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ドキワク猫の冒険  作者: NOBU
第二章〜ナナの家と愛情の形〜
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71/87

「ドキワクな出会い」

第二部 第二十八話


ドキワクな出会い


━━━━━━━━━━━━━━━


しばらくの間。


森には静かな空気が流れていた。


最初に口を開いたのは、

ミルだった。


ミル

「ご、ごめんなさい!」


「初めて魂を見つけたので!」


「嬉しくてつい……」


小さな光は、

少しだけ揺れた。


そして。


???

「……ぷっ」


思わず吹き出した。


???

「ははは!」


「そういうことか!」


「いやぁ!」


「びっくりはしたけど!」


「悪気があった訳じゃないんだな!」


ミルは恐る恐る顔を上げる。


ミル

「はい……」


???

「じゃあ気にしなくていいって!」


「こうして会えたのも何かの縁!」


「結果オーライ!」


ミルの表情がぱっと明るくなる。


ミル

「ありがとうございます!」


ノワ

「切り替え早いわね」


ミル

「良かったです!」


場の空気はすっかり和らいでいた。


ルナは静かに一歩前へ出る。


ルナ

「いきなりで悪いのだけれど」


「私達は猫神様から頼まれて、

こうして一人で彷徨っている魂を探しているの」


???

「俺を?」


ルナ

「ええ」


「だからあなたを猫神様の所まで案内したいのだけれど、

いいかしら?」


魂は少し考えるように揺れた。


ルナ

「安心して」


「あなたに危害を加えるつもりはないわ」


???

「猫神様かぁ」


「そんな神様が居るんだな」


ミル

「居ます!」


「とっても優しい神様です!」


ナナ

「きっと安心できるわ」


魂は四人を順番に見回した。


???

「なるほどなぁ」


「君達を見てると、

悪い人じゃないって分かるよ!」


「俺もちょっと困ってたんだ」


「じゃあよろしく頼む!」


ミル

「はい!」


「よろしくお願いします!」


四人と一匹、

そして一つの魂は、

再び森の中を歩き始めた。


しばらく歩いていると。


魂は四人の姿を、

興味深そうに見回した。


???

「なあ!」


「君達って、

いつもこうやって一緒に居るのか?」


ミル

「はい!」


「いつも一緒です!」


???

「へぇ!」


魂は楽しそうに揺れる。


???

「いいな!」


「みんなでこうやって歩いてると、

楽しそうだ!」


ミル

「楽しいですよ!」


「毎日色んなことがあります!」


ノワ

「色んなこと起こしてるの、

大体あんたでしょ」


ミル

「そうでしたっけ?」


ノワ

「そうよ」


???

「ははは!」


「賑やかでいいじゃん!」


魂の笑い声に、

ミルも楽しそうに笑う。


その時。


魂の視線が、

ミルの手元で止まった。


???

「そういや、

さっきから気になってたんだけどさ」


「その手に持ってるのって、

猫じゃらしだよな?」


ミル

「はい!」


ミルは嬉しそうに、

猫じゃらしを持ち上げる。


ミル

「ミルの武器です!」


???

「武器!?」


魂が大きく揺れた。


???

「猫じゃらしが!?」


ミル

「すごいんですよ!」


???

「へぇー!」


「どうすごいんだ!?」


ミル

「えっとですね!」


ミルは猫じゃらしを見つめる。


少し考える。


ミル

「すっごく光ります!」


ノワ

「そこ?」


ミル

「あと!」


「こう……」


ミルは猫じゃらしを構え、

ぶんっと軽く振る。


ミル

「えいっ!ってすると、

すごいです!」


???

「おおー!」


「すげぇ!」


ノワ

「今ので何が分かったのよ」


???

「何かすごそうだった!」


ノワ

「ミルと同じタイプだわ……」


ミル

「分かってくれました!」


ノワ

「分かり合わなくていいのよ」


「……本当に……」


ナナは二人の様子を見ながら、

くすくすと笑っている。


ルナも僅かに口元を緩めていた。


???

「でも面白いなぁ!」


魂は再び、

四人を見回す。


???

「知らないものばっかりだ!」


「君達のことも」


「その猫じゃらしのことも」


「これから行く猫神様の所も!」


魂は楽しそうに、

少しだけ前へ飛び出した。


???

