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ドキワク猫の冒険  作者: NOBU
第二章〜ナナの家と愛情の形〜
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「夜の調査」

第二章 第五話


夜の調査


――


夜。


ねこフードルーム。


窓の外は暗く、

部屋の中だけがやわらかな灯りに包まれている。


テーブルの上には、

ナナが用意した温かいお茶が並んでいた。


魚クッションは、

その横をのんびりと漂っている。


ミルはソファの上で、

猫じゃらしをくるくる回していた。


ミル

「調査です……!」


ノワ

「さっきからずっと言ってるわね」


ミル

「だって調査ですよ!?」


「探検です!」


ノワ

「探検じゃなくて確認ね」


ナナは小さく笑う。


ナナ

「ふふっ」


「でも、夜に皆で出るのは久しぶりね」


魚クッションも、

頷くように小さく上下へ揺れた。


ルナは静かに窓の外を見る。


その表情は、

昼間より少しだけ真剣だった。


ナナ

「……気を付けましょうね」


ミル

「はい!」


ミルは元気よく立ち上がる。


ノワ

「返事だけはいいのよね……」


――


猫フードルーム。


ルナは静かにクローゼットを開ける。


中には、

綺麗に並べられた猫フード。


ミルは迷わず白いフードを手に取る。


ノワは黒。


ルナは灰色。


静かな空気が流れる。


三人はゆっくりと猫フードを被った。


ミルは腰の猫じゃらしを握る。


ノワはポケットからレーザーポインターを取り出した。


黄色い光が、

小さく灯る。


ルナは毛糸を指へ絡めた。


その横で、

魚クッションもふわりと浮かび上がる。


部屋の空気が、

少しずつ切り替わっていく。


ミル

「調査開始です!」


ノワ

「探検気分で行かないの」


ルナ

「……行きましょう」


――


異世界。


夜。


薄暗い空間。


遠くまで続く静寂。


空気は冷たく、

世界そのものが眠っているみたいだった。


聞こえるのは、

四人の足音と、

魚クッションが静かに漂う音だけ。


その静けさが、

逆に不気味だった。


ミル

「……静かです」


ノワ

「静か過ぎるわね」


普通なら、

夜の異世界には迷い猫の気配がある。


だが、

今日はそれすら感じない。


ルナは静かに周囲を見渡す。


ルナ

「……やっぱり少ない」


ナナも不安そうに辺りを見る。


魚クッションが、

警戒するように少しだけナナへ近付いた。


ミルは猫じゃらしを握ったまま歩く。


ミル

「こういう時は探偵です!」


ノワ

「絶対違う」


ミル

「名探偵ミルです!」


ノワ

「不安しかないわね」


ミル

「むぅ」


少しだけ、

いつもの空気が戻る。


だが。


次の瞬間――


ふっ……


ミルの猫じゃらしが光る。


同時に。


ノワのレーザーポインター。


ルナの毛糸。


ナナの魚クッション。


全てが、

淡く光を帯びた。


ミル

「……!」


空気が変わる。


次の瞬間。


ぐにゃり――


景色が歪んだ。


地面。


木々。


遠くの空間。


世界そのものが、

一瞬だけズレる。


空気が重い。


息苦しい。


ナナ

「っ……」


魚クッションが警戒するようにふわりと浮かび上がる。


ルナの表情が変わった。


ルナ

「……この感じ、まさか」


ノワ

「歪み猫!?」


ミル

「!」


ノワは咄嗟にレーザーポインターを見る。


黄色い光が、

はっきりと灯っていた。


ルナの毛糸も光っている。


ナナの魚クッションまで反応していた。


ノワ

「待って……何で全部反応してるの?」


ルナ

「武器が反応するのは……対応した迷い猫が居る時だけ」


ノワ

「じゃあこれ……」


ルナ

「……複数居る」


その瞬間。


猫じゃらしの光が弱まる。


景色の歪みも、

ゆっくりと消えていく。


ミルはゆっくり目を閉じた。


そして、

静かに目を開く。


ミル

「……居ます」


「でも……遠いです」


ナナ

「今のって……」


魚クッションも、

不安そうに小さく揺れていた。


ノワ

「……間違いないわ」


その言葉で、

空気がさらに重くなる。


ソラとの戦い。


あの時の嫌な感覚を、

全員が思い出していた。


ミルは一歩前へ踏み出そうとする。


ミル

「助けないと」


ノワ

「待ちなさい!」


ノワは咄嗟にミルの腕を掴む。


ミル

「でも!」


ノワ

「今追うのは危険よ!」


ルナ

「……ミル」


ルナの声は静かだった。


ミルは足を止める。


ルナ

「武器が複数反応すること自体はある」


「でも、それは複数の迷い猫が居る時だけ」


ルナは歪みが消えた空間を静かに見つめる。


ルナ

「……なのに今回は歪み猫の時のように空間が歪んでいた」


ノワ

「じゃあ……」


ルナ

「迷い猫じゃなく、歪み猫が複数居る可能性がある」


「今回のは異常」


「まず猫神様に報告する」


ナナ

「その方がいいと思うわ……」


魚クッションも、

賛成するように静かに上下へ揺れた。


ミルは悔しそうに猫じゃらしを握り締める。


しばらくして、

小さく頷いた。


ミル

「……分かりました」


ノワは少しだけ安心したように息をつく。


ルナ

「急ぎましょう」


四人と魚クッションは、

猫神様の社へ向かって歩き出した。


静かな異世界。


誰も、

もう喋らなかった。


重い空気だけが、

四人の間に残っていた。


――


その後ろ。


遠く離れた暗闇。


景色が、

ぐにゃりと歪む。


何かが動いた。


だが、

それを見た者は誰も居ない。


――


第二章 第五話 完

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