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「猫フード」

第二話



机へ飛び降り、


そこから床へ降りる。


二匹は足音を忍ばせそっと部屋を出た。


廊下に出ると、


ミルはようやく息を吐いた。


ミル

「びっくりしました…」


ノワは首を傾げる。


ノワ

「どういう家なのよここ…」


ミルの目がまた輝く。


ミル

「でも!ドキワク探検です!」


ノワ

「はぁ…」


二匹は再び、


あの不思議な部屋へ戻る。


扉をくぐると、


体がふわっと光る。


次の瞬間、


ミルとノワは猫耳と尻尾のついた人間の姿になっていた。


ミルは自分の手を見つめる。


ミル

「ノワ!やっぱり人間になってますよ!」


ノワは落ち着いた声で言う。


ノワ

「この部屋だけみたいね」


部屋の中には、


キャットジャングル


猫ベッド


餌箱


猫用トイレ


おもちゃ


猫用品が並んでいた。


ミルは跳ね回る。


ミル

「猫天国です!!」


ノワはため息をつく。


ノワ

「なんなのこの部屋…」


その時。


床に一本のおもちゃが落ちていた。


ミルはそれを拾う。


猫じゃらしだった。


ふわっとした羽がついている。


ミルの目が輝く。


ミル

「わあ…!」


ミルは振る。


穂先がふわりと揺れる。


ミルは思わず跳ねた。


ミル

「楽しいです!」


ノワは呆れる。


ノワ

「そんなもの振って――」


そう言いかけたノワの視線が


猫じゃらしを追う。


ひらり。


ふわり。


穂先が揺れる。


ノワはハッとする。


慌てて腕を組む。


ノワ

「……子供じゃないんだから」


ミルがまた振る。


ひらり。


その瞬間――


ノワの手が


ぴしっと猫じゃらしを叩いた。


二人とも固まる。


ノワはゆっくり手を引っ込める。


ノワ

「……今のは」


ノワ

「違うわ」


ミルの目がきらきら輝く。


ミル

「ノワ!」


ノワは警戒する。


ノワ

「なによ」


ミルは満面の笑みで言った。


ミル

「ドキワクしてきましたね!」


ノワは一瞬固まる。


そして顔を少しそらす。


ほんのり恥ずかしそうに言う。


ノワ

「……してないわ」


ミルは猫じゃらしをもう一度振る。


その穂先が


ほんの一瞬だけ淡く光った。


ミルは首をかしげる。


ミル

「?」


しかしすぐに気にせず振り回す。


その時。


ミルが後ろに下がると、


クローゼットの扉にぶつかった。


ゴンッ


扉が開く。


中には


いくつかの引き出しがあった。


ミルは一つ開ける。


ミル

「おや?」


そこには


白色と黒色の猫耳のついたフードが入っていた。


ミルは嬉しそうに取り出す。


ミル

「かわいいです!」


そのままフードを被る。


ノワは呆れ顔。


ノワ

「ただのフードでしょう?」


ミルは得意げに言う。


ミル

「どうですかノワ?」


ミル

「ノワの分もありますよ!」


そう言ってノワにフードを渡す。


ノワはため息をついた。


「ほんと落ち着きないわね」


ミルはそのまま、


部屋の外へ出る。


しかし、


体は光らない。


ミルは自分の手を見る。


ミル

「……あれ?」


部屋の中にいたノワは、


目を丸くした。


人間の姿のまま、


ミルが廊下に立っていたからだ。


ノワ

「ミル……」


ノワ

「あなた、戻ってない……?」


ミルはパっと振り向く。


ミル

「戻りません!」


ノワは小さく呟く。


ノワ

「なるほど……」


ノワ

「試してみるわ」


ノワも部屋の外へ出た。


次の瞬間、


ふわりと光が包み、


ノワの姿は黒猫へ戻っていた。


ミル

「ノワ!」


ミル

「……あれ?」


ノワ

「ニャ?」


ミルはきょとんとする。


さっきまで分かっていた言葉が、


急にただの鳴き声にしか聞こえなくなったからだ。


ミル

「ノワ、何言ってるんですか?」


ノワ

「ニャー……」


ノワは少し考え、


くるりと踵を返す。


そのまま部屋へ戻った。


扉をくぐると、


再び身体が光り、


猫耳と尻尾のついた人間の姿へ変わる。


ノワ

「やっぱりそういうことね」


ミル

「ノワ!戻りました!」


ノワは手に持っていた黒いフードを見る。


ノワ

「このフードが鍵よ」


そう言って、


黒いフードを被ったまま部屋の外へ出る。


しかし今度は、


体は光らなかった。


ノワは人間の姿のまま、


静かに頷く。


ノワ

「予想通りね」


ミルの目が輝く。


ミル

「つまり!」


ミル

「この家、すごい家です!」


ノワは呆れる。


ノワ

「それはさっきから分かってるわ」


ミルはくるっと振り返る。


ミル

「じゃあ次は!」


目を輝かせる。


ミル

「外です!」


ミルは猫じゃらしを掲げる。


ミル

「ドキワクが止まりません!」


ノワは額を押さえる。


ノワ

「ミル!」


ノワ

「待ちなさい!」


二人は玄関へ向かった。


その先に、


まだ知らない世界が広がっていることも知らずに。


第二話 完

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