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ドキワク猫の冒険  作者: NOBU
第一章〜ドキワクの始まり〜
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26/43

「繋がる力」

第二十六話



街。


夕日も沈み、

空が暗くなり始める頃。


街灯の明かりが、

ぽつぽつと灯り始めていた。


静かな道。


その中をミル達が進む。


ミルが足を止める。


その瞬間。


猫じゃらしの穂先が、

淡く光り始める。


反応するように、


ナナの魚クッションも、

ふわりと揺れた。


ミルの耳がぴくりと動く。


ミル

「……います」


ズル……


暗い道の奥。


黒い靄が、

ゆっくりと揺れる。


近づく。


それに呼応するように、


猫じゃらしの光が少し強くなる。


魚クッションも、

淡く光を灯した。


ズル……


さらに近づく。


今度ははっきりと。


武器の光が強くなる。


ナナの魚クッションも、

落ち着かないように空中を泳ぎ始めた。


別方向からも、

速い影が近づいて来る。


ノワ

「二体ね」


ノワは静かに目を細める。


気配を探る。

ルナ

「左右から来る」


ナナ

「……来ます!」


その瞬間――


ザッ!!


影が二つ。


黒い靄を纏った迷い猫。


速い方が一直線に、

ミルへ飛び込む。


ノワが前へ出る。


迷いの無い動き。


ノワ

「悪いけど私が相手よ!」


キィン!!


迷い猫の爪が、

レイピアへ激突する。


火花。


重い衝撃。


だがノワは止まらない。


二撃目。


横から振り抜かれる黒い腕。


ノワは身体をひねり、

受け流す。


そのまま一歩踏み込み、

迷い猫の横へ回り込む。


ノワ

「ミルッ!」


ミル

「はいッ!」


ぎゅっと握った穂先が光る。


淡いピンク色。


想いが集まる。


踏み込む。


ミル

「えい!」


ドンッ!!


穂先から放たれた衝撃が、

迷い猫へ直撃する。


黒が揺れる。


削れる。


ノワ

「届いてる!」


迷い猫が暴れる。


黒い靄が乱れ、

苦しむように揺れる。


間髪あけずにノワが踏み込む。


ミル

「ノワ!行けます!」


ノワ

「ええ」


その瞬間。


ノワのレイピアが黄色に光る。


優しく。


けれど鋭く。


ノワは迷い猫をしっかりと見据える。


ノワ

「……少しは休みなさい」


光撃。


黄色い軌跡が黒を解く。


さらに――


身を翻して続くレイピアの突きが、

迷い猫の胸へ突き刺さる。


黒が揺れる。


崩れる。


ノワは、

刺したまま動かない。


ただ、

そこへ立つ。


迷い猫を支えるように。


ノワ

「……怖かったでしょ」


ノワ

「でも」


ノワ

「もう終わりよ」


黒がほどける。


ゆっくり。


静かに。


苦しみが溶けるように、

消えていく。


その奥に、


青く揺れる小さな炎。


次の瞬間――


それは優しい光へ変わる。


ミル

「ノワ!カッコよかったです!」


ノワ

「このくらい当然よ」


そう言いながら、

少しだけ尻尾が揺れる。


嬉しそうだった。


光が静かに、


空へ昇る。


ノワ

「それよりミル!あっちも行くわよ!」


ミル

「はい!」


二人は駆け出した。


――


もう一体。


ズッシリとしたその身体。


膨れ上がった黒い靄が、


まとわりつくように揺れている。


動きは遅い。


だが――


重い。


一撃の圧が違う。


地面を踏むたび、

空気が震える。


ルナが毛糸玉を前へ出す。


ルナ

「囲む」


その瞬間、

糸が走る。


空間を縫うように。


補強。


締める。


何重にも。


迷い猫が暴れる。


ギリギリと音が鳴る。


軋む。


ルナ

「以前までの拘束ではすぐに解かれたけど」


ルナ

「……まだいける」


糸がさらに締まる。


ナナ

「……!」


魚クッションが泳ぐ。


ふわりと空中を跳ねるように。


ナナ、一歩前へ。


ナナ

「……一人にしないよ」


ナナ

「今は、“私達“がいるから」


目を閉じる。


優しく。


静かに。


ナナ

「……お願い」


魚クッションが反応する。


ふわりと光る。


次の瞬間。


迷い猫へ向かって加速。


ドンッ!!


体当たり。


黒が揺れる。


ナナ

「……届いてる!」


確かな感触。


だが、


崩れない。


迷い猫が暴れる。


黒い靄が膨れ上がる。


バキッ!!


拘束が破られる。


ルナ

「……っ!まだ修正が必要ね」


糸が弾け飛ぶ。


重い圧力。


そこへ――


ミルとノワが走って来る。


迷い猫が鞭の様な腕を振る。


ノワ

「はっ!」


キィン!!


ノワがそれを防ぐ。


腕へ衝撃が走る。


だが押し返す。


ノワ

「やらせるわけないでしょっ!」


ノワ

「行きなさい!ミル!」


ミル

「はい!」


ミルが踏み込む。


だが――


迷い猫が二撃目を出そうとした時、


横から魚クッションが突っ込む。


ドンッ!!


迷い猫の身体が揺れる。


横からの体当たり。


ミル

「ナイスです!ナナ!」


よろめきながらも攻撃を仕掛ける迷い猫。


ナナ

「…!」


まだ来る。


その圧に、

思わず身体が強張る。


そこへノワが割り込む。


ノワ

「来なさい!」


ガキィン!!


レイピアが受け止める。


重い。


だが退かない。


弾く。


受け止める。


押し返す。


ノワ

「……ミルの邪魔はさせない」


その言葉と同時に、

ノワが踏み込む。


一瞬の間。


ルナ

「今!」


糸が再び走る。


今度は速い。


細かい。


強い。


空間を縫い潰すように広がる。


締める。


絡め取る。


ルナ

「……捕らえた」


ナナ

「……繋ぐ!」


魚クッション、もう一撃。


ドンッ!!


黒が大きく揺れる。


ほどけ始める。


迷い猫の動きが鈍る。


ミル、踏み込む。


ミル

「……大丈夫です」


穂先に想いを集束。


淡いピンク色の光が、


猫じゃらしの先端へ集まっていく。


ふわりと揺れながら、


何度も脈打つように震える光。


優しく。


でも、


確かに強く。


ミルの想いへ応えるように、


光が少しずつ密度を増していく。


想い。


助けたい気持ち。


届いてほしい気持ち。


全部乗せる。


ミル

「もう、一人じゃないです!」


ミルは迷い猫に向けて振り被る。


ミル

「ライド・ハート・ショット!!」


ゼロ距離。


ドンッ!!


強い光が弾ける。


黒が一気に崩れる。


ほどける。


消える。


苦しみが、

静かに溶けていく。


その奥に、


青い炎。


小さく。


弱々しく。


けれど確かにそこにあった。


ミル

「……」


ミル

「もう大丈夫ですよ」


炎が光へ変わる。


静かに、


空へ昇る。


――


静寂。


戦いの音が消える。


風だけが吹いていた。


ミル

「……助けられました!」


ノワ

「……ええ」


ルナ

「良い連携ね」


ナナ

「……うん」


魚クッションが、


ゆっくりと泳ぐ。


まるで安心したみたいに。


だが、


歪みが、


静かに近づいていた。


第二十六話 完

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