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「光のレイピア」

第十一話



夜の路地。


ノワはレイピアを静かに構える。


迷い猫が唸る。


次の瞬間――


飛びかかる。


ノワは一歩横へ避ける。


迷い猫の爪が空を裂く。


ノワ

「……遅い」


ノワのレイピアが光る。


シュッ


細い黄色の光が一直線に走る。


迷い猫の体に触れる。


迷い猫

「ギャッ!」


しかし


傷はつかない。


迷い猫はすぐに体勢を立て直す。


ノワ

「……」


ノワ

「切れてない」


ルナ

「当たり前よ」


ノワ

「?」


ルナ

「それは剣じゃない」


ルナ

「浄化の光」


迷い猫が再び突っ込んでくる。


ノワは後ろへ下がる。


爪が空を裂く。


ノワ

「くっ……!」


ノワ

「距離がいるのね」


ルナ

「そう」


ルナ

「想いが弱いと」


ルナ

「深く届かない」


迷い猫が地面を蹴る。


再び突進。


ノワはレイピアを構える。


ノワ

「……なるほど」


ノワ

「面倒ね」


ノワは横へ避ける。


しかし


迷い猫の爪が速い。


ノワ

「……っ!」


避けきれない。


その瞬間――


シュッ


灰色の糸が空を走る。


迷い猫の体に絡みつく。


迷い猫

「ギャッ!」


動きが止まる。


ルナ

「今よ!」


ノワ

「!」


ノワは踏み込む。


シュッ


レイピアの光が、


迷い猫の胸に触れる。


迷い猫

「ギャアア!」


しかし


迷い猫はまだ暴れる。


ノワ

「……浅い」


ルナ

「だから言ったでしょう」


ルナ

「想いが足りない」


迷い猫が糸を引きちぎる。


ルナ

「!」


ノワ

「まだ動くの?」


迷い猫がノワへ飛びかかる。


ノワ

「くっ!」


その瞬間


ルナの手が動く。


ビシッ


毛糸が鞭のように走る。


迷い猫の顔に当たる。


迷い猫

「ギャッ!」


迷い猫が一瞬よろめく。


ルナ

「距離を取りなさい」


ノワ

「……助かったわ」


ルナ

「貸し一つね」


迷い猫が唸る。


再び突っ込んでくる。


ノワは横へ避ける。


シュッ


レイピアの光が走る。


迷い猫に触れる。


迷い猫

「ギャッ!」


しかし


まだ暴れる。


ノワ

「……浅い」


迷い猫が爪を振る。


ノワは一歩下がる。


ノワ

「当ててるのに」


ノワ

「浄化できない」


ルナ

「突きが甘い!」


ノワ

「は?」


迷い猫が再び飛びかかる。


ノワは横へ滑る。


ノワ

「くっ!」


シュッ


レイピアが走る。


ルナ

「違う!」


ルナ

「突くだけじゃない!」


ルナは迷い猫の攻撃を牽制しながら伝える。


ノワ

「なに?」


ルナ

「距離よ!」


ルナ

「想いは」


ルナ

「近いほど強い」


ノワ

「……」


迷い猫が唸る。


ノワはレイピアを構える。


ノワ

「つまり」


ノワは目を細める。


ノワ

「もっと踏み込めってことね!」


ルナ

「そういうこと!」


迷い猫が地面を蹴る。


突進。


ノワは動かない。


迷い猫が飛びかかる瞬間――


ノワが踏み込む。


シュッ


レイピアの光が走る。


迷い猫の体をかすめる。


迷い猫

「ギャッ!」


迷い猫は爪を振る。


ノワは体をひねる。


爪が空を裂く。


ノワは一歩横へ滑る。


シュッ


レイピアが再び走る。


迷い猫

「ギャッ!」


ルナ

「……」


ルナ

「距離を掴んだわね」


ノワ

「ええ」


ノワはレイピアを構える。


迷い猫が再び飛びかかる。


ノワは半歩前へ踏み込む。


シュッ


レイピアの光が迷い猫の胸に触れる。


迷い猫

「ギャアッ!」


ノワ

「……なるほど」


ノワ

「この距離ねッ!」


迷い猫が唸る。


しかし


動きは少し鈍くなっている。


ノワはレイピアを構える。


迷い猫が最後の力で飛びかかる。


ノワは一歩踏み込む。


シュッ


黄色い光がまっすぐ走る。


レイピアの光が

迷い猫の胸を貫く。


その瞬間――


迷い猫の体が止まる。


