⭕ 青い海を目指して
──*──*──*── 森の中
宿泊施設を出てから、海を目指して歩くんだけど、どうやら海へ続く専用の道は無いらしい。
どうやって海へ向かうのかと言うと、森を突っ切るしか海に着く方法は無いらしい。
そんな訳でセロとオレはセノコンを先頭にして、周囲をセノコンが分裂した9体の分身体に囲まれた状態で、草木が鬱蒼と生い茂る森の中を黙々と歩いている。
森の中では聞いた事のない不気味な鳥の鳴き声や見た事のない珍しい動物の不気味な鳴き声を聞きながらひたすら歩き続ける。
マオ
「 ──大分歩いてるけど全然海に着かないけど何でだ? 」
セロフィート
「 何故でしょうね? 」
マオ
「 セロなら原因も分かるんじゃないのか? 」
セロフィート
「 何故です? 」
マオ
「 何故って……。
セロは何でも分かる吟遊大詩人だろ? 」
セロフィート
「 ワタシを買い被り過ぎないでください 」
マオ
「 買い被ってないってぇの!
それにしてもセノコンの分身体達は何で背中に籠を担いでるんだ? 」
セロフィート
「 夕食の食材を採集しているのでしょう 」
マオ
「 …………こんな時でも食材調達とは逞しいな… 」
セノコンから分裂した9体の分身体達は手分けをしながら無害で食べられそうな食材を探すのに熱中している。
置いて行っても大丈夫なのか??
当のセノコンも全然気にしてないみたいだ。
セノコン
「 ──マオさま、剣を構えてくださいエリ! 」
マオ
「 え?
突然どうした? 」
BARの時とは打って変わって流暢な喋りになった?!
セノコン
「 ──敵が襲って来ますエリ! 」
マオ
「 敵って?
何の?? 」
サワッ──と木々の葉が風で揺れてるのは分かるけど何かが現れるような気配はしない。
それでもオレは一応、万が一があるかも知れないから鞘から愛剣を抜いて構えて歩く。
セロフィート
「 ははぁ……。
どうやら彼等の縄張りに侵入してしまったようです 」
マオ
「 彼等って何だよ? 」
セロフィート
「 野生の妖魔です。
海へ出る為には森に生息する妖魔の縄張りを抜ける必要があるようです 」
マオ
「 はぁ?!
妖魔が生息するの森なんて聞いてないけど! 」
セノコン
「 此処は俗名 “ 妖魔の森 ” と呼ばれていますエリ 」
マオ
「 知ってるなら教えてくれよ… 」
セノコン
「 今、教えましたエリ 」
マオ
「 …………そだな。
じゃなくて──、森に入る前にだよ! 」
コイツ……、段々とセロに似て来てないか?
セロフィート
「 マオとワタシを見てますね。
餌さと認識されたようです 」
マオ
「 餌って…… 」
セロフィート
「 マオとワタシを喰べる為に決まってます 」
セノコン
「 ──マオさま、来ますエリ! 」
セノコンが言うと上空から大量の妖魔が降って来た。
マオ
「 ──ってか、数多っ!! 」
大量の妖魔はセノコンにもセノコンの分身体にも勿論セロにも全く見向きもしないで、オレにだけ襲い掛かって来やがる。
何でだよぉ!!
マオ
「 ──ちょっ、何でオレにばっかり!? 」
セロフィート
「 はて……何故でしょう? 」
マオ
「 態とらしいんだよ!!
分かってるんだろ! 」
セノコン
「 妖魔は本能で襲って来ますエリ。
セロさまはキノコンよりお強いですエリ。
キノコンはマオさまより強いですエリ。
この中で1番弱いマオさまが狙われるのは当然の事ですエリ。
自然の摂理──、消去法ですエリ 」
マオ
「 …………そうかよっ!! 」
やっぱりセノコンはセロに似て来てるよな!!
妖魔は血走らせた目をしながら、口から涎を撒き散らせながら、オレだけに容赦なく襲い掛かって来る。
オレは剣を振るい、襲い掛かって来る妖魔共を斬って斬って斬って斬って斬り殺す。
止まない雨みたいに次々と上空から妖魔が降って来るから斬って捨ててもキリがない。
マオ
「 セロ──、何とかしてくれよ!!
見てないで妖魔を止めてくれってば! 」
セロフィート
「 マオ──、ファイト♪ 」
マオ
「 『 ファイト♪ 』じゃないだろ!! 」
妖魔の汚ない血が辺りに飛び散る。
一体全体何れだけの妖魔が森に巣食ってるんだか。
セノコン:分身体
「 マオさま、きたないちをとびちらせないでくださいエリ 」
セノコン:分身体
「 せっかくのしょくざいがよごれてしまいますエリ 」
セノコンの分身体達と来たら、オレの苦労なんて一切お構いなしに文句や苦情を口々に出して来る。
此方の気も知らないで勝手なもんだ!
