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「屋根の上の追いかけっこ」

ドキワク猫の冒険



第一話 



住宅街の外れ。


夕日に照らされた屋根の上を春風が静かに撫でていた。


白猫のミルが、瓦の上を慎重に歩いている。


しっぽをぴんと立て、目を輝かせていた。


ミル

「今日はなんだか…ドキワクします!」


屋根で寝ていた黒猫のノワが、ゆっくり目を開ける。


ノワ

「……何してるのよ、ミル」


ミルは振り返る。


ミル

「ノワ!この景色見てください!」


その瞬間――


ガタンッ!!


ミルの足元の瓦がずれた。


瓦はコロコロと転がり、


ノワの足元へ。


ノワ

「ちょっ――!」


ノワは慌てて飛び退いた。


瓦は屋根から落ち、


地面で音を立てる。


ノワはミルを睨んだ。


ノワ

「ミールゥ!」


ミル

「あわわわわわ」


ミルは慌てて走り出す。


ノワはすぐに追いかけた。


瓦の上を軽やかに跳びながら距離を詰める。


ノワ

「こら、待ちなさい!」


ミルは振り返りながら屋根を走る。


ミル

「ドキワクで髪逆立って来ました!」


ノワは呆れた声を出す。


ノワ

「何を訳の分からないことを!」


二匹は屋根の上をしばらく駆け回った。


やがて屋根の端で立ち止まる。


息を整えながら、二匹は前を見た。


そこには――


住宅街の外れにある

少し古びた一軒家があった。


ミルの目が輝く。


ノワ

「こんな家…?」


ノワは首を傾げる。


ノワ

「知らないわよ…」


不思議な家


二匹は屋根から飛び降りた。


玄関の横には


猫用の小さなドア

があった。


ミルはすぐに覗き込む。


ミル

「入れそうです!」


ノワは少し警戒する。


ノワ

「ちょっとミル――」


しかしミルはもう中へ入っていた。


家の中は静かだった。


古い家なのに、


どこか温かい空気が漂っている。


廊下の奥には階段があった。


ミルの目が輝く。


ミル

「ドキワク探検です!」


ノワは慌てて後を追う。


ノワ

「あっ、待ちなさい!」


階段を上ると、


奥の扉から柔らかな光が差し込んでいた。


ミルは扉を押す。


その瞬間――


体がふわっと光に包まれた。


次の瞬間。


そこにいたのは


二人の少女だった。


ミル

「えええええ!?」


ミルは目を見開く。


ノワ

「なにこれ!?」


ノワも驚く。


慌てて部屋を出る。


すると体が光り、


二匹は元の猫の姿に戻った。


ミル

「戻りました!」


ミルはもう一度部屋に入る。


再び人間の姿。


ミルの目が輝く。


ミル

「すごい部屋です!」


ノワ

「つまり…」


部屋を見回して言う。


ノワ

「この部屋に入ると人間になるのね」


その時。


廊下の奥にもう一つ扉がある事にミルは気が付いた。


ミルの目が輝く。


ミル

「ノワ!まだ奥に部屋ありますよ!」


走り去るミルを見てノワは呆れる。


ノワ

「だから待ちなさいって!」


猫の姿に戻ったミルは、


尻尾をぴんと立てて、


扉へ走る。


ミルは少しだけ空いている扉を両前足で押し開けた。


バンッ!!


ミル

(たのもー!)


ミルの心の中で声が響く。


部屋の中。


ベッドがある。


猫の視点から見ると、


ベッドはかなり高い。


床からでは上がよく見えない。


ミルは机へ飛び乗る。


その瞬間――


ガタンッ!


机の上の写真立てに当たる。


写真立てが倒れ落ちベッドの下に消えていく。


ミルはそのまま、


ベッドへ飛び移る。


そして――


ミルは固まった。


ベッドの上には、


一人の人間の女性が横たわっていた。


ミルは目を丸くする。


ミル

「え…?」


床からノワが見上げる。


ノワ

「ミル、どうしたの?」


ミルは小さく言う。


ミル

「人間です…」


ノワは眉をひそめる。


ノワ

「は?」


壁には古い時計。


7だけが無い時計。


針は止まったまま。


部屋は静まり返る。


その時――


女性の指が、


わずかに動いた。


そしてかすかな声。


「……なな……」


ミルは驚く。


ミル

「なな?お名前でしょうか?」


しばらくの静寂。


ノワ(小声)

「バレないうちに部屋出るわよ」


ミルはコクリ頷いた。


第一話 完

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