赤い目が揺れる。


ノワは動かない。


レイピアで貫いたまま、


静かに立っている。


迷い猫の唸り声が、


少しずつ小さくなる。


やがて、


赤い光が消える。


迷い猫の体を包むように、


淡い光が広がる。


ノワは小さく息を吐く。


ノワ

「……」


ノワ

「もう大丈夫よ」


迷い猫の体が


ゆっくりと光に溶けていく。


静かな夜。


光だけが残る。


小さな猫の鳴き声が


風に溶けて消えた。


その瞬間――


ノワの視界に一瞬だけ、


景色が重なる。


暗い路地。


小さな猫。


雨に濡れている。


震えている。


誰もいない。


――一瞬。


景色は消える。


ノワ

「……」


レイピアの光が


ふっと消える。


静かな路地。


ノワはレイピアを見つめる。


黄色い光が、


ゆっくりと弱くなっていく。


ルナ

「……」


ルナは少しだけ笑う。


ルナ

「やるじゃない」


ノワ

「当然よ」


ノワは肩をすくめる。


ノワ

「でも」


ノワ

「思ったより面倒だったわ」


ルナ

「想いが弱いからよ」


ノワ

「はっきり言うわね」


ルナ

「事実だもの」


ノワはレイピアを見る。


ノワ

「まぁ」


ノワ

「そのうち強くなるでしょ」


ルナ

「そうね」


ルナは少しだけ空を見る。


ルナ

「あなた」


ルナ

「その戦い方」


ノワ

「?」


ルナ

「完全にフェンサーね」


ノワは少し考える。


レイピアを軽く振る。


シュッ


細い光が空気を切る。


ノワ

「悪くないわね」


ノワ

「この距離なら戦える」


ルナ

「ええ」


ルナ

「フェンサーは距離で戦うの」


夜の道。


街灯の光が、


静かな路地を照らしている。


ノワとルナは、


並んで歩いていた。


ノワ

「……」


ノワはポケットから、


レーザーポインターを取り出す。


スイッチを押す。


小さな光。


レイピアは出ない。


ノワ

「なるほど」


ノワ

「出しっぱなしには出来ないのね」


ルナ

「想いが続かないからよ」


ノワ

「便利なようで不便ね」


ルナ

「慣れるわ」


少し沈黙。


ノワ

「……」


ノワ

「ミル」


ルナ

「?」


ノワ

「怒ってるかしら」


ノワは空を見上げる。


ルナ

「どうかしら」


ノワ

「絶対怒ってるわよね!」


ルナ

「ドキワクしてるかも」


ノワ

「それはそれで怖いわ」


―――――


家の中。


ミルは部屋の中を、


行ったり来たりしている。


ミル

「遅いです」


ミル

「遅すぎます!」


ナナ

「大丈夫だよ」


ミル

「大丈夫じゃないです!」


ミル

「もしかしたら知らない猫について行ったのかもしれません!」


ミル

「もしくはお腹が空いて泣いてるかもしれません!」


ナナ

「ルナもいるし」


ミル

「でも!」


ミル

「でも!」


ミルはまた歩き回る。


ナナ

「お、落ち着いて」


ミル

「あ~ノワ〜!」


その時――


部屋の扉が開く。


ノワ

「ただいま」


ミル

「ノワァ!!」


ミルは一瞬で走る。


そのまま


ぎゅっ


ノワに抱きつく。


ノワ

「ちょっ」


嬉し恥ずかしそうなノワ。


ノワ

「ち、近い」


ミル

「心配しましたぁ!」


ミルは涙に濡れた顔をこすりつける


ミル

「すごく!」


ノワは少し驚いた顔をする。


ノワ

「……」


ミル

「怪我してませんか!?」


ノワ

「し、してないわよ」


とっさに頬を隠すノワ。


ミル

「ほんとですか!?」


ノワ

「ほんと」


気不味そうに答えるノワ。


ルナ

「涙でノワの顔見えてないのね」


ナナ

「さて」


ルナがナナの方を見る。


ナナ

「ルナ、私傷薬持ってくるわね」


ルナ

「ええ。お願い」


ミル

「ノワぁ」


ミルはほっとする。


ノワ

「大袈裟よ」


ノワはミルを見る。


少しだけ


優しく笑う。


ノワ(心の中)


「……」


「守らないとね」


第十一話 完

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