかないし、覚悟もない。そんな無責任な状況で、はい分かりました!とはとても言えない。どうすれば良いの!?

 そんな私に気づいてなのか分からないが、神様は数秒して発言した。


「ちょっと虐めすぎちゃいましたね、次の事を話しましょう。」



 私はこの講義を数日間、聞かされる羽目になった。

Episode.002  チュートリアルが長すぎる件

読んでくださりありがとうございました。正直長いんです。

でも尺が足りないんですっ!

って事で次回はついに…!何でしょうね?

第3話もお楽しみにしてください。

気になる点や感想コメントなどお待ちしてます。

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