雪掻き
フュルステンブルクに戻ると、私は火葬業務に追われるようになった。
以前は、ほとんどの修道僧が手の空いた時間に火葬を担当していた。
しかし、代表の命令によって制度が変わった。
今では選抜制だ。
フェアリー多種族霊園は、ジルケ・リューが初めて自分自身の発想で立ち上げた事業だった。
とはいえ、そこで働く人員の大部分は修道院からの流用である。
専属職員として雇われているのは、ペット事務担当のヤーカだけ。
あとは手の空いた修道僧が、火葬、読経、別れの儀式を担当していた。
だが、参拝者の反応を病的なほど気にするジルケは、ついに専属部隊を作ることを決定した。
そのため、一月末までは多種族霊園の雑務に追われることになった。
骨壺の発注。
火葬。
読経。
別れの儀。
そして霊園全体の清掃。
冬になり、落ち葉はほとんどなくなった。
以前のような落ち葉地獄ではない。
それでも、多種族霊園を含む広大な敷地を維持するのは重労働だった。
雪が降れば、さらに大変だ。
その日は業務がほとんど中止になり、職員総出で雪掻きをする。
掻き集めた雪は、ウボ=サスラヴァティ女神の噴水へ放り込まれた。
聖なる水が雪を溶かしていく。
私は多種族霊園へ向かい、ヤーカと二人でひたすら雪を掻いた。
ふと横を見る。
彼女が力を込めて雪を押している。
脚から腰にかけて筋肉が動いているのが見えた。
私は慌てて視線を逸らした。
煩悩まで雪と一緒に掻き出してしまいたかった。
男のほうが力仕事には向いているのだろうか。
修行中の身でもある。
私は必死になって雪を掻いた。
午前中には、かなりの量を片付けることができた。
「助かりました」
ヤーカが笑った。
女性から感謝される。
それだけのことなのに、久しぶりだったせいか、胸の奥に小さな波が立った。
なぜか頭の中に、遠い太古の光景が浮かんだ。
原始の部族。
男が力仕事をし、女がそれを見守っている。
それが自然なのだ。
それこそが、人間という生き物の営みなのだ。
そんな素朴で甘い感覚だった。
私はすぐにその考えを振り払った。
戒律とは、まさにそうした原始的な衝動を切り捨てるためにある。
もうすぐ私は、その剃刀のような戒律を正式に授かる。




