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脳筋忍者はシノビたい  作者: ハマ


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11

 婚約騒動の数日後、アンドレア様が復学した。

 何でも、演習後にご実家に戻っていたらしく、学園に来れなかったのだという。


「これからもよろしくお願いします」


 そう、女子生徒達に挨拶をしていた。

 取り巻きは相変わらずで、アンドレア様が戻ってきてとても嬉しそうだ。


 対してマブロだが、


「ちっ……」


 取り巻きが離れており、今は一人で勉強をしていた。


「なんか、マブロ君変わったね。前は他人を見下していたのに」


「そうか? 今は余裕は無さそうだが、元からああだったぞ」


「ええー、そんなことないって、ルーク滅茶苦茶言われてたじゃない」


「あれは俺を思ってのことだ」


「いくら何でもポジティブ過ぎるよ……。じゃあ、ポジティブついでに、あれはどうするの?」


 ジールが指差す先は、教室の出入り口。

 そこにはメガネを掛けた上級生が腕を組んで立っていた。

 アスト・サモント先輩は、あの日から毎日やって来るようになった。やって来る度に、決闘を申し込まれては断っている。


「ルーク・ストロング、貴様に決闘を申し込む!」


 投げられた手袋を避けると、二枚目の手袋が俺の体に当たる。

 どうやら避けるのを見越して、二枚同時に投げていたようだ。


 やるな、だが。


「断る」


 そもそも、決闘する理由が無い。説明もされていない。聞く気もない。だからやる気も無い。

 受けて立つのが貴族の作法というのは知っているが、それに則る必要も感じない。父上や兄上には迷惑が掛かるだろうが、勝手に婚約を決めたのだ、これくらい許されるだろう。


「何故受けない、このアスト・サモントが怖いのか?」


「怖い、毎日来て同じことを繰り返す異常性は恐怖に値する」


 一日に二度、授業開始前と昼食時間帯にやって来ては、俺に手袋を投げ付けるのだ。狂気を感じるほどの無駄な行動に、恐怖以外は呆れの感想しか抱けなかった。


「貴様⁉︎ ……ふん、家名さえ守れない腑抜けめ。ストロングの名も地に落ちたな」


「そうか」


「家を馬鹿にされても怒りもしないのか……。貴族としてのプライドは無いのか?」


「プライドに価値は無い。矜持にこそ価値はあると思っている。悪人ではない先輩を相手に、俺は戦えない」


 そう言って断ると、俺をジッと見て踵を返した。


「……また来る」


「いや、来ないでくれ。迷惑だ」


「また来る!」


 それだけを言い残して、アスト先輩は去って行った。

 代わりに、この一連のやり取りを見ていたアンドレア様は、眉間に皺を寄せてやって来る。


「ルーク、今のは何? 決闘とはどういうこと?」


「アンドレア様、お久しぶりです。先程の人物は、アスト・サモント。三年特別科に在籍している先輩です。数日前から、先輩に決闘を申し込まれております。決闘理由も分からず、受ける必要も無いと判断して断っています」


 極力簡潔に伝えると、アンドレア様の眉間の皺が更に深くなった。


「様はいらないわ。って、そうじゃない。どうして理由を聞かないの? アスト・サモントと言えば、サモント侯爵家にとって、五十年ぶりに生まれた召喚師よ。しかも、歴代最高とも呼ばれる天才。そんな彼に、恨まれるようなことしたの?」


「してないです。先日会ったのが初めてで、その時にはもう決闘を申し込まれていました」


 まるで意味不明な状況に、アンドレア様は頭を悩ませる。

 当人である俺も頭を悩ませているので、話を聞いただけでは、こうもなるだろう。


 そんなアンドレア様に、取り巻きの女子達が丁寧に説明を行う。


「……ああ、そうなの。分かった、ありがとう。……ルーク、決闘を受けなさい」


「断る」


「命令よ、受けなさい」


「断る」


「ベルモット様に告げ口するわよ」


「問題無い、兄上に言われようと断る」


「ミレイさんが関係していると言っても?」


「関係ない、断る」


「じゃあ、誰の言うことなら聞くの?」


「……リーナから言われたら、仕方ないか……」


「分かった。リーナと話してみるわ」


 アンドレア様は取り巻きを置いて、スタスタと教室から出て行った。

 本当に、リーナに言うつもりなのだろうか?

 ルール上、俺はリーナの言うことを聞かなくてはならない。一応断れるのだが、明確な拒否理由が必要なのだ。それに、リーナは俺とは違う。


「ねえ、どうしてリーナさんの言うことは聞くの?」


 ジールが不思議そうに聞いて来る。


「俺が考えて行動するより、リーナが選択した方が正しいからだ」


 リーナは、誰かを救う選択をする。

 奪うだけの俺とは違って、リーナは多くを救おうとする。

 俺のこの力を利用してでも、たくさんの人達を救い出す。そんな選択が出来るリーナを、俺は信用している。


「じゃあ、今度からリーナさん経由で無理難題をお願いしたらいいんだね」


「ジールは何か頼みたいことでもあるのか?」


「ああ、ごめん。今の冗談だから。適当に流しといてもらえると助かります」


 ジールは申し訳なさそうに言いつつ、小さくなっていった。





 後日、リーナから呼び出されて、メノウ大会で決闘することが決まった。

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