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第二章 前編

本文を丸っきり変えた改変投稿です。

前編後編に分けて書きますのでご注意を。

これは夢なのかもしれない。


朝の日差しがカーテンにかかり

開けられた窓に少し暖かいほんのりと

春の匂いが香る風がその身を包む。

病室で身体を少し起き上がらせ

右手で小さい包丁を持ち左手にリンゴを持つ少女。


「上出来……かな?ふふふっ…」


しゃりしゃりと鳴らす赤い玉をころころと

包丁の上で転がせ白い玉になったものを

一口代の大きさにして切り分け、

側の机の皿に盛り付け爪楊枝を刺して

包丁を置いた。

一段落ついたところで白い玉を爪楊枝で

口に運ぶ。

しゃりしゃりとした食感が春の匂いと共に

身体に染み渡る。

甘酸っぱいような味が口の中に広がり

またそれも良い、と思う。

掛け布団を腰までかけて

両手をその布団の上に置いて

雑音混じりのテレビを消して窓を見た。

ピンクの色の花びらが宙を舞ってるのが見えた。

思わず口にした。



『「綺麗……』」



あれ?



『龍くん?』


「あ!えーっえと……起きてたのか?美粋みき?」



佐々山美粋ささやま みきは彼氏である

岸谷龍牙きしたに りゅうがを見て言う。

それに対して龍牙も呟いた。

可愛らしい彼女は儚い命を懸命に生きている。

朝の陽ざしや香る風に心と身を委ねリンゴの皮を剥く。

当たり前の行動が当たり前以上に愛おしく思える。

そんな光景を見せてくれるのだ。

だからこそ思う。

彼女は綺麗だと。



「あ、リンゴ剥いたのか…食べていい?」


『うん。良いよ。』



ゆっくりと頷き美味しそうに味のしないリンゴを頬張る。

それを半分寝ているのか分からないぽけーっとした顔で

こちらを見やっているので少し照れながら爪楊枝に

刺さったリンゴを頬張った。……あ、笑った。



「旨いな。美粋…身体のほうはどうだ?」


『前よりは良くなったよ。

 うーんと…今日はお見舞い?』


「そんなところだ。

 そういや美粋、聞きたいことあるんだけど

 退院したらどこ行きたい?」



何を呟いていたんだ俺は。

…まったく分からないよ。

……うん。分からない。



『え!』



嬉しそうに呟く俺はその第三者として

光景を見た。

この場に俺は二人いる。



「あ…えと……俺が連れていける場所なら

 どこでも良いぜ!

 退院祝いってのもあるからな。」



祝いたかったよ。

だけどこれは夢だ。



『じゃあ実験室のグループ全員で遊園地!』


「え!グループ全員?!」



夢だ。

これは夢なんだよ。



「4人か…お金は持てよ?

 流石に自腹はどうかと思うからさ。

 まぁ何にせよ退院したら、な?」


『うんっ!』



はきはきしたいつも以上な明るい

顔を作って答える龍牙。

それに満足するように笑う彼女を見る。










憧憬は4人でキャンプした時の光景に変わる。

相変わらずまた干渉のできない第三者として

そこにいる俺は折川彪おりかわひゅうと話している。

女子二人組にもしものことがあったら連絡するように、

って子供を見守る親のように心配したっけ。

降りたロビーが夏の薫る風に蒸し気と同時に風に流れて

異様に気持ちよかったのを肌で感じたのを覚えてる。

夕方とはいえどロビーは明るく屋台でもやっているのか

外もあちこち明るい。


『なんかの祭りやってるみたいだな…?』


さっきまで鮮明に聞こえてきた俺の声も

もうくぐもって聞こえる。


『確かに。

 まぁ回ろうや。』



懐かしい。

すべてが今となっては懐かしい。

ガタンッ!と席を勢いよく立ち上がり

龍牙は叫びそうになった。

彪はニヤッと笑う。



「お待たせ~この近くで祭りあるんだってね!

 ホテルの従業員さんから聞いたよ!

 だからじゃーん!浴衣姿になりました!」



と浴衣姿の美粋が姿を表した。

美粋は胸元を暑苦しそうにパタパタと風を送る。

大きいそれが露になりそうに

なるのを期待しつつ。

そのとき麗花にパシッと叩かれ



「どこ見てんの!」



思わずお前にはない豊満な胸。

と貧しい人に言いそうに……



「なんか失礼なこと思ってない?」


「いや特に?」



ばれるばれる……汗



「スタイルの良い二人に見とれてたんだろうさ

 まぁ俺は俺で二人とも普通に可愛いと思うがな。

 似合ってるぜ」



そういうと麗花が顔を赤くして

むーっと顔を膨らませる。

そんな可愛い二人を見ていると

祭りを告げる花火が上がった。

4人ともビックリしたのか、わっ!と。

そして笑いあった。

折川は麗花のことが好きだし

麗花もまた折川が好きだ。

お互い名前で言い合うような仲だしな。

まあ照れてるから人前では名前呼びはしないんだろうが。

…殺し合いをするように

ゲームをするまではこんな楽しいことは

他に無かったのかもしれない。

美粋と俺も両想いで付き合うんだ。

今思えばぎくしゃくする所はたまにあるけれど

それでもあのときが一番楽しくて

辛かったのかもしれない。

花火が上がって祭りの提灯が辺りを照らしながら

4人はその祭りがやっている神社に来ていた。

既にここに来る前に女子2人は

わたあめ、はし巻き、

かき氷と…食べ歩きをしている。

男子はというと彪がひょっとこのお面を買い、

俺は俺でりんご飴を買った。

そして食べ物を一旦男子組に預けた二人は

神社にお参りし、俺と彪も同じようにお参りをする。

何を願うか。

あのときは迷っていた。

いつ告白するのかを。

だから神様なんてのを信じたんだ。

―ずっと一緒にいられますようにってさ。


でもさ。

無理だったんだよな。


「あのときはすごく楽しかったのを覚えてる。

 多分生きてきた人生で一番。

 そう…だよな?神様」


涙を夢の中で堪えながら

暗い世の明かりを見上げる。

夢が晴れても見上げた空は濁っていた。

数珠を手に立ち尽くす。






享年18 佐々山美粋はその若さで命を終えた。 

続けて今書いているので出来上がり次第投稿します(''◇'')ゞ

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