「何があるのか、

ちょっと楽しみになってきた!」


その言葉に。


ノワは、

ふと魂へ視線を向けた。


ノワ

「……」


何かが引っ掛かった。


けれど。


それが何なのかは、

ノワにも分からない。


ミル

「そういえば!」


「どれくらいここに居るんですか?」


???

「うーん」


「ずっと彷徨ってたから、

時間の感覚がなくてさ!」


「気付いたら、

ずっとここに居た!」


ミル

「ずっとですか!?」


「退屈じゃなかったんですか?」


???

「最初は少しだけな!」


「でも!」


「知らない場所ってさ!」


「何が待ってるのか気になるだろ!」


「だから!」


「気付いたら前へ進んでたんだ!」


ミル

「わぁ!」


「ドキワクですね!」


???

「ドキワク?」


ミル

「はい!」


「ドキドキとワクワクです!」


???

「へぇ!」


「ドキワクか!」


「いい言葉だな!」


「俺も昔からさ」


「ドキドキしたり、

ワクワクすることを追いかけるのが好きだったんだ!」


ノワはその言葉に、

ふと視線を向けた。


胸の奥が、

僅かにざわつく。


けれど。


その理由は、

ノワ自身にも分からなかった。


???

「だからかな」


「その『ドキワク』って言葉」


「何だかすごくしっくり来る!」


ミルは目を輝かせる。


ミル

「本当ですか!」


「じゃあ今日から一緒にドキワクです!」


???

「おう!」


「今日はドキワクだな!」


ミル

「はい!」


「ドキワクです!」


二人は楽しそうに笑い合う。


その様子を見つめながら、

ノワは小さく息をついた。


先程から感じている、

胸の奥の小さなざわめき。


初めて会ったはずなのに。


何故か、

目の前の魂が気に掛かる。


ノワは小さく首を振る。


ノワ(心)

「……気のせいね」


穏やかな空気のまま、

四人と一匹、

そして一つの魂は森の中を歩いていく。


木々の隙間から差し込む柔らかな光。


風が葉を揺らし、

静かな音を響かせていた。


魂は辺りを見回しながら、

どこか楽しそうに笑う。


???

「いやぁ!」


「こんな風に誰かと歩くの、

久しぶりだな!」


ミル

「みんなで歩くと、

とってもドキワクします!」


???

「ははは!」


「いいな!」


「その言葉、

やっぱり気に入った!」


ナナはそんな二人を見て、

ふわりと微笑んだ。


ナナ

「あっ」


「そういえば自己紹介がまだでしたねぇ」


「お名前を聞いてもいいですか?」


魂は一瞬きょとんとした。


そして。


???

「あっ!!」


「しまった!」


「またやった!」


「俺、

すぐ自己紹介忘れるんだよ!」


「ごめんな!」


ルナは思わず小さく笑う。


ルナ

「ふふっ」


???

「改めて!」


「俺はクロ!」


「よろしくな!」


その瞬間。


ノワの足が、

ぴたりと止まった。


ノワ(心)

「クロ……?」


胸が、

どくりと鳴る。


先程から感じていた、

小さなざわめき。


その正体が分かった訳ではない。


それでも。


その名前を聞いた瞬間、

胸の奥で何かが大きく揺れた。


ノワ(心)

「……違う」


「クロなんて名前の猫、

珍しくもない」


「ただの偶然よ」


そう言い聞かせる。


少し前を歩いていたミルが、

振り返った。


ミル

「あれ?」


「ノワ?」


ノワははっと我に返る。


ノワ

「……何でもないわ」


ノワは小さく息を吸い、

再び歩き出す。


ミルは不思議そうに首を傾げたものの、

すぐにクロへ笑顔を向けた。


クロもまた、

何も知らないまま楽しそうに揺れている。


こうして。


新しく出会った魂、

クロを加えた一行は、

猫神様の社を目指して森の中を進んでいった。


けれど。


ノワの胸に生まれたざわめきだけは、

消えることなく残っていた。


ノワ(心)

「でも……」


「この感じは、

何なの……?」



第二部 第二十八話 完

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