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43 前世

 前世で死ぬときの話です。

 想像力豊かで痛いのが苦手な人はご注意ください。


 本日、もう一話投稿します。

 (クリスマスに痛い話だけでは申し訳ないので……)





 その日、私は、デートの待ち合わせ場所に向かっていた。



 ちょっと寝坊してしまったため、

 車の通りを止めて歩行者だけになっているその通りを、私は急いでいた。


 

 高校生の頃から付き合っている二つ年上のヒロは、私より先に社会人になっていた。



 ヒロは高校の頃は生徒会長をやっていて、憧れの先輩だった。

 頭も良くて運動も出来て、サッカー部の試合の応援に行ったこともある。

 何でもできる完璧なイケメン。そう言われていた。



 そんなヒロに卒業式の日に告白された時は、夢の様で舞い上がったし、

 大学も同じところへ行くのに迷いはなかった。



 先輩って呼んでたら

 ヒロって呼んでって言われた時も

 特別な感じがして嬉しかった。



 好きだと言えば好きだと帰ってきて、

 生まれ変わっても一緒にいようと話をした。

 完全なバカップルだった。



 とてもとても好きだった。



 ヒロが大学を卒業してしまい、

 大学生の私とはなかなか会えずにいた中、今日は二週間ぶりに会えることになった。



 早く会いたい。

 ここ二週間の話を聞きたいし、話したい。



 速足で進んでいると、後ろで悲鳴が聞こえた。

 


 振り向くと、後ろから何人もの人が走ってくる。



 何?



 思わず立ち止まってそっちを見ていると、異様な雰囲気の男がフラフラと歩いているのが見えた。

 その人から逃げる様に走っていく人々。



 その男は手に、包丁を握っていた。



 すぐに私も逃げ出した。



 日曜日の真昼間。

 街中で包丁を握りしめた男。

 異常だ。



 すぐに警察が来るはずだ。

 きっと誰かが通報している。

 私は早く、ヒロの所へ。



 近くで子供の泣き声が聞こえた。



 振り向くと、親とはぐれたのか、

 女の子が大声で泣いている。



 離れた所にいる包丁を持った男が、

 その子を見たのが分かった。

 そのまま、男が歩いてくる。



 警察は、何をやってるの?



 周りの人も、

 男が女の子に向かって歩いているのに、

 誰も何もしない。



 あと数メートルで女の子にたどり着いてしまう。



 私は女の子まで走って、

 その子の手を取って走ろうとする。



 女の子は嫌がって、

 私の手を振り払う。



 男はすぐ後ろに来ていた。



 持っていたバッグで咄嗟に殴った。



 男は

 女の子から私に視線を移すと



 笑いながら

 ナイフを持っていた手で私の顔を殴った。



 顔に痛みと熱さが走る。

 よろけてしりもちをついた。




 顔を触ると、手が真っ赤だ。



 

 目の前に男がいた。




 また、殴られた。





 こわい





 体に力が入らなくて





 這うように逃げる





 こわい






 肩に痛みが走った






 地面にあかくぽたぽた落ちる






 いたい







 こわい







 うごけない







 ちからまかせにひっくり返されて







 男に上にのしかかられた







 こわい








 だれか







 男はそのまま





 私のおなかに





 ナイフを振り落とした。





 何度も





 なんども







 あかいしぶきが






 とんでいく







 いたい







 こわい

 こわいよ














 ヒロ……






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