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3.今度こそ本命

ロザリーが描いたのは、今度は普通のドレス。

レースやフリルをふんだんに使うのではなく、でもワンポイントで使用していて、可愛らしさもありながら、上品なデザイン。

社交界デビューを意識してか、白を基調にオティーリエを象徴する色である緑が差し色として入っている。

これなら、お披露目の衣装として文句の付けようがない。

領民への挨拶、パレード、その後のお城でのお披露目会まで、どの場面でもオティーリエを引き立ててくれるだろう。

さすがはロザリー、ホルトノムル侯爵領一のデザイナー、とオティーリエは思った。


『ふむ。

 これは素晴らしいデザインだな。

 主の可憐さと凛とした佇まいが引き立つだろう。』

『アーサーにそのようにお褒めいただけるのはとても嬉しいですね。

 ありがとう存じます。』

『事実を述べたまでで、褒めているわけではないのだが。』


「帽子も手袋もありませんのね。」

「はい。

 パレードでしたら、オティーリエ様のご尊顔が街の方々によく見えた方がよろしいかと存じましたので。

 手袋もなしにしました。

 オティーリエ様のその白磁の如き肌を隠すだなんて、世界の大損失にございます。」


ロザリーが熱の籠った様子で答えたけれど、オティーリエはお世辞を言われているものと思って軽く受け流した。


「そのようにお褒め下さってありがとう存じます。

 このドレス、大変、気に入りましたわ。

 こちらでお願いいたします。」


オティーリエはそれで即決した。


「かしこまりました。

 それでは、このデザインを元に数着、ご用意させていただきます。」

「いえ、一着でお願いいたしますわ。

 せっかくのお披露目の衣装ですもの。

 その一着を愛着を持って着用させていただきますわ。」


この言葉も本当だけれど、何着も作ってもらうのは経費の無駄遣いという思いもあったりする。

すでに中流階級が社会の主流になっている時代。

貴族が高額な買い物をして市井に還元する時代ではない。


「かしこまりました。

 それでは、この一着でオティーリエ様のお気に召しますよう、格別に注意を払って作成させていただきます。」

「よろしくお願いいたしますね。

 それから、マダム、先ほどのデザイン画なのですけれど。」

「はい、こちらでございますか?」


ロザリーは最初にイマジネーションが迸るままに描いたスケッチを見せた。


「実はこちらのデザインも気になっているのですわ。」


オティーリエがそう言った途端、ロザリーは目を輝かせた。

とりあえず、ロザリーの様子を目に入れつつ、オティーリエは話を続けた。


「ですので、このデザインで露出を減らしていただいて、羽根などの小物も少し外して、改めてデザインしていただけますか?」


ヨハンが内心、ゲッと思っているのが、オティーリエには手に取るように分かった。

でも、オティーリエとしては、今までになかったあのデザインに少し興味があった。

もちろん、お披露目とは関係なしに着るのだけれど。


「かしこまりました。

 それでは、少々お待ち下さいませ。」


ロザリーが目をキラリと光らせながらそう答えると、スケッチブックにペンを走らせた。


時々考えこんだりしつつ、スタッフにも意見を聞きながらデザインをする。

なんだかお披露目のドレスをデザインする時より気合が入っているような気がしないでもないけれど、これはきっと、気にしては負けというものだろう。


そして、待つこと数分。


「こちらでいかがでございましょうか。」


ロザリーが出してきたスケッチブックを先ほどと同じようにヨハンが受け取る。

ヨハンはそのデザインを見た時、内心、おっと思った。

先ほどの素っ頓狂な箇所は消えて、実用的かつ清楚で可愛らしい印象のデザインに変わっていたから。


オティーリエはヨハンからスケッチブックを手渡されて、じっくりとそのデザインを眺めた。


それは、今までに全く見たことのないデザイン。

トップスは無地の白いシャツの上に黒いデニム生地のジャケットを羽織っただけ。

だけ、とは言いつつも、そのジャケットに歯車や飾りベルトなどで遊び心のある飾りつけがしてある。

ボトムスはピッタリ目の半ズボンの上に、膝の下までの丈の左足の前だけを見せるように切り込みの入ったスカート。

ズボンもスカートもあえて黒一色で、その切り込み部分にあえて見せるように大きなバックルが飾りで付いていた。


まさに、現在のファッション業界に新たな風を吹かせるに相応しいものだった。


「素晴らしいデザインですわね。

 マダム、このデザインでも一着、お願いしますわ。」


こちらはお披露目用ではなくて、狩猟大会の時のおもてなしの際に着るつもり。

ホルトノムル侯爵発のファッションとして、流行の発信にもなりそう。


「かしこまりました。

 お披露目のドレスと併せまして、作成させていただきます。」


こうして、オティーリエがお披露目で着るドレスが決定した。

こうして、ドレスは無事に決まりました。

ドレス選びだけで3エピソードも費やしてしまいました。

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