⭕ 海で弾けよう! 1
──*──*──*── 砂浜
青い海の前に一面の白い砂浜が広がっている。
綺麗な砂浜だ。
こんな綺麗な砂浜を今迄に見た事はない気がする。
マオ
「 ………………すごい…… 」
セノコン
「 珊瑚礁の欠片が混ざってますから白く見えますエリ 」
マオ
「 珊瑚礁? 」
セノコン
「 裸足になるなら足の裏に珊瑚礁の欠片が刺さらないように気を付けてくださいませエリ 」
マオ
「 そうなんだ… 」
オレは海を目指して砂浜の上を歩いて移動する。
すると──、岩影の奥にレジャーシートとパラソルが見えた。
マオ
「 他にも海に来てる人が居るんだな。
あの森を命懸けで抜けたのかな? 」
一体どんな人が妖魔の森を抜けたのか気になって、レジャーシートとパラソルの見える方へ向かって歩いてみた。
レジャーシートとパラソルの場所に居たのは────。
マオ
「 ──マオキノ!?
な、何で??
オレ達より遅く出た筈のマオキノが何で……オレより早く海に居るんだよ?? 」
マオキノ
「 マオさま!
随分と遅い到着でしたエリね?
道に迷われてましたエリ? 」
マオ
「 マオキノ……。
マオキノも妖魔の森を抜けて来たのか? 」
マオキノ
「 妖魔の森…ですエリ?
森は抜けましたエリ。
ボクは妖魔の巣くう森には入ってませんエリ 」
マオ
「 妖魔の森に入らないで来たのか?
どうやってだ?
妖魔の森を抜けないと海には辿り着けないじゃないか 」
マオキノ
「 妖魔の森は近道に見えて実は遠道ですエリ 」
マオ
「 妖魔の森が遠道ぃ?? 」
マオキノ
「 ボクは海へ続く直通の道を歩いて来ましたエリ。
宿泊施設から20分弱も有れば着きますエリ。
妖魔にも襲われる心配もありませんエリ 」
マオ
「 はぁ!?
海へ続く直通の道ぃ??
そんなのがあるのか? 」
マオキノ
「 看板が出てますエリ。
宿泊施設の裏庭へ回る必要がありますエリ。
安易に妖魔の森を突っ切って抜けようとする馬鹿も多いそうですエリ 」
マオ
「 ……………………妖魔の森を突っ切るのは馬鹿なのか? 」
マオキノ
「 “ 急がば回れ ” という言葉もありますエリ。
妖魔の森にはE級 ~ B級の妖魔が放し飼いされていますエリ。
試合に出場する選手が修業の為に入る事は度々ありますエリ。
妖魔の森へ入るのは自殺行為ですエリ 」
マオ
「 ………………………… 」
マオキノ
「 マオさま、どうされましたエリ? 」
マオ
「 ──セノコン!! 」
セノコン
「 マオさま、どうされましたエリ? 」
マオ
「 どういう事だよ! 」
セノコン
「 何がでしょうかエリ 」
マオ
「 妖魔の森を入らなくても海に続く直通の道があるそうじゃないか!
態々妖魔の森を抜ける必要は無かった──って、マオキノから聞いたぞ! 」
セノコン
「 マオキノ~~~。
喋っちゃったエリ?
セロさまから口止めされてたエリよ 」
マオキノ
「 そうだったエリ!
テヘペロりんりん丸エリ 」
セノコン
「 マオキノはウッカリさんエリ 」
マオ
「 ………………セノコンも安全な道がある事を知ってたのかよ? 」
セノコン
「 知ってますエリ。
この島の地形はキノコンで共有してますエリ 」
マオ
「 セロから口止めされてたっての本当なのか? 」
セノコン
「 セロさまの御命令は絶対ですエリ 」
マオ
「 セロめぇ!!
態とだな?
絶対に態とに決まってる!
後で文句言ってやる!! 」
マオキノ
「 マオさま、昼食に間に合って良かったですエリ 」
マオ
「 ところで──、マオキノは何をしてるんだ? 」
マオキノ
「 BBQの準備ですエリ 」
マオ
「 BBQ?
お弁当は? 」
マオキノ
「 勿論ありますエリ。
海の見える砂浜で新鮮な海の幸を食べるのは楽しいですエリ。
ボクの分身体達が海に潜ってBBQに使う食材を調達に行ってますエリ 」
マオ
「 …………キノコンって泳げるのか?
海水って大丈夫なのか? 」
マオキノ
「 水は友達ですエリ。
海水も問題ありませんエリ。
深海には見た目はグロテスクでも美味な魚介類が多く生息してますエリ。
海藻,貝,海老,蟹,魚──何でも取り放題ですエリ 」
マオ
「 深海って……。
水圧とか大丈夫なのかよ? 」
セノコン
「 キノコンは水圧の影響を受けませんエリ。
どんなに深い海溝も余裕で泳げますエリ 」
マオ
「 キノコンって凄いんだな……。
マグマの中に入っても溶けない──とか言わないよな? 」
セノコン
「 溶けませんエリ 」
マオキノ
「 熱くもないですエリ 」
マオ
「 …………な、何でだ? 」
マオキノ
「 “ 丈夫いから ” としか言えませんエリ 」
セノコン
「 ボク達の息の根を止めれるのはセロさまだけエリ 」
マオ
「 そ…そうなんだな…… 」
セロ……本当にとんでもない怪物を作りやがったな!
水圧も平気でマグマの中でも平気って…………激ヤバい怪物じゃんかよ!!
トドメをさせるのがセロしか居ないって…………。
セノコン
「 どんなに強くても寿命が来れば土に還りますエリ 」
マオ
「 寿命があるのか? 」
マオキノ
「 勿論ありますエリ。
3年 ~ 5年以内ですエリ 」
マオ
「 えっ……3年 ~ 5年??
誕生してから長くて5年で寿命が来るのか? 」
マオキノ
「 はいですエリ。
ボクは次の寿命迄4年と6日ですエリ 」
セノコン
「 ボクは次の寿命迄3年と27日ですエリ 」
マオ
「 ………………寿命が来たら死んじゃうのかよ… 」
マオキノ
「 萎んで大地に根付きますエリ。
1週間後には新しいキノコンが生まれますエリ 」
マオ
「 …………新しいキノコン……。
そのキノコンにはマオキノやセノコンの記憶は持ってないのか? 」
セノコン
「 言葉が悪かったですエリ。
体の寿命が来るだけですエリ。
新しい体に変るだけですエリ。
衣替え,脱皮みたいなものですエリ。
生まれ変わりとは違いますエリ 」
マオキノ
「 新しい体に変わっても、ボクはボクのまま、セノコンはセノコンのままですエリ 」
マオ
「 そうなんだ。
良かった……。
それを聞いて安心したよ 」
寿命だなんて言われるから吃驚した。
マオキノとセノコンが居なくなる訳じゃないんだな。
マオ
「 それにしても綺麗な海なのに誰も居ないんだな。
貸し切りじゃんか 」
マオキノ
「 この時期に海で泳ごうなんて考える馬鹿は居ませんエリ 」
マオ
「 何だって?!
どういう事だよ!
詳しく話せ、マオキノ! 」
マオキノ
「 エリ?
また拙い事でも言っちゃいましたかエリ? 」
セノコン
「 言っちゃったエリ 」
マオキノ
「 マオさま、聞かなかった事にしてくださいませエリ 」
マオ
「 出来るかよ!! 」
──という訳で、オレはマオキノとセノコンから詳しい事情を聞く事にした。