でも、可愛いから許すぅ~~~(////)
セノコンはオレの前を歩いていて、海迄の道案内をしてくれている。
セロはオレの後ろを暢気に歩いている。
見てないで何か手助けしてくれよ、マジで!!
セロフィート
「 マオ、丁度良いウォーミングアップですね 」
マオ
「 何がウォーミングアップだよ!
どう見てもウォーミングアップの域を越えてるだろ!! 」
セロフィート
「 マオ、もう少しペースアップしてください。
今のままだと海へ着く頃には正午を過ぎます 」
マオ
「 そう言うなら見てないで手伝えってば!! 」
セロフィート
「 嫌で~~す。
ワタシはマオの勇姿が見たいです。
ワタシは応援しかしません♪ 」
マオ
「 ──セロっ!! 」
駄目だ……。
とても1人じゃ捌ききれない!!
──っていうか、妖魔と妖怪って何が違うんだ??
マオ
「 セロ──、炎魔法で焼き払ってくれよ! 」
セロフィート
「 森全体が炎上しますけど良いです?
妖魔だけでなく動物も焼け死にますし、住み処を失います 」
マオ
「 うぅ゛……それは流石に……。
妖魔だけに狙いを定めてとか! 」
セロフィート
「 そんな調子の良い魔法がありますか。
低級元素魔法を使っても森が火の海になる威力です 」
マオ
「 威力を弱める魔法を重ね掛ければ良いだろ! 」
セロフィート
「 一体何回重ね掛けさせる気ですか。
嫌です 」
マオ
「 ~~~~~セロぉ!! 」
セロフィート
「 因みに妖魔と妖怪は呼び方が違うだけで同じ意味です。
亜人類を亜人族と呼んだり、人類を人間と呼んだりしますね。
それと同じです 」
マオ
「 ──そんな事、今は聞いてない!! 」
セロフィート
「 妖魔と呼んでも妖怪と呼んでも違いはないです。
1つ賢くなりましたね、マオ♪ 」
マオ
「 豆知識なんか言ってないで、倒すの手伝えぇ~~~~~~!! 」
セロフィート
「 試合前に疲れたくないですし…… 」
マオ
「 戦わずして勝つんだろが!!
手伝えよ!
これじゃあ、海に着く前に日が暮れるよ! 」
セロフィート
「 減らない妖魔相手に1人で苦戦するマオの勇姿を見ていたいんですけど……。
致し方無いです。
セノコン、マオを手伝いなさい 」
セノコン
「 畏まりましたエリ。
マオさま、助太刀致しますエリ 」
マオ
「 セノコン!
もっと早く助太刀してほしかったよ… 」
セノコン
「 セロさまの御許しが出ない限り助けられませんエリ 」
マオ
「 セロぉ~~~~~ 」
セロフィート
「 マオ、怒らないでください。
これで海へ行けます 」
マオ
「 遅いんだよ! 」
セロの一言でセノコンが助太刀してくれる事になったお蔭もあって、何とか無事に森を抜けられそうだ。
セノコンが笠ら胞子を飛ばし始めた。
何でセノコンが胞子を飛ばすのか分からないけど、胞子が風に乗って上空を舞う。
マオ
「 何で胞子なんだ? 」
セノコン
「 強力な麻痺効果の胞子を飛ばしましたエリ。
これなら暫く妖魔も身動き出来なくなりますエリ 」
マオ
「 麻痺効果の胞子……。
キノコンになる胞子じゃないんだな 」
セノコン
「 キノコンに変貌する胞子を飛ばすのはキノコドラゴンですエリ。
キノコンが飛ばす胞子はキノコンの個体に依って違いますエリ。
マオキノは下痢効果の胞子を飛ばしますエリ 」
マオ
「 下痢効果の胞子!? 」
セノコン
「 セロさま,マオさま。
今の内に森を抜けてしまいましょうエリ 」
セロフィート
「 セノコン、良くやりました。
マオ、急ぎましょう 」
マオ
「 お、おぅ! 」
さっき迄止まない雨みたいに襲って来ていた妖魔が嘘みたいにパッタリと途絶えた。
このチャンスを逃さない馬鹿は居ないだろう!
オレは案内役のセノコンの後ろを追って走った。
セロは何があっても、何時如何なる時も走る事はない。
だって、セロだからな。
セロは妖魔に襲われないから森の中に置いていっても大丈夫だろう。
セノコンの分身体達も放っといて問題ないだろう。
何せ、オレより強いんだからな!
セノコン
「 マオさま、森を抜けますエリ 」
マオ
「 はぁ~~~。
やっとかぁ~~~!!
長かったぁ~~~!!
やっと海に…………長かったぁ~~~!! 」
セノコン
「 マオさま、海ですエリ。
潮風が此処迄漂って来てますエリ 」
オレは森を抜けた。
無事に森を抜ける事の出来たオレの視界には、碧々と美しく水面の輝く海が広がっていた。




