三人の魔女
一階に降りると、事務の女性たちが、お喋りをしていた。
ボス格はユミルである。
ユミルはリュー家の親戚であり、ユミルの父はクラウスの前からシャークヤ修道院を仕切っていた修道僧であり、事務長を兼ねていた。
娘のユミルは、我儘で権力志向だった。
葬儀に皮のロングブーツを履いていき、親族間の顰蹙を買っても鼻で笑っているような女だった。
代表にジルケ・リューが着任するまでは彼女の天下だった。
今は、代表の力に負けて、屈辱的な日々を送っているが、修道院長と仲が良い。
「ねぇ、院長〜?」
と鼻声で文句を言う姿はもはや名物である。
ユミルと話しているのは石工の事務員リタである。
ショートカットのよく似合う冷たい感じのする美女だが、すでに大きな子供がいる。
石工部の事務員はリタと、先日退社した王国劇場の女優そっくりのマリアだけだった。
マリアが退職してかなり多くの檀家ががっかりしたが、リタの機嫌は何故か良くなったと、修道士たちは分析していた。
この二人と、多種族霊園担当の事務のヤーカを合わせて、三人の魔女と私は呼んでいた。
彼女たちは皆、ジルケのことを良く思っていない、という点では共通していた。
ユミルとリタの隣りに、整った顔立ちのタキマが魔導通信器を受けている。
タキマは元々、宮廷の執事だが、リュー家にスカウトされたのだ。シャークヤ修道院の事務員にしては性格に毒がなく、皆の信頼は高かった。
タキマは私を見つけると、
「あ、エリアスさん、給料取りに来て、と経理のヨミさんから伝言です」
勝手口の隣りの部屋に行くと、経理のヨミから笑顔で身分紋章の提示を求められる。
ヨミは主婦で、修道院から帰る途中にある商会の売店でよく出くわす。
店内で出会うと最初は笑顔で挨拶してくれるが、二回目にすれ違うとものすごく機嫌が悪そうな顔になるので気をつけている。
給料を受け取り、二階の僧侶控え室までこっそりと移動して、封筒を開く。
ため息しか出なかった。
金貨十五枚の、基本給のみが振り込まれていた。




