第23話 暴露
高時のもとへ、醜悪な事実が警察と児童相談所の手によってもたらされた。
美代が自ら児童相談所へ駆け込み、子供の頃、母しのぶの愛人である山村浩一から「日常的に体を触られていた」と告発したのである。美代が密かに録音していた山村の犯行時の音声データが決定的な証拠となり、警察は即座に山村の身柄を拘束、逮捕に踏み切った。
だが、真の戦慄は押収された山村のスマートフォンとパソコンの解析によって明かされた。
そこから発見されたのは、美代の幼い頃に撮影された、見るに耐えないいかがわしい大量の写真と動画であった。山村による卑劣な行為は当時日常的に行われていたという、目を背けたくなる真相が白日の下に晒された。
押収された資料からは美和の写真も見つかったが、美代のそれに比して圧倒的に少なかった。理由は分からない。山村が美和を実の娘と認識していたために悪行を控えたのか、あるいは従順な美代の方が扱いやすかったからなのか。
警察の捜査の手は当然ながら、母であるしのぶにも及んだ。実家で療養していたしのぶは任意同行を求められ、事実上の「虐待の共犯者」として取り調べを受けた。しのぶは「何も知らなかった」と泣き叫び、最終的には証拠不十分で起訴こそ免れたものの、世間の目は冷たかった。
愛人の車に同乗しての事故、そして実の娘たちを長年蝕んでいた愛人の犯行を放置・容認していたという虐待疑惑は瞬く間に報道され、名家の令嬢としての社会的な尊厳は失墜した。しのぶは交通事故での大腿骨骨折の後遺症と世間からの冷たい視線に苛まれ、実家の奥深くにひっそりと引きこもる廃人となった。
この恐るべき真実を聞かされた高時は、驚愕し、言葉を失った。
一家の主として家族を守っていると信じ込んでいたその足元で、娘たちは幼少期から大人たちの淫らな欲望に晒され、精神を引き裂かれていたのだ。
その時、高時は以前、精神医学と臨床心理学の文献で目にしたある説をふと思い出した。
——ポルターガイスト現象の多くは、外部の悪霊の仕業などではなく、極度の精神的ストレスや抑圧、トラウマを抱えた思春期の子供が発する、異常な無意識の精神エネルギーによって引き起こされる。
天井を狂ったように叩く音も、明滅する照明も、荒れ狂うかのように宙を舞う物体も——あの山裾の古い祠の祟りなどではなかったのではないか。
実の母親と愛人によって幼少期に尊厳を踏みにじられ、誰にも救いを求められず生きてきた美和と美代。二人の少女の怨念と狂気、そして「自分たちを救ってくれなかった父親」に対する歪んだ愛憎と執着のエネルギーが、あの異様な怪異を自宅に作り出していたのではないか。




